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和の香り

「源氏物語」の香り― 続

~源氏物語を香りから楽しむ~

六種の薫物

この頃の「香」といえば、「合香」の中の「練香」です。
その中でも、「六種の薫物(ムクサノタキモノ)」が、代表例となります。

  季節 五行 方角 香りの表現と解釈 (一部淺野考)
梅花 (バイカ) 華やかで艶かしい香り (梅の花の風情)
荷葉 (カヨウ) しめやかで涼冷な香り (蓮の花の風情)
黒方 (クロボウ) 夏~秋 静寂身に染まる懐かしい香り
落葉 (ラクヨウ) 西 木の葉の落ちるものの憐れさを思わせる香り
侍従 (ジジュウ) 秋~冬 秋風の吹く夕べの奥ゆかしい香り
菊花 (キクカ) 菊の花の露の香り

この「六」は、六根・六塵など、仏教の六の意識から考えられたものと思われます。


第32帖の「梅枝」での薫物合せ

源氏物語では、第32帖の「梅枝(ウメガエ)」を読まれると詳しくお判りになるでしょう。
源氏の養女である「明石の姫君」の入内(ニュウダイ、宮中に女官として昇殿すること)を記念して「薫物合せ」を催した時の情景が細やかに記載されて居ます。大宰府などから献上された香木や香料の香りがいまひとつに感じた源氏は、二条院の蔵から古来の品々を取寄せ、それ等を原料として一人当たり二種づつの香りを創らせます。
その詳細や、遣り取り、文章、更に、管弦・催馬楽(サイバラ)・和歌の遣り取り等については、原文を楽しんで下さい。

土佐光則 源氏物語画帖 梅枝 (17世紀) 香の合せ方や調合方法を「方」と呼び、前に記した約20種の原料を各々細粉とし、篩に掛けてから調合、それを二度「合せ篩」にかけ一晩置いて熟成、これに「甘葛(アマヅラ)」の汁と粉炭を入れて練り上げ、小粒に丸めて壷に入れて密封、水辺や梅の木の下などに埋めて熟成させ、出来上がりとなります。

 


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