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自家感作性皮膚炎とは
自家感作性皮膚炎とは、虫刺されやアトピー性皮膚炎などの皮膚炎が発端となり、二次的に発症する皮膚炎のことです。
最初の皮膚炎(下腿に多い)によってできた変性たんぱく質や毒素などが、血流や掻きむしる刺激により全身に広がります。
すると、もともと炎症がなかった部位でアレルギー反応を起こし、皮膚炎を発生させることがあります。この皮膚炎を「自家感作性皮膚炎」と言います。



症状と一般的な治療
2~5ミリの紅斑(赤み)や丘疹(水ぶくれ)、膿疱(膿を伴う吹き出物)などで、下腿のみならず体幹や顔などに広がり、激しい痒みをよく伴います。
また、全身性のアレルギー反応であるため、発熱や倦怠感などの全身症状が生じることもあります。
通常は、ステロイド外用薬抗ヒスタミン薬により治療をし、症状がひどい場合は、ステロイドの飲み薬を使用することもあります。



当店での症例
今回は、ステロイド剤を20年間使用しても治らなかった自家感作性皮膚炎が漢方治療で治った症例をご紹介したいと思います。
完治後にいただいたお客様アンケートについてはこちらで掲載しております↓
〇46歳 20年間のステロイドでも治らなかった自家感作性皮膚炎が6か月の漢方で完治|漢方体験談リンク


治療経過写真



【初来店時】
20年前、左足脛の所にかぶれがあり、特に気にせずいたところ全身に感染が広がったそう。
ステロイド剤を使用すると、ある程度は抑えられますが、完治に至らず、再発を繰り返す状態でした。これ以上ステロイド剤を使いたくない、との思いで漢方薬を求めご来店されました。(写真「①治療前」)

【平素】
飲酒・喫煙量が多く、汗かきやすい
色白で、小さい黒子が多い
舌:暗紅、苔正常

【漢方的所見及び治療】
桂枝体質」であり、また局部的瘀血が見られると判断し、桂枝茯苓丸を投薬。
また、乾燥肌と炎症状態の改善に当帰飲子黄連解毒湯の併用を提案しました。

【経過】
2か月目:
2か月間の服用で、大分良くなりましたが、年末年始に多量に飲酒したことにより症状が再び悪化。炎症状態を抑えることを優先し、消風散に変更。
4か月目:
炎症が抑えられ瘡蓋が落ちたところ、状態のよい皮膚が20年ぶり現れました(写真「②治療中」)
6か月目:
ステロイド剤使用中は瘡蓋が落ちた際に出血が見られ、正常な皮膚になかなか戻りませんでしたが、今回は正常な皮膚が出てきました。色素沈着がありますが、ステロイド剤による副作用だと考えられます。(写真「③治療後」)
7か月目:
状態が良いため、漢方を減量しつつそのまま卒業。

【まとめ】
自家感作性皮膚炎については、短期間(約2か月)でステロイド剤治療をしても治らない場合は、漢方薬との併用をお勧めします。漢方では、免疫力を調整したり、炎症を抑えたりなど、根本的な治療をしていけることが大きなメリットだと言えるでしょう。

中医師 張冬リンク


【参考文献】
許志泉. (2018) “漢方求真”, 桐書房, 初版, pp.37-38, 153
清水宏. (2018) “あたらしい皮膚科学”, 中山書店, 第3版, pp.126-127


【関連記事】
>>症例「乾燥性皮膚炎の痒みが漢方薬でみるみる軽快。自律神経の乱れも改善!リンク
>>記事「蕁麻疹に対する漢方医学の認識と漢方薬治療リンク
>>カテゴリー「アトピー・皮膚炎・蕁麻疹・乾癬などリンク
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こんにちは!薬剤師の関田リンク です。

今回は、産後の養生についてご紹介します。


漢方で考える「産後の女性」|髪が抜ける、眠れない、イライラ、腰痛...

産後の女性は「血虚」状態です。

血虚とは、身体に必要な栄養が不足しているという意味です。

出血を伴って出産をし、さらに授乳で赤ちゃんにどんどん栄養を吸収されます。

そのため、産後不調の原因のベースに「血虚」があります。

漢方治療では、当帰リンク などの補血効果のある生薬で補いながら、症状に合わせた漢方を選んでいきます。


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1)脱毛、白髪

産後3か月くらいに、一時的に髪の毛が大量に抜ける時期があります。

また、産前にはなかったはずの白髪が急に増えることがあります。

中医学では「髪は血の余り」という有名な言葉がありますが、

漢方では、血を補う補血、腎精を補う補腎効果のある漢方薬が有効なことが多いです。

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2)不眠、寝不足

赤ちゃんが生まれると、ただでさえ血不足でフラフラ、眠いのに、赤ちゃんが泣くたびに授乳や抱っこをする毎日。

常に緊張感と隣り合わせなので、自分のペースで寝ることができない状態が続いて、慢性的な不眠になります。

漢方では、体力を補ったり、自律神経の乱れを整えたり、入眠効果のある成分など症状に合わせて生薬・漢方薬を選びます。

関連記事>>【不眠症の漢方薬】漢方で睡眠薬が止められた3症例リンク


3)イライラ、うつ

産後は、生活、ホルモン、体調の大変化が一度に訪れるので、自律神経が乱れてしまい、イライラやうつ症状が出やすくなります。

特に、今まで人に頼らず頑張ってきた女性が、産後はなかなか思うようにいかず症状が出やすいといわれています。

「イライラ」「うつ」症状は、決して自分のせいではなく、体のバランスが乱れることが原因なので、安心してください。

漢方でバランスを戻すお手伝いをします。

また、つらい時だけのレスキュー的に飲む方法もあります。

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4)腱鞘炎、腰痛、膝痛

血虚による栄養不足、ホルモンバランスの変化により、炎症をおこしやすくなり、あちこちに痛みが発生します。

産後動かないことで筋力が落ちてしまうことも原因の1つです。

ちなみに私も産後、無理をして腱鞘炎で両手が使えなくなり、抱っこが苦痛で、体力的にも精神的にも追い込まれていました。(養生をしていれば・・)

漢方治療では、気血をめぐらせ、補血をして痛んだところの回復力を上げる漢方を選びます。

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最後に

これ以外にも、産後の不調は人それぞれ、たくさんあります。

「なんでこうなんだろう・・」だいたい産後が原因です。

産後、一番大切なのは、「人に頼ること」だと思います。

パートナー、親、兄弟、自治体のサービスなど頼れるものは何でも利用しちゃいましょう!

富士堂漢方薬局としても、より幸せな産後を送っていただくために、身体面からも精神面からもサポートしていきますので、是非お気軽にご相談ください!(お忙しい場合は気軽にできるLINE相談がオススメです)



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ご紹介した商品は店頭・オンラインショップで販売中!>>富士堂オンラインショップリンク

関連記事

>>「産後うつに「血」を養う漢方」リンク

>>「産後・流産後の不調におすすめの漢方(産後脱毛・産後鬱など)」リンク


酸梅湯は文字通り、梅を主役にした甘酸っぱいシロップで、夏の飲物として中国で古くから飲まれております。もとは清の時代の皇帝が作らせた飲み物で、のちに宮廷から民間へと広がりました。この酸梅湯は、梅をスモークした「烏梅(うばい)」という生薬を主役とし、暑気払いのドリンクとして現在も台湾・中国などの暑い地域で親しまれています。


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薬食同源(やくしょくどうげん)日々の生活の中に取り入れたい薬膳の知恵

薬膳の基本として、「薬食同源」と言い、私達が普段食べている食材全てに効能効果があり、薬となり得るという考えがあります。毎日の自分が食べている食材が自分の体を作り、その時々の体調に合わせて、食材を使い分けることで、体を養い健康を保つことができるというわけです。

薬膳では五味(酸・苦・甘・辛・鹹)のうち、酸甘生津(さんかんしょうしん)といい、甘味と酸味が合わさることで、体に潤いをもたらしてくれると考えます。夏場は汗を沢山かくため、体内の水分やミネラル分が失われてしまい、渇きと共に疲労倦怠感を感じやすくなります。また、汗などにより体液が失われると熱中症のリスクが高まります。この時期は夏バテ予防や熱中症対策として、甘酸っぱい酸梅湯が活躍します。


富士堂の酸梅湯は夏の体にとって嬉しい生薬がたっぷり!

酸梅湯作りに必要な生薬を一つ一つ揃えるのはなかなか大変なため、作ることをためらってしまう方も多いのですが、富士堂オリジナルの酸梅湯は燻し梅(いぶしうめ)蜜柑の皮さんざしの果肉クローブリコリスの五種類の生薬がセットになっているため、誰でも簡単にご自宅で酸梅湯作りができます。

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◆燻し梅(いぶしうめ):梅をスモークしたもので、生薬では「烏梅(うばい)」といいます。「鳥(う)」はカラス、黒い色にちなんでこの名前がつけられたと言われています。烏梅は遣隋使が、中国から日本に持ち帰ったのをきっかけに、漢方薬として日本に渡ってきました。烏梅は古来より回虫による腹痛・嘔吐を改善する良薬として重宝されてきましたが、収斂(しゅうれん)効果が高く、慢性の下痢への効果を期待することができ、お腹をこわしやすい夏にはとても重宝します。また汗をかき、喉が渇きすぎた時に喉を潤してくれる効果も期待できます。
<基原>バラ科のウメの未成熟果実を燻蒸したもの
<性味>酸・渋・平
<帰経>肝・脾・肺・大腸
<効能と応用>
斂肺止咳 江戸時代の民間薬として肺が弱い人の慢性の咳に用いられたとあります。
渋腸止瀉 慢性の下痢に用いられます。
安胃安蛔 回虫による腹痛・嘔吐に用いられます。
生津止渇 のどの渇きを潤します。
(出典:『中医臨床のための中薬学』神戸中医学研究会編著 P470「烏梅」)



◆蜜柑の皮:生薬では、「陳皮(ちんぴ)」と言われているもので、温州みかんの皮を干したものです。胃腸の気の巡りを良くしてくれて、消化不良でお腹が張って苦しい時やむかむかする時などに使われます。
<基原>ミカン科のウンシュウミカンの成熟果皮
<性味>辛・苦・温
<帰経>脾・肺
<効能と応用>
理気健脾 お腹が張る・気持ち悪い・吐き気がするなどに用います。
燥湿化痰 胸が苦しい、咳、痰に用いられます。
(出典:『中医臨床のための中薬学』神戸中医学研究会編著 P251「陳皮」)



◆さんざしの果肉:バラ科のサンザシの成熟果実を指します。夏場は暑いことを理由につい冷たいものに手が伸びてしまい、お腹をこわしてしまうことがあります。山査子は「消食薬(しょうしょくやく)」として、胃腸機能が衰えて下痢している時や、消化不良の時に、消化を助け下痢を止めてくれる食材として重宝されています。「保和丸(ほわがん)」という乳児の消化不良やお肉の消化不良の際の漢方薬の構成生薬としても使われています。
<基原>バラ科サンザシの成熟果実
<性味>酸・甘・微温
<帰経>脾・胃・肝
<効能と応用>
消食化積 食積、特に脂っこい肉料理によるお腹の張りや腹痛・下痢に用います。
止痢 細菌性の下痢に炭で炒めて用いることがります。
破気化瘀 産後の瘀阻による腹痛・悪露・瘀血による生理痛に用います。
(出典:『中医臨床のための中薬学』神戸中医学研究会編著 P375「山査子」)



◆クローブ:フトモモ科チョウジノキの花蕾のことです。生薬では「丁子(ちょうじ)」や「丁香(ちょうこう)」とも呼ばれ、独特の芳香があります。胃腸を温め、胃が冷えた時のしゃっくりや食欲不振、吐き気や下痢などに用いられます。
<基原>フトモモ科チョウジノキの花蕾
<性味>辛・温
<帰経>肺・胃・脾・腎
<効能と応用>
温中降逆 胃が冷えた時のしゃっくりや吐き気に用いられます。
下気止痛 奔豚気逆による胸やお腹の痛みに用いられます。
温陽助陽 陽気が不足していることによるインポテンツやおりものなどに用いられます。
(出典:『中医臨床のための中薬学』神戸中医学研究会編著 P161「丁子」)



◆リコリス:生薬名は「甘草(かんぞう)」といいます。文字通り甘い生薬で、甘味によって痙攣による痛みを和らげてくれます。また、漢方薬にはよく用いられ性質の異なる薬物の調和にも使われます。
<基原>マメ科のウラルカンゾウの根
<性味>甘・平
<帰経>十二経
<効能と応用>
補中益気 お腹が弱くて下痢する人に人参などと合わせて用いられます。
緩急止痛 腹痛や手足の痙攣による痛みに用いられます。
清熱解毒 のどの腫れや痛みに用いられます。
調和薬性 漢方薬の生薬を調和したり、毒性を軽くしたり、薬力を緩めたりするのに用いられます。
(出典:『中医臨床のための中薬学』神戸中医学研究会編著 P392「甘草」)


氷砂糖:ショ糖の結晶のことで、普通の砂糖を使うよりもサラサラしていて、重たくならないため、薬膳ではよく使われます。生命エネルギー(気)や潤い(水)を養ってくれます。お好み甘さになるよう分量を調整してください。


酸梅湯の作り方

<用意するもの>
・富士堂の酸梅湯1袋
・氷砂糖 100g
・鍋


<作り方>
1.酸梅湯1袋分を水2000㏄と共に鍋に入れ、20分浸す
2.強火で沸騰させたら弱火に切り替え、蓋をしたまま40分煮出す
3.火を止め、氷砂糖100gを入れ溶かす
4.冷めたら茶こしで濾して完成


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富士堂のオンラインショップリンク からもお買い求めいただけます。(税込864円)



酸梅湯の飲み方

そのまま飲んでも美味しい酸梅湯ですが、他にもおすすめの飲み方があるのでご紹介させて頂きたいと思います。

●酸梅湯を濃い目に煮出してソーダで割って飲む。
●お好みで肌代謝を高めるハイビスカスなどをブレンドするのも陽射しの強い時期にはおすすめです。最後に金木犀を浮かべても良いでしょう。


是非自分好みにアレンジしてみてください!

酸梅湯を使ったアレンジレシピ
その他にもゼリーにするなど、アレンジするのもおすすめです。

〇酸梅湯とぶどうのゼリー〇

<用意するもの>
・煮出した酸梅湯 500cc
・ぶどう お好みの量
・アガー 5g
・白ワイン 30㏄
・ミント(飾り用)
・鍋

<作り方>
①ぶどうの皮を剥く。(この時出た果汁は酸梅湯に混ぜます)
②酸梅湯を鍋に入れて火にかけ①の果汁と白ワインを入れる。沸騰したら弱火にし、アガー5gをダマにならないよう攪拌しながら溶かしいれる。
③容器に移し粗熱を取り一晩冷やし固める。
④器に③を入れ、ぶどうを乗せて、ミントを飾る。


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富士堂漢方医学研究所 所長 許 志泉リンク  (2022-7-20 東京)

現在日本ではオミクロンBA.5株による第7波が猛威をふるっており、東京都では連日、感染者数が3万人前後で推移し更なる増加傾向にあります。多くの方は入院できず自宅療養を余儀なくされています。また、オミクロンBA.5株によるCOVID-19は多数が軽症と言われますが、激しい咽頭痛や高熱などの症状に苦しめられる方が多くいらっしゃいます。

COVID-19の予防・治療において、漢方薬がもたらす効果は実証されております。
予防の研究では、葛根湯と補中益気湯の内服から28日後の段階でT細胞やNK細胞の明らかな増加が確認され、また活性化受容体NKp46,NKp30、制御性受容体NKG2Aのリンパ球も増加しました。つまり、免疫増強、抗体産生促進の作用をもち、免疫制御、過激な炎症の抑制機能も強化されていることが窺えます。1)
また、治療の研究としては、当研究所所長の≪新型コロナウイルス感染症における漢方治療39例報告リンク ≫と≪第5波デルタ株による新型コロナウイルス感染症20例の漢方治療報告≫があり、いずれも良い治療効果が見られました。2)3)

補中益気湯+葛根湯投与による末梢血単核細胞(PBMC)に及ぼす影響


補中益気湯+葛根湯投与による活性化受容体NKp46、NKp30、制御性受容体NKG2Aに及ぼす影響


(出典:Ogawa-Ochiai, K. et al. Front. Pharmacol. 2021, 12: 766402.)

漢方薬を用いた効率の良い予防と治療をより多くの方に提供するため、富士堂の研究成果をまとめ、ここに第9版として公開いたしました。コロナ感染の予防、治療、後遺症のケアに漢方・漢方薬の選択肢があることを広くお伝えできればと思います。

また、新型コロナウイルス感染者のため、富士堂漢方薬局ではオンラインで漢方相談治療を実施しております。お困りの場合は是非ともご相談ください。


オミクロンBA.5流行下の新型コロナウイルス感染症の漢方予防治療
(COVID-19に関する研究 第9版)

オミクロンBA.5流行下の新型コロナウイルス感染症の漢方予防治療(COVID-19に関する研究第9版


[より大きな画像はこちらリンク ]

予防
①一般の方:
葛根湯+補中益気湯
②胃腸がそれほど強くない方(葛根湯が合わない方):
五積散+補中益気湯
③抗がん剤、ステロイド剤や免疫抑制剤などで免疫が低下している方:
麻黄附子細辛湯+補中益気湯真武湯+補中益気湯十全大補湯

治療

①急な寒気、高熱、無汗、顔色真っ青:
麻黄湯
②悪寒、高熱、頭痛身重、口渇・煩躁・咽頭激痛で食べられない:
柴葛解肌湯
③寒気、微熱、頭痛、軽い咽頭痛:
葛根湯+桔梗石膏
④微熱、怠さ、吐き気、下痢、腹痛、冷え:
藿香正気散附子理中湯
⑤微熱、疲労感が強く起きられない、他の症状は軽い:
麻黄附子細辛湯真武湯
⑥微熱、解熱後も長引く咳、痰、夜寝づらい:
竹茹温胆湯加味温胆湯麦門冬湯

下記の状況があればさらに併用

⑦脱水(解熱剤により発汗が多い、水が飲めない、食事もとれない)によるだるさ:
生脈飲を併用
⑧高熱、呼吸困難、頭がぼーっとする、意識低下:
カイキョー(牛黄)感応丸を追加
⑨壊病(解熱剤を繰り返し使用し発汗しすぎて、なお熱が下がらない、吐き気・嘔吐、食欲が全くない、疲労倦怠が強い):
桂姜棗草黄辛附湯を併用
⑩血栓傾向:
冠元顆粒か桂枝茯苓丸を併用

これらは傾向を示すものであり、体質により適合するものが異なる場合があります。漢方薬を服用する際は専門家の指導のもとで正しく使いましょう。富士堂では来店相談以外にもオンライン相談リンク や宅配も承っております。お困りの方はお気軽にお問合せリンク くださいませ。

≪参考文献≫
1)Ogawa-Ochiai, K. et al. Immunological and Preventive Effects of Hochuekkito and Kakkonto Against Coronavirus Disease in Healthcare Workers: A Retrospective Observational Study.Front. Pharmacol. 2021, 12: 766402
2)許志泉:新型コロナウイルス感染症における漢方治療39例報告.漢方の臨床 第67巻第9号(2020)p.953-963
3)許志泉:第5波デルタ株による新型コロナウイルス感染症20例の漢方治療報告.日本東洋医学雑誌、第73巻、別冊号、2022年:p.208

≪関連記事≫
新型コロナウイルス感染症39例の漢方治療レポートリンク
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の漢方治療と現状・予防・診断リンク
漢方を用いた新型コロナウイルス肺炎治療の実例リンク
≪所長・COVID-19関連記事一覧≫リンク


6月6日に関東甲信地方での梅雨入りが発表されました。これは昨年より8日、平年より1日早いそうです。今年の梅雨は暑くなったり寒くなったりとても不安定ですね。今回は気象病、中でも梅雨に起こりがちな不調とそれに使われる漢方薬についてお話したいと思います。

気象病について

天気や気候の変化により起こる体調不良を“気象病”、その中でも特に片頭痛や三叉神経痛、腰痛など慢性的な痛みが増強するものを“天気痛”といいます。
こうした気象病が起こる原因として、気圧気温湿度の3つが考えられており、これらの変動により自律神経のバランスが乱れ、体に悪影響を及ぼすことでいろんな症状が発生することが知られています。
また、耳の奥にある内耳が気圧の変動をキャッチし、自律神経に影響を及ぼしているという説もあります。
天気が悪いからといって必ず不調をきたすわけではありませんが、梅雨の時期は特に体の中に湿気が溜まりやすく、食欲が落ちる、眠くて体が重い、腰や膝など関節が痛む、めまいがして気持ち悪いなどの症状を訴えいろんな方がご来店されます。

梅雨の時期によく見られる不調

ここでは梅雨に多く見られる下記の不調が東洋医学と西洋医学それぞれでどのように解釈されているのか、またそれらによく使われる漢方薬について詳しく見ていきましょう。


1. めまいや頭痛
2. 食欲不振、吐き気
3. お腹の冷えや下痢など
4. 関節の痛み
5. むくみ
6. 肌トラブル



1.めまいや頭痛

東洋医学
湿気(湿邪)が頭部に停滞することで、頭がぼーっとしたりふわふわと眩暈がしたり、重い物がかぶさったような頭痛がすることがある。

西洋医学
気圧の変化を内耳がキャッチすることで自律神経が乱れ、痛みを悪化させる。潮の満ち引きのように、気圧も1日に2回の変動があり(大気潮汐)、変動幅が大きくなると、人によっては気象病が発症しやすくなる。

よく使われる漢方薬
めまいや頭痛に
+頭が重い、肩こり、耳鳴り、胃腸が弱い、足の冷え→半夏白朮天麻湯
+動悸、息切れ、耳鳴り、肩や背中の痛み→苓桂朮甘湯
+頭が重い、憂鬱気味、肩がこる→川芎茶調散
+偏頭痛、吐き気、唾が多い、手足の冷え→呉茱萸湯
など

2. 食欲不振、吐き気

東洋医学
余分な水が体から排出されずに脾胃に停滞することや、大気中の冷気(寒邪)により、食欲が落ち、時にムカムカして吐き気を催す。

西洋医学
食欲や消化活動に関わる神経系は、自律神経のうちの副交感神経であることが知られており、副交感神経が優位になることで食欲が湧いてくるが急激な気温や湿度の変化により、この自律神経が乱れがちになることから食欲不振に陥ると考えられている。また気温が高いと、発汗、体温上昇、心拍数の増加などに関わる交感神経が優位になり、相対的に副交感神経が関わる食欲の方が落ちることも。

よく使われる漢方薬
食欲不振、吐き気に
+鳩尾(みぞおち)下が痞え、疲れやすく憂鬱気味→健胃顆粒
+お腹が張って痛む、下痢気味、暑気あたり→藿香正気散
+鳩尾の下が痞え、お腹がゴロゴロ鳴る→半夏瀉心湯
など

3. お腹の冷え、下痢など

東洋医学
梅雨の湿気(湿邪)や不要な水がお腹辺りに停滞すると水毒が生じ、お腹が冷えて痛んだり下痢しやすくなったりすることがある。

西洋医学
気圧や気温の大きな変動により自律神経に過剰に働き乱れることでさまざまな不調が出る。また、冷たいものを摂取することでお腹が冷え、下痢をする、食欲が落ちるなどもよく見られる。

よく使われる漢方薬
お腹の冷え、下痢に
+疲れやすい、めまい、むくみやすい→真武湯
+慢性の下痢、腹力がない、体重減少、消化不良→参苓白朮散
+お腹が張る、腹力がない、ガス腹、腹痛→大建中湯
+お腹が張って腹痛、便秘または渋り腹を伴う下痢→桂枝加芍薬湯
など

4. 関節の痛み

東洋医学
大気中の湿気(湿邪)や冷気(寒邪)などが合わさり、手足の関節に停滞することで、関節痛や関節が曲げにくい、こわばりなどが発生する。

西洋医学
気圧の低下(低気圧)や湿度の上昇により自律神経が乱れ、痛みを悪化させたりする。

よく使われる漢方薬
関節の痛みに
+痛みは激しくない、屈伸しにくい、汗をかきにくい→薏苡仁湯
+むくみ、口が渇く、熱感、急激な悪化→越婢加朮湯
+むくみ、冷えやすい、尿があまり出ない、動悸→桂枝加苓朮附湯
など

5. むくみ

東洋医学
湿気(湿邪)、余分な水、冷え(寒邪)が組み合わさり全身の皮膚に広がり停滞することで、むくみを起こしやすくなる。

西洋医学
梅雨は気温が低く湿度が高いため、皮膚の水分が蒸発しにくくなる『不感蒸泄(ふかんじょうせつ、transepidermal water loss;TEWL)』に陥りやすい気象条件だと言われています。この時季水分摂取が多くなる割に体内の水分が汗として排出しにくくなり、結果として余分な水分が体内に溜ってしまいがちです。また冷房の効いた環境で過ごすことが増え、血行不良、運動不足・・これらもむくみにつながっていきます。

よく使われる漢方薬
むくみに
+口が渇きやすく、尿があまり出ない→五苓散
+体が冷えやすく貧血気味でむくみがち→当帰芍薬散
+汗をかきやすく、むくみやすい→防已黄耆湯
など

6. 肌トラブル

東洋医学
皮膚に広がった湿気(湿邪)、冷え(寒邪)などは熱や炎症(熱邪)に変化することがあり(湿寒化熱)、そのような時は皮膚に痒みが生じたり、ニキビが増えたりと肌のトラブルが発生しやすい。

西洋医学
気温や湿度の上昇により汗をかき、汗の中に含まれる塩分やミネラル物質が皮膚に刺激を与え、痒みが生じる。また皮膚表面に生息する常在菌が増殖し、痒み物質を産生するということも考えられる。

よく使われる漢方薬
肌トラブルに
+皮膚の乾燥が強く、痒みもある→当帰飲子
+痒みが強く、皮膚の乾燥もある、貧血気味→温清飲
+痒みがあり、患部が一部化膿している→十味敗毒湯
など

もちろん、この症状だからこれ、というわけではなく上記はあくまで傾向です。実際、体質などによってもお出しするお薬は異なる場合がございます。
当薬局では患者さんの体質に合わせた漢方薬を提供していますので、お困りの際はお気軽にご相談ください。

薬剤師 入多先生リンク

<参考資料>

許志泉. (2018) 漢方求真, 桐書房, pp. 31, 55, 57, 77, 89, 300, 326
長谷川弥人, 大塚恭男, 丁宗鐡. (1999) 改訂版 臨床医の漢方治療指針, メジカルビュー社, pp. 118, 119, 139, 272, 251, 255, 418
佐藤純. (2022) 「天気が悪いと調子が悪い」を自分で治す本, アスコム, pp.44-47, 88-91, 124-131
佐藤純. (2015). 気象変化と痛み, Spinal Surgery 29 (2), 名古屋大学動物実験支援センター, pp.153-156
大森他. (2009). 気圧や気温の変化が痛みに与える影響について, Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集), 社団法人日本理学療法士協会
NERGİS AKGÜN et al. (2021) The effect of weather variables on the severity, duration, and frequency of headache-attacks in the cases of episodic migraine and episodic tension-type headache, 51(3), Turkish Journal of Medical Sciences, pp.1406-1412.
Vicky Duong et al. (2016) Does weather affect daily pain intensity levels in patients with acute low back pain? A prospective cohort study. Rheumatol Int 36 (5), pp.679–684
Daniel Steffens et al. (2014) Effect of weather on back pain: results from a case-crossover study, 66 (12), American College of Rheumatology, pp.1867-1872

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