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二階堂先生の「食べ物は薬」

ビワ - 湿疹、あせもにビワ葉で入浴

ビワ
  • ビワ
  • 学名:Eriobotrya japonica
  • 科名:バラ科
  • 英名:japanese loquat, japanese medlar, japanese plum, loquat
  • 別名:枇杷

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ビワの果実(左)と果実断面(種子) ビワ葉の表(左)裏(右) ビワの花と葉 ビワ ビワ ビワ

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中国及び日本原産の常緑性果樹で、夏湿気候に適し暖地に自生しています。また排水の良い傾斜地の中腹で、受光量が多く気温が高めの石灰土壌地などで栽培されます。楽器の琵琶(びわ)に似ていることから名付けられたと言われますが、果実と葉のどちらの形が似ているのかは定かではありません。

若枝には淡褐色の綿毛を密生しています。葉は互生し、大形の長楕円形、粗鋸歯縁で、表面は暗紫色ではじめは有毛ですが、後に無毛となり光沢があります。裏面は淡褐色の軟毛を密生し、短い葉柄を持ち、三角形の托葉があります。葉脈の部分が凹むので波を打って凹凸がある厚くて堅い革質の葉です。

晩秋から初冬の頃に枝先に円錐花序を付けて、芳香のある地味な5弁の白色花を多数咲かせます。

自家受粉も可能で開花した翌年の初夏に、卵型の花托が肥厚した黄橙色の偽果(液果)が付きます。全体にうぶ毛に覆われ、熟すと黄色になります。果実は多汁で甘いが、酸味は少なく、カロチンの含有量が多い果物で、生食を主としてゼリー、ジャム、果実酒、缶詰などに加工されます。中に赤褐色の大きな種子が3~5個入っており、可食率は約70%と言われます。

「大薬王樹」とも呼ばれ、民間薬的に果実を咳、嘔吐、喉の渇きなどに効果があるとして用いられます。また葉や種子に砂糖を加えて煮詰めて、飲むと激しい咳に有効とも言われます。果実酒は疲労回復や健康増進に、葉は枇杷茶としたり、患部に直接貼り、その上にお灸を載せる温圧療法などが知られています。中国では生食では鎮咳、鎮嘔、健胃、止渇の効があるとされ、種子には肝臓病、むくみ、咳に有効で、花を蒸して蜂蜜をかけて食べると風邪、咳に効き、根は治りにくい咳や関節痛に効くといわれています。

乾燥させた材は非常に硬く、粘りも強いので杖の材料として昔から使われています。「長寿杖」として利用したり、剣道の高級木刀としても用いられます。

葉を採って裏面の毛を丁寧に除いて水洗後、陽乾したものが生薬の枇杷葉(びわよう)で、種子を陽乾したものを枇杷仁(びわにん)と呼びます。

枇杷葉の煎汁は清涼健胃薬として暑気払いや痰の少ない乾咳に用いたり、浴湯料として湿疹やあせもに用います。枇杷仁は杏仁水代用品製造に用いられます。

成分としては青酸配糖体のアミグダリンのほかに、テルペンアルコールなどの精油、サポニン、トリテルペン、タンニン、糖類、クエン酸などの有機酸などが含有されています。

アミグダリンについてはアメリカなどで癌に有効とされたり、ビタミンB17と呼ばれたりしていましたが、これらについての科学的根拠は確認できず、現在ではアメリカFDA(食品医薬品局)により販売が禁止されています。それにも関わらずサプリメントなどとして販売され、重篤な健康障害を起こした報告が複数なされています。アミグダリンを多く含むビワの葉や種子を経口摂取するときには十分注意する必要があります。


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