漢方治療の原則に「治病求本(病を治するには必ず本を求む)」という言葉があります。これは、病気を治すためには、必ずその本質を明らかにしなければならないという意味です。カゼだから○○湯、下痢だから○○湯、鼻炎には○○湯、生理痛には○○湯…では、効果は期待できません。その症状がどのような原因で、どのような仕組みで起きているか(病因病機といいます。)を考察し、病気の本質を探求することが、漢方治療において最も重要です。
 頭痛を例にとってみましょう。
まず、その方の自覚症状をお聞きします。その際、痛む部位、どのような痛みか、随伴症状、悪化する条件、楽になる条件、発症の契機、現在までの経過などを考慮することが大切です。次に、お聞きした内容から、頭痛を引き起こしている病因病機を考察します。気候や環境の影響による「風寒」「風熱」「風湿」「暑湿」「実寒」、ストレスによる「肝気鬱結」「肝火上炎」、水分代謝が悪いために生じる「痰飲」、暴飲暴食などによる「胃熱」「食滞」、血液の流れが悪い「瘀血」、過労や睡眠不足が引き起こす「気虚」「陽虚」「血虚」「陰虚」、加齢による「腎虚」など、頭痛には、多くのパターンがあります。そして、そのパターンに応じた治療法則を決定し、熟慮した上、漢方薬を決定します。病因病機・治療法則・適応する漢方処方に一貫性があることが重要です。
 漢方においては、頭痛だけでなくすべての疾患において、症状をきちんと漢方的に分析して処方を決定することが、治療の早道となります。


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