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御影雅幸先生の漢方あれこれ

伝統医学と民間療法

 人類の歴史が始まると同時に、食糧の確保やまた病気との戦いの歴史が始まったことは想像に難くありません。新たなる食糧を発見する過程で多くの毒草との出会いがあったはずで、薬草の発見利用もその過程の中で見いだされたものと思われます。 

 最初の頃は単味の薬草が用いられ、使用していくうちに新たに様々な薬効が発見されたことでしょう。下痢にゲンノショウコ、胃痛にセンブリといった対症療法が行われました。

■ 対症療法
対症療法:下痢にはゲンノショウコ
 
対症療法:胃痛にはセンブリ

 こうした対症療法を民間療法と呼び、またその薬物が民間薬です。


 一方、これらの民間療法による症例を数多く集め、また病気の症候を種々解析して、病気が起こる原因や治療方法を理論化し体系づけたものを伝統医学と呼びます。世界には四大伝統医学と呼ばれるものがあり、中国医学もその一つです。

 故に伝統医学では対症療法以上に病因診断による全身的な治療が重視され、そのため難しい治療理論を習得した医師が治療を行うことも民間療法との相違点です。 

ハーブ

 そうした意味でヨーロッパのハーブ療法は伝統医学の範疇には入らないのですが、現代医学はハーブ療法を基礎にして生まれました。科学的思想の中で解剖学が発展し、病原菌を発見し、また生薬の中から有効成分のみを取り出してクスリにしたのです。西洋医学が対症療法を得意としているルーツがここにあると言えます。

 なお、伝統医学と民間療法を総称して伝承医学と呼んでいます。


世界四大伝統医学
他にインド医学(アーユルヴェーダ)、アラビア医学(ユナニー)、
ギリシャ医学があります。

世界四大伝統医学

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