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二階堂先生の「食べ物は薬」

セイロンニッケイ(シナモン)- 漢方処方薬で、世界最古の香辛料

セイロンニッケイ(シナモン)
  • セイロンニッケイ
  • 学名:Cinnamomum verum
  • 科名:クスノキ科
  • 英名:true cinnamon tree, Ceylon cinnamon tree
  • 別名: シナモン

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セイロンニッケイ(シナモン)の茎と葉 セイロンニッケイ(シナモン)の茎 セイロンニッケイ(シナモン)の皮をむいた茎 セイロンニッケイ(シナモン)の茎の断面 セイロンニッケイ(シナモン)の花穂 セイロンニッケイ(シナモン)01 セイロンニッケイ(シナモン)02 セイロンニッケイ(シナモン)02

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スリランカ*、インド原産の高さ12~17m, 全株に芳香がある常緑高木で、インド南部やスリランカに野生する他に、現在は熱帯地方で広く栽培されています。[* 1948年にイギリスから独立してセイロン、1972年にスリランカと改称] 栽培は温暖で日照が十分にあり、排水良好で肥沃な土地に適しています。

長楕円形の葉は互生し、革質で、表面は濃緑色で光沢があります。裏面は灰緑色で細柔毛に被われており、3~5本の主脈がくっきりと見えます。花は円錐花序として、黄緑色をした、独特の芳香をもつ直径3mmほどの小花をつけます。

樹皮は灰緑色をしており、この樹皮を剥ぎ取って、外側の粗い皮を削り落とした部分を長管状にして陽乾したものが生薬の桂皮(けいひ)です。香味が強く、解熱、鎮痛、駆風、矯味、芳香性健胃薬とする他に、葛根湯(かっこんとう)をはじめ、桂枝湯(けいしとう)、安中散(あんちゅうさん)、桂枝麻黄各半湯(けいしまおうかくはんとう)や苓桂甘棗湯(りょうけいかんそうとう)などの漢方処方に発汗・発散や健胃薬として配合されます。

また挿し木をして2年目の若枝から樹皮を剥いで、1昼夜むしろを掛けて発酵させた後、内側の赤褐色の皮を棒状に巻いて陰干ししたものがシナモンバークまたはシナモンスティックとして市場で見られます。粉末にしたシナモンパウダーは独特の香味と香り、かすかな辛味を有する世界最古の香辛料とも言われ、紅茶、コーヒー、カクテルなどの飲み物や、ケーキ、クッキー、パイなどの菓子に高級食品香味料として使われます。また中東や北アフリカなどでは料理に、またインド料理のガラムマサラやチャイなどにも用いられます。

BC4000年頃からエジプトでミイラの防腐剤として使われ始めており、旧約聖書や古代ギリシャの詩などにも記述が見られます。

成分としてはケイアルデヒドを主成分とする精油のほかに、タンニン、クマリンや粘質物が知られています。

樹皮や根を水蒸気蒸留して得られる桂皮油はアイスクリーム、酒の風味付けや香水の原料などに使われます。

シナニッケイ Cinnamomum cassia の枝や若木の幹から作られるカシアには辛味と渋味とがあり、香りもシナモンより劣りますが、生産量が多いため、シナモンの代用品として使われることもあります。また日本南部の暖地で半野生状態にあるニッケイ Cinnamomum sieboldii の樹皮は香りが弱いので利用されず、根皮はニッキと呼ばれ、香りがあり、辛味が強いので香辛料として用いられます。


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