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症状と漢方薬

1.皮疹の性状に応じた漢方治療(標治 ヒョウチ)

 アトピー性皮膚炎の皮疹治療(標治)では、主方剤に加えて皮疹の湿潤や乾燥および熱感の程度に応じて方剤を併用します(図1)。


 アトピー性皮膚炎は乾燥皮疹が主体ですが、湿潤皮疹もあります。
治頭瘡一方(ヂヅソウイッポウ)は乳幼児期の「くさ」と称される顔面や頭部の分泌物、びらんを伴う湿潤皮疹に用いられます。
 湿疹・皮膚炎の漢方(2)湿潤皮疹を参照してください。

消風散(ショウフウサン)は患部の熱感とかゆみがある湿潤皮疹が主体ですが乾燥皮疹併存する病態に用いられます。

柴胡清肝湯(サイコセイカントウ 15味)は慢性化した乾燥苔癬化が主体ですが化膿皮疹も伴う状態に適します。漢方薬名の意味:柴胡清肝湯を参照してください。

 ここでは消風散の適応領域を拡大するために併用する方剤を解説します。
漢方薬名の意味:消風散を参照してください。併用療法のイメージは1回目図2を参照してください。

 消風散(4週間投与)の症例集積研究
 アトピー性皮膚炎(35例)脂漏性湿疹(30例)慢性湿疹(31例)に対する有用性が報告されています。

2.熱感の顕著な時に併用される清熱剤(セイネツザイ)

 湿潤皮疹を治療中の消風散清熱効果を強化するためには清熱燥湿剤黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)や梔子柏皮湯(シシハクヒトウ:山梔子黄柏甘草)が併用されます(図2)。

 乾燥皮疹に伴う熱感やほてりには清熱滋潤剤白虎加人参湯(ビャッコカニンジントウ)が適します(現実的には湿潤皮疹にも用いられています)。

 上記の2方剤が主に併用される清熱剤です。
 乾燥皮疹が主体で湿潤皮疹も併存する状態には三物黄芩湯(サンモツオウゴントウ)も併用されることがあります。本方は補血滋潤薬乾地黄(カンジオウ)と清熱燥湿薬黄芩(オウゴン)や苦参(クジン)を含む清熱剤です。
 皮膚瘙痒症の漢方(2)熱感とほてりを参照してください。

3.化膿の顕著な時に併用される排膿剤(ハイノウザイ)

 消風散排膿効果を強化するために排膿散及湯(ハイノウサンキュウトウ)が併用されます(図3)。


 消風散排膿薬を含まないので排膿散及湯を併用する意味があります。

 ただし排膿散及湯甘草の配合量が多いので併用後は、むくみや血圧上昇など甘草による副作用の発現に注意した経過観察が必要です。

 甘草の重複による副作用を避けるために、
 ・甘草を含まない桔梗石膏(キキョウセッコウ)エキスや
 ・甘草の配合量の少ない十味敗毒湯
併用して排膿効果を付与することもあります。脂漏性湿疹の漢方を参照してください。

4.乾燥の顕著な時に併用される滋潤剤(ジジュンザイ)

 消風散滋潤効果を強化するために四物湯(シモツトウ)が併用されます(図4)。乾燥肌の漢方を参照してください。


 この併用は地黄が重複するので胃もたれなどの副作用が発現するおそれが高くなります。経過を慎重に観察する必要があります。
 乾燥傾向の皮疹が多いのであれば消風散四物湯を併用するのではなく、四物湯を含む柴胡清肝湯を用いるのが良いでしょう。漢方薬名の意味:柴胡清肝湯を参照してください。

ちょっと一言:(トピックス)

併用時には生薬の重複に注意

 日常診療では、併用するエキス剤は3剤程度併用されています(投与量や併用期間を少なくしながら頓用や間歇投与も考慮されています)。
 併用すると特定生薬が重複し副作用のリスクが高まります。予兆を意識して経過を観察してください。

・甘草の副作用:むくみ、血圧上昇、筋力低下、脱力感。
・地黄の副作用:食欲不振、胃部不快感、胃もたれ、吐き気。

(2021年4月5日 公開)


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