コンブリとアサツキ
コンブリなるものに初めて出会ったのは昨年(2006年)12月の岐阜県揖斐川(いびがわ)町春日モリモリ村の薬草教室での事でした。
この薬草教室は今年で7年目に入ると思います。年間10回の毎月一回宛の講義を行い、その都度テーマを変えた体験実習を行っています。
たとえば「生のアイ葉を用いた藍染め」「キハダの樹幹から樹皮を剥いで黄檗を作る」「こんにゃく芋から蒟蒻の調整」などです。
また、講義は2時間ですが中間で休憩があり、そのときお茶の時間を設けています。ここで受講生等がそれぞれ薬草やハーブを用いた作品を持参し、皆で試食をするのです。
今ではこれが一番楽しみになっているようです。
その試食時間に藁に編み込まれたラッキョウの鱗茎のようなものを一個宛取り出し、外側の表皮を剥いで味噌をつけて食べるというのがありました。
それがコンブリだったのです。 さあ、それからコンブリは別名であるから、本名は何だと議論伯仲でしたが、どうしても解らない。そこでこのコンブリなる鱗茎を植えて花を咲かせることになりました。
コンブリからは緑色のニラのような葉が数p出ていました。一部は植えて、残りは食べました。エシャロットのようでもあり、やはりコンブリの香りと味がありました。クマガイソウの大きな鉢の脇に植えました。
そうして春を待った訳です。春になるとコンブリを作っておられる農家の方から花が咲いたとの連絡が入り、それがアサツキであることを確認できました。が、野生のアサツキとは異なり、あくまでも栽培型として区別すべきです。
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| 笹又自生のアサツキの花 |
アサツキ栽培型の花 |
アサツキの資料
岐阜県内の植物リストで一番よく参考にする吉田裕著『中部日本に於ける薬用植物の分布並びにその利用、栽培に関する研究(第一報)岐阜県産薬用植物の植物地理学的考察並びにその利用研究』(1941)には出ていません。『滋賀県植物誌』には伊吹山美濃側8合目と古屋で採取した標本が載っています。又、飯沼慾齊著『草木図説』(1856)には「吾北山ニモ自生ス」とあり、北山は岐阜県揖斐川町藤橋地区です。伊吹山の美濃側は揖斐川町の春日地区にあたり、ここでは古屋、笹又、美束などのそれぞれの集落で野生種と栽培種を見ることが出来ます。
アサツキの伊吹山への伝播
アサツキの日本への分布は既に弥生時代(AC300~BC300)にアンズ、ナシ、モモ、ネギ、ニンニク、ニラ、ラッキョウなどとともに非意図的に移入されたものと言われています。
アサツキの別名として嶋蒜(延喜式927)(しまひる、とうさん)、島蒜(阿佐豆岐:倭名抄932)(しまひる、とうさん)、細葱(草木図説1856)(ほそねぎ、さいそう)、センボンワケギ、細香葱(中国)(さいこうそう)、Asatsuki, Chive(英)などがあります。
アサツキ Allium schoenoprasum Linn. の種は北半球の温帯北部に広く分布し、本州北部、北海道に生える−var. schoenoprasum は北米やシベリア、アジア、欧州に広く分布する母変種です。
アサツキ A. schoenoprasum Linn. var. foliosum Regel は本州と四国に分布し、−var. yezomonticola Hara のヒメエゾネギ(日高)、−var. caespitans Ohwi のカブアサツキ(栃木県)等とともに日本で分化した仲間といえます。
飛騨高山の伝統野菜12種の中に浅葱(あさつき)が入っています。春日地区には野生種と栽培種がありますが、春日地区の人々が栽培種を生み出したものと思え価値ある文化遺産の一つと言えます。
アサツキの薬効
葉と鱗茎に含まれるカロチン、ビタミン、硫化アリル化合物、カルシウムなどのミネラルには食欲増進、新陳代謝の賦活、疲労回復、滋養強壮などの効き目があります。