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二階堂先生の「食べ物は薬」

ウンシュウミカン - 果皮は大切な健胃薬

ウンシュウミカン
  • ウンシュウミカン
  • 学名:Citrus unshiu
  • 科名:ミカン科
  • 英名:unshiu orange
  • 別名:蜜柑、温州蜜柑、ミカン、ウンシュウ

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ウンシュウミカンの茎葉 ウンシュウミカンの果実と断面 ウンシュウミカンの花 ウンシュウミカン ウンシュウミカン ウンシュウミカン

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中国逝江省の温州から約500年前に渡来した柑橘から、鹿児島県長島町で偶然、実生によって発生した日本原産と言われるミカンです。その後、200年位前から全国で栽培されるようになりました。原木では種子ができるが、明治時代になって種子のない優良品種が突然変異で発見されました。現在、苗木の栽培はユズ、カラタチ、シークワーサーなどを台木として接ぎ木によって作られています。年間の平均気温が15℃以上で、-5℃以上の最低気温の地域が栽培適地とされています。

高さが約3mの常緑小高木で、刺はなく、葉は互生し両端の尖った楕円形をしており、全縁で葉柄に小さい翼を持っています。初夏に白色5弁の、爽やかな芳香のある小花を頂生又は腋生に付け、果実(液果)は10月から年末にかけて成熟し、径5~8cm、80-100gの扁球形で橙黄色となります。果皮は黄橙色で剥皮し易く、甘くて種子は殆ど無く、果実の中はじょう囊によって8-12室に分かれています。

中国原産でウンシュウミカンより古く中国から渡来したとされるキシュウミカンは老木になっても樹勢が衰えないで大木となるが、別名コミカンと言われるように果実の大きさがウンシュウミカンの1/4程度と小さいため、明治中頃からは栽培地が限られてしまっています。

果肉は黄赤色、多汁質で甘味が強く、酸味は少なく良質で生食に適し、日本産柑橘類中で最も重要な位置を占めています。缶詰、ジュース、フルーツポンチ、ケーキの材料にします。生食で胸の辺りのつかえや食欲不振(→食欲増進)に用いたり、皮を細切して、青菜と炒めたり、芋、肉などと煮込み、食べ過ぎに用います。小便が近い子供のおねしょ、冷え性、腎炎、膀胱炎の人は多食しない方がよいとされています。

成熟した果実の果皮を乾燥したものが生薬の陳皮(ちんぴ)で、特に風邪や健胃の目的で用いるのには、乾燥して1年以上置いた陳い(ふるい)ものが良いとされています。陳皮は胃内の余分な水分を去り、痰を除き、嘔吐、咳を止め、胃の働きをよくすることから健胃消化、鎮咳、去痰の目的で漢方の六君子湯(りっくんしとう)や温胆湯(うんたんとう)などの処方に配合されます。芳香性苦味健胃薬として民間薬にも配合され、のどの痛み、咳(喘息の人は痰、咳が出やすくなる)、鎮吐、解熱、口臭とり、乳の出が悪い時などに用います。

一方、未熟果実の果皮を乾燥したものは青皮(せいひ)と呼ばれ、胃の働きをよくして嘔吐や咳を止める目的で漢方の抑肝扶脾散(よっかんふひさん)や八味順気散(はちみじゅんきさん)などの処方に配合されます。

果皮にはリモネンを主成分とする精油を多く含み、ヘスペリジンなどの苦味質や、アルカロイドのシネフリン、多糖類のペクチンや、クエン酸を主とする有機酸、ビタミンCなどを含有しています。果皮は良い香りがするので乾燥したものを袋に入れて入浴剤にすると血行が良くなり、体も温まります。

新鮮な果皮を水蒸気蒸留して得られるミカン油はsweet orange oil の代用とされます。

リモネンはアロマテラピーでリラクゼーション効果を期待して用いられる他に、発泡スチロールを溶解することから工業分野でも注目されています。

果皮を乾燥して、七味唐辛子に入っている7種の内の1つとしても用いられています。

生の枝葉や果皮をアルミ、錫、鉄、銅などの媒染剤を用いて染色にも用いられています。

ミカンは江戸時代には種子ができにくいことが、子宝に恵まれないとして嫌われていたこともあります。

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