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二階堂先生の「食べ物は薬」

アケビ - 茎は生薬、果実は食物

アケビ
  • アケビ
  • 学名:Akebia quinata
  • 科名:アケビ科
  • 英名:akebi
  • 別名:野木瓜、木通、通草

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アケビの果実) アケビの茎(断面) アケビの葉と花 アケビ アケビ アケビ アケビ

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朝鮮半島、中国にも分布し、日本各地の山野に自生するつる性の落葉木本植物で、つるは他のものに巻き付いて長く伸びて成長して茎となります。

茎は径が1~1.5cmで、葉は葉柄を有し、先端が5つに分かれて小葉柄となり、その先が5枚の小葉からなる掌状複葉で、表面が濃い緑色、裏面は白色を帯びて互生しています。小葉が3枚からなるミツバアケビ Akebia trifoliata も知られています。強靭なつるをかっては薪を結束するのに用いたり、土瓶の弦や土瓶敷きなどに使いました。現在では籠などのアケビ細工などとして用いられるのは、このミツバアケビの方が多いようです。

花は4月頃に咲き、同じつるに雄花と雌花が別々に付き(雌雄同株、雌雄異花)、雄花は花序の上方に、雌花は下方に付き、共に花弁は無く淡紫色のガクが3枚づつあります。

果実は液果で長さ5~8cmの長楕円形で紫色をしており、熟すと縦に開裂して甘味のある美味な、白い半透明の果肉があり、光沢のある黒い種子が多数包まれています。

春に出るつる状の若芽を湯がいて和え物にしたり、未熟な果実をそのまま薄く切って天ぷらにしたり、熟した果実を生食します。熟した果実の中身を除いた果皮に挽肉や、魚のすり身を詰めてフライにしたり、煮物にしてもよく、またほろ苦みのある果皮を湯がいて和え物にして食べます。

花の付いている頃に皮を付けたままのアケビやミツバアケビのつる性の茎を採り、輪切りにして乾燥したものが生薬の木通(もくつう)です。成分としてはサポニンのアケボシド、ステロール類やカリウム塩が知られています。動物を使った試験では抗炎症作用、潰瘍予防作用や利尿作用などが認められており、消炎、利尿、鎮痛薬として関節リュウマチ、神経痛、月経不順などに用いられます。漢方の当帰四逆湯(とうきしぎゃくとう)、通導散(つうどうさん)や加味八脉散(かみはちみゃくさん)などの処方に湿熱を除き、小便を出し、血行を良くする目的で配合されています。中国では全く別の植物であるキダチウマノスズクサAristolochia manshuriensis の茎を「関木通」として「木通」の代用とすることがありますが、関木通には腎臓障害の恐れのあるアリストロキア酸という成分が含まれているため、日本では認められていないので注意が必要です。

茎だけでなく根を利尿剤としたこともあり、種子からとった油は食用や燈用にも利用した地方があったとされています。

採集して直ぐの葉や茎は媒染剤を用いて黄色、モスグリーン色などの染色に利用されています。

アケビの名前は「開け実(あけみ):実が割れて開く」から呼ばれたとされ、同じアケビ科でアケビと同様に甘くて美味しい果肉を持っているムベ Stauntonia hexaphylla の果実が開かないのと区別されます。木通は木部が通じていることからと言われ、アケビの茎にたばこなどの煙を吹き付けると中を通って出てくるのが見られます。

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