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二階堂先生の「食べ物は薬」

クチナシ - 無害の天然黄色着色料

クチナシ
  • クチナシ
  • 学名:Gardenia jasminoides
  • 科名:アカネ科
  • 英名:gardenia、 cape jasmine
  • 別名:センプク、カガリビサウ

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クチナシの果実と葉 クチナシの果実 クチナシの花 クチナシ

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日本、中国、インドシナ半島などに広く分布し、自生する常緑低木です。観賞用庭園樹としても栽培され、暖地に適し、排水がよい肥沃地で半日陰が良いとされています。

葉は長楕円形で先が尖り、基部はくさび形、革質で上面は濃緑色で光沢があり、下面は白緑色で葉縁は全縁です。夏に白色から後に黄色く変色し、大型で強い芳香を有する花が咲きます。合弁花ですが筒の先端は離弁花のように5~6深裂します。芳香は真夜中に最も強くなりますが、これは受粉させる昆虫を引き寄せるためと言われています。洋服の胸に飾る花としても知られ、ウエディングブーケなどには八重咲きのガーデニア種がよく使われます。花言葉は“私は幸福者”です。

果実は熟すと橙黄色となり、特徴のある長楕円形で縦に6~7本の稜があり、先端に萼が宿存しています。果実が熟しても割れないことから「口無し」→クチナシと言われています。果実の内部は2室に分かれており、黄色の果肉中には黒褐色の偏平な種子が多数入っています。

香りの良い花は甘味も少しあり、生のままで珍味としてサラダに入れたりして食べられ、また新鮮な花弁は煮ると粘りが出て、酢と醤油で味付けすると美味しく食べられます。乾燥して花をお茶に混ぜて香り付けにもします。

果実の色素は天然には珍しい水溶性のカロチノイド色素で、非常に美しい黄色をしています。しかしながら光や酸に弱いため飲料には適していません。サフランにも含有されているカロチノイド色素のクロシンcrocinが含まれており、無害の天然黄色着色料として重要で、沢庵漬、餅、米、栗きんとん、和菓子などの着色に使われています。また最も古い染料の一つとして布地の染色にも使われてきました。梔子色(支子色、くちなしいろ)は伝統色の1つで赤黄色に仕上がります。これはクチナシで染めた黄色に、ベニバナの赤を重ね染めした色を指し、クチナシだけでは黄支子色(きくちなしいろ)として区別しています。

紅熟する前の黄変した果実を採り、果柄と萼片を除いて乾燥したものが生薬の山梔子(さんしし)で、中国最古の薬物書と言われる神農本草経の中薬の部に巵子(しし)として収載されています。イリドイド配糖体のゲニポシドgeniposide、ゲニピンgeniinなどの活性成分を含有しており、消炎、排膿薬、皮膚疾患や精神神経薬、利胆、解熱、鎮静、止血作用などが知られています。また山梔子粉末に黄柏粉末を混ぜて、小麦粉と酢で練り合わせドロドロにして、外用で打ち身、捻挫、神経痛の痛みや腫れなどにも用いられます。

漢方では消炎、利尿、止血の目的で黄疸、吐血などに用い、さらに利胆薬としても使われます。梔子鼓湯、 梔子厚朴湯、温清飲、茵チン蒿湯、黄連解毒湯などの処方に配合されます。

鑑賞用品種も多く知られていますが、八重咲のものは結実しないため薬用にはならず、かつ果実を用いる目的には適していません。


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