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漢方薬名の意味

小青竜湯 (ショウセイリュウトウ)

1.小青竜湯 (ショウセイリュウトウ)の名

 小青竜湯(ショウセイリュウトウ)の青竜図1)は、古代中国における四方神の東方を守る神獣です。漢方では青竜は、麻黄(マオウ)の異名です。

 麻黄は、外感病(ガイカンビョウ)の急性期(太陽病期)の寒け頭痛などの風寒表証(フウカンヒョウショウ)を温めて軽減し、むくみなどの水滞(スイタイ)を除く生薬です。薬能は、辛温解表利水消腫です。外感病風寒表証は、病期を参照してください。

 このことから方剤名は、青竜麻黄)が主薬であり、寒け頭痛などの表証水様性鼻水関節の腫れなどの水滞症状に適することを示唆しています。
 )は、春や水の象徴です。小青竜湯が、春の花粉症の鼻水鼻づまり鼻閉:粘膜腫脹)に用いられていることと偶然に符号しています。

 方剤名のは、本方と関連する大青竜湯(ダイセイリュウトウ)より穏やかであることを意味しています。

2.小青竜湯 (ショウセイリュウトウ)の適応

 小青竜湯の適応病態イメージを図2に示しました。本方は、
 ・水様性鼻水くしゃみ鼻閉流涙を伴う鼻かぜ、鼻アレルギー・花粉症。
 ・水様性喀痰を伴うかぜ急性期の湿性咳嗽や、気管支炎、気管支喘息。
 ・その他に腎炎、ネフローゼにも用いられます。

 小青竜湯の鼻アレルギーや花粉症に対する改善効果は、二重盲検ランダム化比較試験を含めて多くの臨床報告があります。

小青竜湯は、通年性鼻アレルギーのくしゃみ発作鼻汁鼻閉を対照群(プラセボ投与)より有意に改善。

二重盲検ランダム化比較試験 耳鼻咽喉科臨床. 1995; 88: 389-405


小青竜湯は、カモガヤ花粉症にも有効。

耳鼻臨床., 1997; 補92: 32-37


 鼻アレルギーや花粉症で水様性鼻水に粘稠性黄色鼻汁を伴う病態には、小青竜湯五虎湯(ゴコトウ)のような麻黄石膏(セッコウ)剤と併用します(日東医誌., 2009; 60: 611-616)。鼻水と鼻づまりを参照してください。

 小青竜湯のⅠ型アレルギー抑制作用に関する基礎研究報告は多数あります(耳鼻咽喉科展望. 1991; 34(補4): 289-293)。その概要を図3にまとめました。

 小青竜湯は、慢性副鼻腔炎による鼻閉鼻汁後鼻漏にも用いられています(耳鼻と臨床. 1993; 39: 581-588)。

 小青竜湯は、水様性鼻水くしゃみ鼻閉を伴う鼻かぜ急性鼻炎)や湿性咳嗽に適します(日東医誌., 1966; 17: 120-122)。かぜ(5)を参照してください。

 小青竜湯が気管支炎の咳嗽を軽減した症例研究があります。

は、気管支炎患者の咳の回数喀痰の切れ日常生活動作をプラセボ群より有意に改善。

二重盲検群間比較試験 臨床医薬. 2001; 17: 1189-1214


 喘息の発作治療は西洋薬の発作治療薬が優先されます。小青竜湯は、軽症喘息や発作後の咳嗽に使用されています。喘息(1)を参照してください。

は、IgEの高いアトピー型小児気管支喘息患者のくしゃみ鼻水を伴う者に対する有用以上は66.7%。

多施設症例集積研究 日本小児アレルギー学会誌. 1988: 2: 36-40


(気管支拡張剤と併用4-8週間)は、成人気管支喘息患者の喀痰の量や切れ日常生活点数夜間睡眠を投与前より有意に改善。

多施設症例集積研究 日東医誌., 1995; 45: 859-876


3.小青竜湯の配合生薬と関連方剤

 小青竜湯は、
 ・辛温解表剤(シンオンゲヒョウザイ)の桂皮(ケイヒ)芍薬(シャクヤク)甘草(カンゾウ)を含む麻黄-桂皮剤です。これらは桂枝湯(ケイシトウ)の主な配合生薬です。
 ・寒性痰飲(タンイン)を軽減する化痰薬(ケタンヤク)の半夏(ハンゲ)細辛(サイシン)乾姜(カンキョウ)を含む温肺化飲剤(オンパイカインザイ)です。
 ・喀痰の多い湿性咳嗽を軽減する五味子(ゴミシ)と半夏を含みます(図4)。

 小青竜湯は、外感病太陽病だけでなく裏寒証(リカンショウ)の太陰病(タイインビョウ)病態にも適した散寒薬乾姜細辛を含みます。

(マオウブシサイシントウ)は、補陽(ホヨウ)散寒薬附子(ブシ)を含み少陰病(ショウインビョウ)と太陽病の病態に適した方剤です。小青竜湯より冷え倦怠感の顕著なかぜに用いられます(日東医誌., 1996; 47: 245-252)。咽頭痛を伴う場合に適します。かぜ(1)を参照してください。

(リョウカンキョウミシンゲニントウ)は、小青竜湯から解表薬桂皮麻黄を除き、悪寒発熱などの表証症状がない病態に用いられます。吐き気冷え倦怠感を伴う水様性鼻水湿性咳嗽に適します。

 本方は、小青竜湯のような麻黄剤を服用すると胃がもたれるような胃腸虚弱者に適します(日東医誌., 1968; 19: 179-180)。鼻汁鼻閉喘鳴を伴うアレルギー性鼻炎にも用いられています(日東医誌., 2009; 60: 641-646)。鼻水と鼻づまりを参照してください。

 本方と小青竜湯の配合生薬は、かぜ(4)でも比較しています。

ちょっと一言:(トピックス)

小青竜湯の口訣(抜粋)

小青竜湯の適応は、鼻水くしゃみ薄く透明な痰咳嗽ゼイゼイという呼吸困難を伴う寒証の耳鼻・呼吸器疾患。背部に冷えを伴うことがある(中田敬吾)。
小青竜湯は、風寒邪による悪寒発熱くしゃみ鼻閉を散らす解表散寒剤。体内の寒性の水湿による水様性鼻水喀痰を温め除く温肺化飲剤(三浦於菟)。
小青竜湯は、の双方に病変がある時に使用する。全体的に水っぽい病態を呈している時に適応がある(巽浩一郎)。

(2024年4月16日 公開)


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