
薬食同源(やくしょくどうげん)日々の生活の中に取り入れたい薬膳の知恵
薬膳の基本として、「薬食同源」と言い、私達が普段食べている食材全てに効能効果があり、薬となり得るという考えがあります。毎日の自分が食べている食材が自分の体を作り、その時々の体調に合わせて、食材を使い分けることで、体を養い健康を保つことができるというわけです。
薬膳では五味(酸・苦・甘・辛・鹹)のうち、酸甘生津(さんかんしょうしん)といい、甘味と酸味が合わさることで、体に潤いをもたらしてくれると考えます。夏場は汗を沢山かくため、体内の水分やミネラル分が失われてしまい、渇きと共に疲労倦怠感を感じやすくなります。また、汗などにより体液が失われると熱中症のリスクが高まります。この時期は夏バテ予防や熱中症対策として、甘酸っぱい酸梅湯が活躍します。
富士堂の酸梅湯は夏の体にとって嬉しい生薬がたっぷり!
酸梅湯作りに必要な生薬を一つ一つ揃えるのはなかなか大変なため、作ることをためらってしまう方も多いのですが、富士堂オリジナルの酸梅湯は燻し梅(いぶしうめ)・蜜柑の皮・さんざしの果肉・クローブ・リコリスの五種類の生薬がセットになっているため、誰でも簡単にご自宅で酸梅湯作りができます。

◆燻し梅(いぶしうめ):梅をスモークしたもので、生薬では「烏梅(うばい)」といいます。「鳥(う)」はカラス、黒い色にちなんでこの名前がつけられたと言われています。烏梅は遣隋使が、中国から日本に持ち帰ったのをきっかけに、漢方薬として日本に渡ってきました。烏梅は古来より回虫による腹痛・嘔吐を改善する良薬として重宝されてきましたが、収斂(しゅうれん)効果が高く、慢性の下痢への効果を期待することができ、お腹をこわしやすい夏にはとても重宝します。また汗をかき、喉が渇きすぎた時に喉を潤してくれる効果も期待できます。
<基原>バラ科のウメの未成熟果実を燻蒸したもの
<性味>酸・渋・平
<帰経>肝・脾・肺・大腸
<効能と応用>
①斂肺止咳 江戸時代の民間薬として肺が弱い人の慢性の咳に用いられたとあります。
②渋腸止瀉 慢性の下痢に用いられます。
③安胃安蛔 回虫による腹痛・嘔吐に用いられます。
④生津止渇 のどの渇きを潤します。
(出典:『中医臨床のための中薬学』神戸中医学研究会編著 P470「烏梅」)
◆蜜柑の皮:生薬では、「陳皮(ちんぴ)」と言われているもので、温州みかんの皮を干したものです。胃腸の気の巡りを良くしてくれて、消化不良でお腹が張って苦しい時やむかむかする時などに使われます。
<基原>ミカン科のウンシュウミカンの成熟果皮
<性味>辛・苦・温
<帰経>脾・肺
<効能と応用>
①理気健脾 お腹が張る・気持ち悪い・吐き気がするなどに用います。
②燥湿化痰 胸が苦しい、咳、痰に用いられます。
(出典:『中医臨床のための中薬学』神戸中医学研究会編著 P251「陳皮」)
◆さんざしの果肉:バラ科のサンザシの成熟果実を指します。夏場は暑いことを理由につい冷たいものに手が伸びてしまい、お腹をこわしてしまうことがあります。山査子は「消食薬(しょうしょくやく)」として、胃腸機能が衰えて下痢している時や、消化不良の時に、消化を助け下痢を止めてくれる食材として重宝されています。「保和丸(ほわがん)」という乳児の消化不良やお肉の消化不良の際の漢方薬の構成生薬としても使われています。
<基原>バラ科サンザシの成熟果実
<性味>酸・甘・微温
<帰経>脾・胃・肝
<効能と応用>
①消食化積 食積、特に脂っこい肉料理によるお腹の張りや腹痛・下痢に用います。
②止痢 細菌性の下痢に炭で炒めて用いることがります。
③破気化瘀 産後の瘀阻による腹痛・悪露・瘀血による生理痛に用います。
(出典:『中医臨床のための中薬学』神戸中医学研究会編著 P375「山査子」)
◆クローブ:フトモモ科チョウジノキの花蕾のことです。生薬では「丁子(ちょうじ)」や「丁香(ちょうこう)」とも呼ばれ、独特の芳香があります。胃腸を温め、胃が冷えた時のしゃっくりや食欲不振、吐き気や下痢などに用いられます。
<基原>フトモモ科チョウジノキの花蕾
<性味>辛・温
<帰経>肺・胃・脾・腎
<効能と応用>
①温中降逆 胃が冷えた時のしゃっくりや吐き気に用いられます。
②下気止痛 奔豚気逆による胸やお腹の痛みに用いられます。
③温陽助陽 陽気が不足していることによるインポテンツやおりものなどに用いられます。
(出典:『中医臨床のための中薬学』神戸中医学研究会編著 P161「丁子」)
◆リコリス:生薬名は「甘草(かんぞう)」といいます。文字通り甘い生薬で、甘味によって痙攣による痛みを和らげてくれます。また、漢方薬にはよく用いられ性質の異なる薬物の調和にも使われます。
<基原>マメ科のウラルカンゾウの根
<性味>甘・平
<帰経>十二経
<効能と応用>
①補中益気 お腹が弱くて下痢する人に人参などと合わせて用いられます。
②緩急止痛 腹痛や手足の痙攣による痛みに用いられます。
③清熱解毒 のどの腫れや痛みに用いられます。
④調和薬性 漢方薬の生薬を調和したり、毒性を軽くしたり、薬力を緩めたりするのに用いられます。
(出典:『中医臨床のための中薬学』神戸中医学研究会編著 P392「甘草」)
氷砂糖:ショ糖の結晶のことで、普通の砂糖を使うよりもサラサラしていて、重たくならないため、薬膳ではよく使われます。生命エネルギー(気)や潤い(水)を養ってくれます。お好み甘さになるよう分量を調整してください。
酸梅湯の作り方
<用意するもの>
・富士堂の酸梅湯1袋
・氷砂糖 100g
・鍋
<作り方>
1.酸梅湯1袋分を水2000㏄と共に鍋に入れ、20分浸す
2.強火で沸騰させたら弱火に切り替え、蓋をしたまま40分煮出す
3.火を止め、氷砂糖100gを入れ溶かす
4.冷めたら茶こしで濾して完成

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酸梅湯の飲み方
そのまま飲んでも美味しい酸梅湯ですが、他にもおすすめの飲み方があるのでご紹介させて頂きたいと思います。
●酸梅湯を濃い目に煮出してソーダで割って飲む。
●お好みで肌代謝を高めるハイビスカスなどをブレンドするのも陽射しの強い時期にはおすすめです。最後に金木犀を浮かべても良いでしょう。
是非自分好みにアレンジしてみてください!
酸梅湯を使ったアレンジレシピ
その他にもゼリーにするなど、アレンジするのもおすすめです。
〇酸梅湯とぶどうのゼリー〇
<用意するもの>
・煮出した酸梅湯 500cc
・ぶどう お好みの量
・アガー 5g
・白ワイン 30㏄
・ミント(飾り用)
・鍋
<作り方>
①ぶどうの皮を剥く。(この時出た果汁は酸梅湯に混ぜます)
②酸梅湯を鍋に入れて火にかけ①の果汁と白ワインを入れる。沸騰したら弱火にし、アガー5gをダマにならないよう攪拌しながら溶かしいれる。
③容器に移し粗熱を取り一晩冷やし固める。
④器に③を入れ、ぶどうを乗せて、ミントを飾る。
