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二階堂先生の「食べ物は薬」

マタタビ - 縄文時代からの利尿、強壮果実

マタタビ
  • マタタビ
  • 学名:Actinidia polygama
  • 科名:マタタビ科
  • 英名:silver vine
  • 別名:木天蓼(もくてんりょう)、夏梅、マタンプ

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マタタビの葉 マタタビの正常果実 マタタビの花 マタタビの果実(虫こぶ) マタタビ果実の縦断面(上)と横断面(下) マタタビ マタタビ マタタビ

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日本原産、雌雄異株で蔓性の落葉低木で、サハリン、シベリア東部、朝鮮半島から中国大陸に分布しています。主に山沿いの平地から標高1,000m位までの深山に自生しています。

若い小枝には軟毛があり、枝は伸長して垂れ下がるか周囲に絡みついて伸びて行きます。

葉は薄く、有柄で互生し、広い卵形で先端が尖り、葉脈上には硬質の毛が散生しています。葉縁は鋸歯状をしており、開花が近づく頃には枝の上部に付く葉の表面の上半面~全面が白色に変化する特異な現象が見られます。このことから遠方からでもマタタビの生育場所の確認が可能となります。

初夏に雄株の葉腋から花柄を出し、白色5弁で梅に似た花を下向きに咲かせます。雌株には花弁のない雌花あるいは白色5弁の両性花を付けます。

果実は2~2.5cm程の長い楕円形で、先が尖っており秋には熟して黄変し、特有の辛味と芳香を示します。雌株の蕾の子房にマタタビノアブラムシが産卵すると、後に子房が異常な発育をして、でこぼこした虫こぶ(虫エイ、ちゅうえい)となります。秋~冬にこれを採取し、熱湯に浸けて幼虫を殺してから陽乾したものを生薬の木天蓼(もくてんりょう)と呼びます。また蔓を乾燥したものを天木蔓(てんもくつる)、虫こぶとならない果実を乾燥したものを天木実(てんもくじつ)と呼びます。

果実は古く縄文時代から食用とされていたようで、遺跡から種子が出土されています。若い果実を塩漬けにして食べたり、薄く切って揚げ物に、やや辛いが酒の肴、精力剤にも珍重されます。熟した果実はそのまま生で食べられます。若芽や花は塩を入れた熱湯で茹で、水に晒してから浸し物、和え物などにします。蕾もまた塩蔵して香味が良く、微かな辛味があって食用とされます。

成分としてはイリドイド系テルペンのマタタビラクトン類(イリドミルメシン、ネペタラクトンなど)、β-フェニルエチルアルコール、アルカロイドのアクチニジンなどが含有されています。特に若葉にはビタミンCやAが多く入っています。

木天蓼には体を温めて血行をよくし、強心、利尿の働きがあり、鎮痛、強壮薬とされ、リウマチ、神経痛、腰痛、冷え症などに用いられます。また木天蓼を3ヶ月ほど酒に漬けて作られるマタタビ酒(木天酒)にも同様の効果が知られています。果実、茎や葉は胃弱な人の健胃薬として煎じて飲まれ、若葉はお茶にしたり、入浴剤にしても利用されます。

ネコ科の動物(ネコ、ライオン、トラ、ピューマ、ジャガー、ヒョウ)に対する作用は有名で、上顎にあるヤコブソン器官がマタタビラクトン類に反応して脳にその信号が伝えられ、興奮、催眠、流涎作用などにより陶酔状態となって、いわゆる「マタタビ踊り」の反応が現れると言われます。ただし多量を与えると呼吸麻痺を起こす危険があります。

類似植物にはマタタビ(Actinida)属のミヤママタタビ、サルナシや中国原産のキウィフルーツなどが知られています。


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