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 朝の冷え込みがさっそく更新されたそうですね。往来の方が、いかにも寒そうにして歩いていかれます。
 今の時期は大気中の気が陽から陰へと変化する真っ最中です(陰の気が満ち始めています)。寒くなるとは、陰の気が満ちる、暖かくなるとは陽の気が満ちるということですが、外界に陰の気が満ちると、人の身体はそれに対応するように、体内の陽気を内へ内へと集めます(大福の餡子のように)。特に女性は身体の構造が複雑な為に、この傾向が強く、冷えも訴えやすいです。
 気(陽気)は代謝(エネルギー)と同義ですから、気の少なくなった体表は様々なトラブルにさらされます。例えば風邪をひく、肌のかゆみが現れる、あかぎれが起こりやすくなるなどなど。最近は、冬でもソフトドリンクやアイスクリームなど冷たいものを口にし、身体を内からも冷やす習慣を送る方も多いですから、身体はたまったものではありません。
 寒い季節は身体の出口が口を閉じて、いろいろと溜め込みやすい季節(摂生に努める季節)です。冷えも水分も例外なく溜まります。これが春の陽気に誘われて、体表から花粉症症状として現れて、皆さんこれに苦労される。『春になってから対策』ではなくて、冬の養生、さらにその前の秋の養生から始まっていますよ。

 
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今回は肌(体表)の気を補う漢方についてお話します。補気薬の代表選手といえば人参が有名ですが、体表の気を補う生薬といえば特に黄耆(オウギ)が有名です。黄耆の五味(甘いとか辛いとか)五性(温めるとか冷やすとか)は甘・温で、その効能は益気固表、托毒生肌、利水消腫などが挙げられます。ちなみにこれらの効能により、体表の補気剤として単に肌を強くするのみならず、肌を健やかに保つという美容への効果もしばしば言及されます。前回も述べましたが、補気は代謝を挙げる事と同じ意味ですから、代謝を挙げることは肌のターンオーバーを正常化することにつながりますね。
 この黄耆と組み合わさる生薬には、白朮(ビャクジュツ)や人参などの補気薬、茯苓(ブクリョウ)や防已(ボウイ)などの利湿薬、桂枝や生姜などの辛温解表薬があります。これら生薬の多くは体表で作用する為、黄耆はそれらの効能を引き上げたりと過度になりすぎないように調節するなどの作用が期待されていると言えます。
 黄耆が配合された有名な漢方には、玉屏風散や防已黄耆湯があります。上で述べたような組み合わせを処方に組み込んだ一例で、それぞれ黄耆+白朮で補気の効能を、黄耆+防已で利湿の効能を高めています。特に玉屏風散は3種の生薬のみから成るシンプルな漢方なので、葛根湯や小青竜湯などの体表で作用する漢方に『黄耆』を足すような感覚でも使います。
 黄耆によって補われる気は、『燃料としての気』です。以前に、気にはエンジン(代謝)としての側面と、燃料(物質)としての側面があるとお話しました。肌が弱いのは、肌の代謝を支える燃料としての気が不足しているからですが、ではこの気を補給するにはどうするべきでしょうか。一つには燃料そのものを補充する。今まで述べてきた事がこれにあてはまりますね。しかし実際にはもう一つ、『燃料としての気を作る、巡らせる部分の働き』を強くするエンジンとしての気を高める方法があります。これは五臓の肺は持つ気、肺気とよばれるものが深く関わっています。衛気とともに肺気を高めることでより効果的に、よりうまく衛気を巡らせることができるでしょう。

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 漢方でいう「表裏」とは病気の存在する場所を表す言葉です。「ひょうり」と読みます。「表」は身体の表層部、つまり皮膚部を指し、「裏」は身体の奥深い内部、つまり中空の消化器系を指します。表と裏の間を「半表半裏」と呼び、胸郭や肝臓など、横隔膜周辺を指します。そしてそれぞれの部位に病があることをそれぞれ、表証、裏証、半表半裏証といいます。
 例えばカゼの時、初期は表証として症状が表れ寒気や発熱、肩こり、関節のこわばりなどが生じます。そして病気が進行すると、裏証として気管に咳や痰などの症状、食欲不振や嘔吐、下痢や腹痛などが生じます。さらにこじらせると、腎臓や心臓、肝臓などに症状が現れます。特に表証は、外から邪が侵入することによって起こる病の初期段階に良く見られ、発病が急で変化が早く、病気の期間が短いのが特徴です。
 治療法としては、発汗療法で体表面から病邪を外に追い払うか、下剤を用いて病邪を外に出すか。また、半表半裏の場合は、葛根湯などで発汗させてすっきりした後は横隔膜付近がつかえた感じになります。そのようなときに、例えば柴胡桂枝湯などの柴胡の入った処方でつかえを取る必要があります。

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 今朝の京都市内は、今年一番の冷え込みではないかと思うほどに寒いですね。厚着するのも一つの手だと思いますが、私はそこをぐっと耐えて、出勤して若甦&温芯のお湯割を飲みます。飲んだ瞬間から温まり、長続きするその効果に、ちょっと驚いています。どちらも当薬局で取り扱っていますから、興味をもたれた方は是非一度お試しになってはいかがでしょうか。
 
 昨日は肌(皮膚)と衛気について述べました。今回はその衛気を養い、高める為の具体的な方法についてお話します。現代的な見地からすれば、気は一種の代謝と捉えられます。運動により体温が上がるように、気が充実すると基礎体温が向上します。現代医学では身体代謝を上げるために日々を積極的に行動することが推奨されます。これは漢方の世界にも当てはまることで、気の充実を図るにはやはり、日々の活動的な行動が必要です。併せて食を充実する(量ではなくて質にこだわりましょう)。身体の基盤となる気と血は精(生まれ持ったエネルギー源のようなものです)と日々の食事、そして呼吸から作られます。精は年を重ねると徐々に失われていきますから、食事のウエイトはその反対に増加していきます。まさに『食は生きることと同義』です。
 ここまでは気全体に当てはまる話、 ここからは衛気に当てはまる話です。衛気が高まったと実感する方法の一つには、『温かい飲み物を飲んで厚着をしてみる』です。最近話題のヒートテックもその一つだと思います。冷たかった身体が温まって、冷えにくく、冷えに強くなった感じがしませんか?この後半部分=冷えにくいが衛気の働きだといえます。
 しかし今のこの状態は、衣服が肌の代わりをしているに過ぎません。このままでは肌も身体も本来の働きを怠け、衰えます。ですから肌が怠けないように、適度な負荷(ストレス)を与えて強くする必要があります。乾布摩擦が最たる方法ですが・・・、ではその負荷をいつ与えましょうか。真冬の鳥肌が立つような寒い季節に与えましょうか。真夏の発汗が激しいような暑い季節にしましょうか。・・・いえいえ、春や秋の過ごしやすい季節にするのが良しですよ。『負担を与えることは、負担の少ない季節にする』、これは先人の知恵です。
 年齢や多忙など様々な理由でなかなか肌を強くできない方は、体表の気を補う生薬や漢方薬を積極的に取りましょう。そして何より身体を冷やさない事。代謝を上げることも大切ですが、下げないようにすることはさらに重要です。長くなりそうですから、この部分のお話はまた後日に。

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 私がまだ小さい頃、それは幼稚園や小学校に通う頃ですが、今のような秋空の季節にはみんなでシャツ一枚になり、グラウンドで乾布摩擦を行いました。最近の小さい子はどうなんでしょうか・・・、まだ続いているんでしょうか。乾布摩擦は肌を鍛える方法の一つとして有名ですが、漢方の考えから見ると衛気を養うことと同義であるといえます。
 衛気は人間の体を巡る気の一種で、体表を包むような形で存在しており、種々の外邪が体内に侵入しないよう防いでいます。これは現代語で言うところの、風邪やインフルエンザなどの疾患に対する免疫力と同義ですね。これ以外にも衛気は、暑い季節の発汗調節などにも深く関わっているとされており、必要以上に汗をかいてしまう症状、いわゆる多汗や寝汗は、肌の衛気不足によると考えられています。
 漢方の考えではこの衛気、五臓の一つの肺が司るとされています。肺による動作といえば呼吸ですが、この吸うと吐くの一連の動作によって全身に衛気が巡ります。ですから呼吸が浅いと、この気の巡りが悪くなってしまいますが・・・、浅い呼吸は皆さんも知らない内に陥っています。例えば何かに集中している時や没頭している時、何かを考え込んでいる時や悩んでいる時など。「ため息ばかりついていると幸せが逃げていく」としばしば言いますが、ため息をしている中での呼吸は吸気が疎かになり、これも衛気の巡りには良くありません。ちなみに病は気からといいますが、この場合の気は衛気に当たると思いますよ。
 肺は衛気に深く関わりがある上に、鼻や喉など風邪の初期症状が現れる箇所も含まれます。マスクをして咽喉からウイルスの侵入を予防するのと同様に、肌もマスクをして外邪に備えましょう。では肌のマスクとは何ぞや・・・と、その実は衛気養生なのですが、その方法は明日にご紹介します。


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