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病気の悩みを漢方で

症状と漢方薬

1.冷え症と漢方病理

 冷え症は「通常の人が苦痛を感じない程度の気温で、全身や背中、腰、手足に異常な冷感を長く自覚する場合」とされています。

 漢方医療では相談者が訴える冷えを「気のせい」ではなく、治療すべき冷えと捉えて独自の病理病態を踏まえた治療を考えてきました。
 独自の病理論の一つが(キ)(ケツ)(スイ 津液 シンエキ)論です。婦人更年期不定愁訴における冷え症を例にすると、冷え症の随伴症状から多様な病理を判断して治療方針を立てます(図1)。
 気血水津液)に関しては、気血水(津液)虚実と寒熱も参照してください。

2.漢方医療が考える冷えの原因

 漢方医療では冷える原因を図2のように考えて治療します。なお、それぞれの原因は複合します。

3.婦人更年期の冷え症を例にして

 婦人更年期の冷え症を主訴とする不定愁訴を例にして、漢方医療の考え方を紹介します。
 不定愁訴に関しては、自律神経失調症(1)を参照してください。婦人更年期障碍に関しては、婦人更年期障碍(1)以降の解説を参照してください。

3.1)婦人更年期の冷え症に用いられる主な方剤

 婦人更年期の冷え症に用いられる主な3方剤の配合生薬の薬能を図3にまとめました。

 図3の3方剤は補血薬当帰(トウキ)と芍薬(シャクヤク)を含みます(図4)。

3.2)当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)

 当帰芍薬散は冷え症に頻用される方剤です。本方は図5のように青白い顔、貧血傾向(血虚 ケッキョ)とむくみ頭重、めまい(水滞 スイタイ)を伴う冷え症に適した方剤です。
婦人更年期障碍(2)を参照してください。

 本方は3方剤の中では、むくみ、頭重を軽減する利水薬(リスイヤク)の配合に特徴があります。
 これに対して温経湯(ウンケイトウ)は、口唇や皮膚の乾燥(津液不足 シンエキフソク)を潤す方剤です。

3.3)3方剤の使い分けの目安

 これらの冷え症に用いられる3方剤を使い分ける目安を図6にまとめました。

 ここでは婦人更年期不定愁訴における冷え症に用いられる主な3方剤を例にして、漢方医療の考え方を紹介しました。

 「冷え症には●●湯」と1方剤で対応するのは困難です。冷え症と随伴症状から漢方病理を判断し、それを調整する薬能を有する生薬を考慮しながら適切な方剤を選ぶことが漢方医療の考え方です。虚実と寒熱を参照してください。

 今後、多様な疾病に伴う冷える病態を例にして解説していきます。

ちょっと一言:(トピックス)

どこが冷えますか?

 漢方では「どのような人の、どのような症状を伴う冷え症」なのかを判断して適切な生薬や方剤を選びます。

 漢方相談では冷える部位と随伴症状を話してください。
・全身が冷える、手足腰が冷える、おなかが冷えて下痢気味、
・下半身は冷えるが顔はのぼせる(冷えのぼせ
・いらだち、抑うつ、頭重、めまい、皮膚乾燥、むくみ、
などの情報は適切な方剤を選ぶ重要な情報になります。

(2021年11月25日 改訂公開)


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