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二階堂先生の「食べ物は薬」

ヘチマ - つるを切って採取する美人水はヒビ、肌荒れ、日焼け防止に

ヘチマ
  • ヘチマ
  • 学名:Luffa cylindrica
  • 科名:ウリ科
  • 英名:luffa, loofah, loofa
  • 別名:糸瓜、絲瓜、天糸瓜

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ヘチマの葉と果実 ヘチマ果実の断面(上)種(下) ヘチマの花、雄花(上)雌花(下) ヘチマ ヘチマ

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熱帯アジア原産の1年生つる性植物で、江戸時代の初め頃に渡来したとされ、浜松、袋井地方が昔から産地として知られている。

茎には稜があり、分枝した巻きひげによって他のものに巻き付いて茂ってゆく。葉は掌状で鋸歯を有し、長い葉柄があり、葉と巻きひげは互生している。雌雄同株で夏から秋にかけて黄色い合弁花を葉腋に咲かせ、雄花は総状に付き、雌花は1個づつ花を咲かせる。

果実は30-60cmと長大なうり状果で、果肉の中は網状に繊維が発達している。その繊維の内部は3室に分かれ、多数の扁平で黒色の種子が入っている。水に浸すと果皮と果肉が容易に剥離するので網状の繊維だけを取って日に乾せば、いわゆる「へちまたわし」が得られ、食器洗いや、入浴時に使ったり、草履や靴底の中敷きに利用する。

食用の品種も知られており、果実が約40cmと短く、繊維があまり発達せず、未熟果は柔らかく香りと淡い甘味があって煮物にする。その他、トカドヘチマ Luffa acutangulaと呼ばれるものもあり、果実の表面に10本の稜があるのが特徴で、果実がやはり10-40cmと小型で野菜用として栽培され、若い果実を煮物や汁の実にしたり、カレー料理に入れて用いられる。

葉やごく若い果実は苦味もなく、柔らかく皮をむいて輪切りにし生食したり、揚げ物、汁の実、みそ漬け、塩漬けなどにして食べる。乾燥して干し瓜として保存食品としても良い。

民間では地上30-60cmの所でつるを切って流出する水、糸瓜水(しかすい)を採取し、これを飲んで鎮咳、利尿薬とする。また少しは青臭い臭いがするが清らかで江戸時代から「美人水」と呼ばれ、美容液、石鹸の代用として、又ひび、肌荒れ、日焼け防止に効果があるとされている。種子油は菜種湯の代用に、油かすは肥料として利用できる。

果実は糸瓜(しか)と呼ばれ、輪切りにして、そのまま煮てその汁を煮詰め、鎮咳、去痰、利尿剤として用いられ、喉が痛い時にはこの汁でうがいすると良いとも言われている。

薩摩藩主であった島津重豪の命で作られた「成形図説」に返知麻(へちま)は「トウリ」と言われるが、これは糸瓜(いとうり)のイが抜けてトウリとなった。トウリのトはイロハ歌のヘとチの間(マ)にあることから「ヘチの間」=ヘチマと言われた。また皮を除き、果物や焼き魚と煮たり、田楽、和え物にもする。と記されている。

正岡子規の「痰一斗糸瓜の水も間に合わず」はヘチマの去痰作用に関わる句として知られている。なお、糸瓜(へちま)は秋の季語。


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