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「冷えのぼせ」と「冷え」
漢方医療の眼
漢方医療は、「どのような人が」「どのように訴えているか」を診ます。
「冷える」ことを悩んでおられる患者さんを例にして説明します。イラストを見てください。

Aさんの場合
Aさんは「冷え症」がつらいと相談にこられました。
体格や顔の色つやから血中のコレステロー
ルなどが高い高脂血症であることが伺えます。
へそ周り(腹囲)は90 cm以上ありそうです。
よくよく話を聴くと足腰は「冷える」けれども、顔は「ほてる」ということです(「冷えのぼせ」です)。
便通を尋ねると便秘もつらいそうです。
Bさんの場合
Bさんの悩みも「冷え」です。冬はもちろん、夏の冷房もつらいそうです。
天気の悪い日には、寝起きが悪く、頭が重く、ふらつくこともあるようです。
足の「むくみ」も気にされています。食欲を尋ねると少食とのことです。
このように「冷え」に悩む人の「タイプ(体質や気質)と体調(病態)」は様々です。
そこで、その人に、その時点で、適切な漢方処方を選ぶのが、漢方医療の眼です。
漢方医療の診断(証)
漢方医療は、「どのような人が」「どのように訴えているか」を診て、病気の成り立ち(病態)を診断します。この漢方医療の診断を「証(しょう)」と言います。
証を判断する基準に、実証(じつしょう)、虚証(きょしょう)、熱証(ねつしょう)、
寒証(かんしょう)などがあります。詳しい説明は、別の機会にしますが、
- Aさんは「実証」で「熱証」
- Bさんは「虚証」で「寒証」
だと判断されます。
実証には、体内の余分な物を「少なくする」生薬を用います。
Aさんの場合には便秘や高脂血症を改善することです。
そのため、大黄(ダイオウ)という生薬を含む処方群の中から適当な処方を選ぶことになります。
熱証には、「冷やす」作用のある生薬を用います。
大黄は「冷やす」作用を持っています。
虚証には、身体の抵抗力の不足を「補う」生薬を用います。
Bさんの場合には、胃腸機能を改善する茯苓(ブクリョウ)や朮(ジュツ)を含む処方が選ばれました。
これはBさんが「むくむ」傾向にあったからです。
寒証には、「温める」生薬を用います。
朮や当帰(トウキ)です。
当帰は貧血傾向に用いる生薬ですから「補い」「温める」両方の作用を持っています。
ちなみにAさんには桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)、Bさんには当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)が
適当だと考えられます。
当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
当帰芍薬散を構成する生薬の基原植物
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| トウキ |
タクシャ |
ブクリョウ |
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| センキュウ |
オケラ |
シャクヤク |
この漢方処方を勧めるとともに、養生の方法も提供するのが漢方医療です。

このように漢方医療では、 「どのような人が」「どのように訴えているか」を診て、さらに体内で「何が、どうなっているか」を判断するのです。「何が、どうなっているか」には
氣(き)・血(けつ)・水(すい)の量と機能の過不足を考えるのですが、これも別の機会に説明します。
漢方医療は、あなたの悩み(苦悩)に対応します。もっとも辛い症状に加えて色々な症状を「物語って」ください。それを総合して適切な漢方処方を選びます。