漢方を知る

きぐすり.com は、漢方薬、女性の健康、サプリメント、ハーブの情報を専門家がやさしく解説しています。

和の香り

香道具

~江戸時代中期の華やかな文化へ~

実用的なものから雅な装飾へ

「十組香」に使う香道具を一揃えまとめて納める道具箱を「十種香箱」と呼び、現在では一般的な香道具を入れる箱を指す様になりました。初めは白木に近い実用的なものでした。
やがて、漆塗り、更に、蒔絵の様な雅な装飾が施される様になりました。

源氏香之図 初音 寛永16年(1639年)、三代将軍家光の長女千代姫が尾張徳川家二代光友への婚礼の時に持参した「初音の調度」がその代表例と言えましょう。これは、源氏物語の「初音」の帖にある『年月を松にひかれてふる人に今日鶯の初音聞かせよ』の歌意を全体の意匠とし、その中に歌の文字を散し書きしているところから名付けられたとされており、平成8年に国宝に指定された素晴しい作品です。

初音の調度

十種香箱は普通、中身が二段に分れ、上段には香札(コウフダ)・香盤(コウバン)・火道具(ヒドウグ)など、下段には香筋建(キョウジタテ)・重香合(ジュウコウゴウ)・札筒(フダヅツ)・折据(オリスエ)・総包(ソウヅツミ)・銀葉(ギンヨウ)・香盆(コウボン)などを入れ、聞香炉(キキゴウロ)・香木(コウボク)・地敷(ジシキ)・打敷(ウチジキ)・香包(コウヅツミ)・硯(スズリ)などは、別に包む様にしてあります。

香道は女性のたしなみ

元和6年(1620年)、後水尾帝の中宮として入内した二代将軍徳川秀忠の五女和子(マサコ)が、それまで、どちらかといえば男性中心で礼儀作法に偏りすぎていた香道を女性の嗜み(たしなみ)の一つとして広めました。
同時に女性が特に好む様な手法や煌びやかな香道具を作る様になり、蒔絵を中心とした美術品が多く生み出され、江戸時代中期の華やかな文化へと発展しました。


  • 組香について(3)


TOP