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「24才のA君。過労とストレスで、食欲が低下し、
のどに何かがつまっている感じがとれない。
疲れやすく、体重も減少。不安感やイライラが多い。
排便は1日2回で正常。顔色が青白い。」といった症状でした。

気滞痰凝、脾虚痰飲から胃気上逆していると考えて、
茯苓飲と半夏厚朴湯のエキス散を服用していただきました。
しばらく服用後、喉のつまり等の症状は軽くなってきましたが、
今一つ決め手に欠けるので、同じ処方の煎じ薬を服用していただくことにしました。

煎じ薬に変更してから、喉のつまりは、ほぼ無くなり、
食欲も出て、体重も戻ってきました。顔色も良くなり、元気そうです。

漢方薬も手軽に服用できる錠剤やエキス散が主流になってきました。
元気堂薬局でも煎じ薬、エキス散、丸剤、錠剤等々、幅広く取り扱っておりますが、
同じ処方で比較した場合、効き目の点では煎じ薬にはかないません。
患者さんにお聞きしてみると、漢方薬を煎じるのも、
実際にやってみると思っていたよりも簡単とのお声が多く、
何より錠剤やエキス散などより、効果を実感しやすいとのこと。

錠剤やエキス散を試して、効果が今一つな方は、
煎じ薬を試してみたらいかがでしょうか?
もちろん、上質の生薬を用いて調合した漢方煎じ薬であることが不可欠です。

 漢方治療の原則に「治病求本(病を治するには必ず本を求む)」という言葉があります。これは、病気を治すためには、必ずその本質を明らかにしなければならないという意味です。カゼだから○○湯、下痢だから○○湯、鼻炎には○○湯、生理痛には○○湯…では、効果は期待できません。その症状がどのような原因で、どのような仕組みで起きているか(病因病機といいます。)を考察し、病気の本質を探求することが、漢方治療において最も重要です。
 頭痛を例にとってみましょう。
まず、その方の自覚症状をお聞きします。その際、痛む部位、どのような痛みか、随伴症状、悪化する条件、楽になる条件、発症の契機、現在までの経過などを考慮することが大切です。次に、お聞きした内容から、頭痛を引き起こしている病因病機を考察します。気候や環境の影響による「風寒」「風熱」「風湿」「暑湿」「実寒」、ストレスによる「肝気鬱結」「肝火上炎」、水分代謝が悪いために生じる「痰飲」、暴飲暴食などによる「胃熱」「食滞」、血液の流れが悪い「瘀血」、過労や睡眠不足が引き起こす「気虚」「陽虚」「血虚」「陰虚」、加齢による「腎虚」など、頭痛には、多くのパターンがあります。そして、そのパターンに応じた治療法則を決定し、熟慮した上、漢方薬を決定します。病因病機・治療法則・適応する漢方処方に一貫性があることが重要です。
 漢方においては、頭痛だけでなくすべての疾患において、症状をきちんと漢方的に分析して処方を決定することが、治療の早道となります。

18才以上になっても初潮がなかったり、或いは月経が3ヶ月以上中断しているものを「経閉(無月経症)」といいます。
無月経は、大きく「生理的無月経」と「病的無月経」に分類することができます。生理的無月経とは、初潮が来る前や閉経後、妊娠中、産後の授乳期などの、病的ではなく治療を必要としない無月経を指します。
一方、病的無月経とは、本来月経があるはずの時期において、異常な月経停止が起こっている状態を指します。

「30才のAさん。半年ほど前から、月経が来ない。
以前より月経周期がバラバラで、20日から4ヶ月くらい。
月経前には、胸が張り、イライラしやすくなる。
勤務先でのストレスが多い。
目の疲れ、首や肩の凝りが強く、頭痛もたびたび起こる。
食欲は正常だが、便秘と下痢をくり返す。
起床時の疲労感が強い。」とのこと。

ストレスによる肝気鬱結と肝腎虧損が主な原因と考え、逍遙散と鹿角膠や竜眼肉の入った製剤を併用して、服用していただくことにしました。
1ヶ月ほどして、月経来潮。その後、30から60日くらいの間で、月経があり、1年ほどで、毎月定期的に月経があるようになりました。
ストレスから来る体調不良も緩和され、お元気そうです。

漢方治療では、同じ無月経症でも、その方の体質や現在の症状、今までの経緯などから、治療パターンは異なります。
よく見られるパターンとしては、「肝腎虧損」「気血虧虚」「陰虚内熱」「肝気鬱結」「気滞血瘀」「血寒凝滞」「痰湿阻滞」などがあります。
いくつかの証候が絡みあっていることも多く、患者さん一人一人の病状や体質に合わせて、きちんと漢方的に分類し、処方を決定することが治療の早道となります。

漢方では、女性の不妊症のことを「不孕(ふよう)」、男性の不妊症のことを「不育(ふいく)」といいます。
一方、西洋医学でいう、「不育症(ふいくしょう)」とは習慣性流産のことで、漢方では「滑胎(かったい)」といいます。

「4年程前に、不妊の漢方相談をして男の子を出産された方から久々のご相談。現在は36才。
その後、2回妊娠したのに2回とも稽留流産をしてしまった。
それから、不安でたまらない。眠りが浅く、夜中に何度も目が覚める。
最近の月経の状態は、経血は暗紫色で血塊が混じる。月経痛は、脇腹に重痛がある。
月経前には、胸が張り、イライラしやすく、肩こりが悪化する。」とのこと。

心脾両虚証、肝気鬱結証と血瘀証を兼ねていると考え、帰脾湯、逍遙散と芎帰調血飲第一加減を月経周期に合わせて飲み分けていただきました。
また、腎精を補うために瓊玉膏を併用しました。
月経前のイライラや胸の張り、睡眠の状態などが徐々に改善し、6ヶ月ほどで妊娠。
妊娠中を穏やかな気持ちで過ごせるよう安胎の漢方薬も服用していただきました。
臨月まで服用を続けて無事出産。
うれしいお電話は、ホッと安心したお声でした。

流産を経験すると、妊娠するまでも、妊娠してからも、どこかに不安を抱えてしまいます。
少しでも、安心した気持ちで過ごせることは、次の妊娠のためにも、無事出産を迎えるためにも、とても大切です。
そのため、漢方相談の際には、月経の状態、心身の症状を詳しくお聞きして、その時に最適な漢方薬をきめ細やかにセレクトしています。
月経やお身体の状態が整うにつれて、不安感も和らいでくる方が多いようです。

当薬局では、不妊症のご相談は出産経験のある女性薬剤師が主に対応させていただいております。
安心して、ご相談下さい。

西洋医学において、妊娠はするものの流産などを繰り返し、赤ちゃんが得られないことを不育症といいます。
一方、漢方では、女性に原因がある不妊症を「不孕」、男性に原因がある不妊症を「不育」と称します。
「不育」は、性機能障害、精子の異常、精液の異常、精液運輸障害の4つに分類されます。
器質的異常の場合、漢方治療が難しい場合もありますが、性機能障害や精子の異常などは、漢方が有効な場合が多いです。

「38才のAさん。精子の運動率が低く、奇形率が高い。
寒がりで排尿回数が多く、小便に勢いがない。
肩こり、腰痛があり下肢がだるい。
ストレスが多くイライラしやすい。
お腹や脇が張りやすく、おならが多い。」などの症状でした。

肝鬱気滞証と腎陽虚証を兼ねていると考え、逍遙散と腎気丸を併用することにしました。
腎精を増やすために瓊玉膏も用いました。
服用後、2ヶ月ほどで、体調が良くなるとともに、運動率なども改善してきました。
奥様には特に問題が無く、3ヶ月で自然妊娠。今は元気な女の子のお父さんです。
男性不妊の漢方治療では、特に腎、脾、肝の状態を重視し、その方の症状、体質から「腎陽虚証」「腎陰虚証」「肝気鬱結証」「痰湿証」「血瘀証」「脾気虚証」「気血両虚証」等々のパターンに分類し、更に分析して、処方を使い分けていきます。

ストレスや寝不足などが続いていても、精液の状態は悪くなります。検査の結果が悪くても、すぐに落ち込まず、体調を整えるように努力してみましょう。


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