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暑い時期は、涼みつつ、水分補給に励む。
あわせて気をつけたいのが、 隠れ貧血 
私が作った表現ではありませんが、鉄欠乏性貧血というだけでなく
暑い時期の疲労感や虚脱感に隠れて起こるという意味も含んでいると思います。

漢方では、人の体は気血水という3つの要素から成り立つと考えますが、
暑い夏は、この全てを消耗しやすい時期です。
暑さが増すことで代謝機能が促進され、 消費されるエネルギー は気に、
暑さが増して汗をかき、 消耗する体液 は水に相当します。
そして体が蓄える栄養として働き、
そこからエネルギーや体液を作り出す存在が血に相当します。
ですから、暑い時期に体の働きが高まり、また汗をよくかくほど、
つまりは夏に頑張るほどに、その裏で血が費やされていくという訳です。
それは本来の貧血ではありませんが、
とてもよく似た状態の為に、隠れ貧血と呼ばれます。
本来の貧血症状は、内蔵機能が弱いために
十分な血液を供給できないという空虚に因ります。
対して隠れ貧血は、外の暑さによって引き起こされる消耗に因ります。
どちらも同じ「すっからかん」の状態に違いありませんが、
外堀の様相は大きく異なります。

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実のところ夏の消耗は、古くて濁ったものを
 新しくて澄んだものに作り変える 過程でもありますから、
人の体にしてみればある程度は必要な行為だと言えます。
これを下から支えて、円滑にして、フォローするのが血。
そうして 夏は血が活躍するとき だからこそ、
放置していると血は当然に貧していく訳です。

貧血といえば何とも病的な印象が強いですが、
日本の夏には、水分補給を麦茶やビワ茶に頼り、
栄養補給を甘酒や黒酢に頼る習慣がありました。
この栄養補給は、まさしく隠れ貧血予防のことを意味しており
猛烈に暑い現代の夏でも、実際の過ごし方は
古人の理に準じるのが大切であり、また負担になりにくいことを物語っています。

日を追うごとに暑くなってくるのは困りものですが、
今の時代にあっては 暑さと冷たさの板ばさみ も、正直つらいものです。

暑さは夏の暑さ。けれども、昔はここまで暑くなかったでしょう。
私の生まれた時分の夏はそうでなかったし、
それこそ古典漢方の時代ではなおさらの事ではないでしょうか?
これは個人的な見解ですが、日本人は、
寒さにはそこそこ強いですが、 暑さにはあまり強くない と感じます。
徒然草の「家の作りは夏を旨とすべし」も、
日本人は暑さには強くない事を仄めかしているのではないでしょうか。

冷たさは周知の通り、冷房や冷蔵庫でもたらされるもの。
たしかに「暑いから、冷たくする」のは効率は良い事この上ない。
ですがダイレクトな冷たさは凶器のような存在ですから、
なるべくオブラートに包み込んで、 一定の距離をおいて付き合いたいもの です。
でも実際は、暑ければ冷房の設定温度を低くして、ボタン一つで冷たさをお届け。
外を歩いてどこかの店内に入れば、外の暑さが嘘のような冷たさ。
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コタツでアイスを食べるのが美味なら、
冷房の聞いた部屋で肉まんを食べるのもまた美味のはず。
涼しい部屋で食べるカキ氷は、
身体に良いとか悪いとかいう以前に、美味しくないと感じませんか?

冷たさとの距離が身近になることで、暑さと冷たさの板ばさみが貴方を襲います。
寒暖による疲労感、自律神経の乱れとか、寒暖アレルギーとか。
普段から冷たさに慣れているほど、
暑さに弱くなる側面もありますし、寒暖幅もおのずと広がりやすくなる。
そうしてますます、寒暖の板ばさみによる不調が現れやすくなる。

今の時代、暑夏を快適に過ごすには、その猛烈な 暑さと距離を置く事 が大切です。
けれどその取り組みは、冷たさとの距離を詰める事ではありません。
陰陽の考えによれば、夏は陽、冬は陰に属する季節とされますが、
陽の夏の中にも、また陰陽が混在します。
ちょうど、夏の下の日向には暑さがあり、日陰には涼しさがあるような関係です。
暑さと距離を置くことは、夏本来の陰陽のバランスを取り戻す事に通じます。
しかしながら、冷たくしてしまえば陰陽ともに衰えてしまいます。

四季を尊ぶ事も、私達の体に備わる陰陽を高める上で大切な事ですよ。

日本の西方は豪雨の傷跡が残っていますが、
近畿圏内のきょうは日差しが強くて、とても暑いです。

暑くなると、心身に伴いやすいのが だるさ 
疲れとだるさは同じように考えがちですが、実は気色が少し異なります。
どこまでが疲労で、どこからがだるさなのかは定かではありませんが
個人的には、疲労よりもだるさの方がより進んだ状態に思います。

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がっちりした筋肉質の人でもそうではない痩せ型の人も、
共通して肉体的な疲労は訴えます。けれども 疲れやすさ は違ってきます。
同じように、精神的に「筋肉質」の人と、精神的に「痩せ型」の人では、
共通して精神的疲労は訴えますが、その疲れやすさは違います。
そして、何事も「筋肉質」の人には、耐えられるが故の脆さがあり、
何事も「痩せ型」の人には、耐えられないが故の脆弱さがあります。
生活習慣病は体の脆さの現れであり、
ある種の神経症は心身の脆弱さによるものとも言えます。
(だからといって鍛えられるものではありません。)
そうして、この2つを分けるのは、ずばり体の大きさです。

ここでいう体の大きさとは、
背が高い・低いとか、体重が重い・軽いとか、そういう事ではありません。
それは見かけです。
私などは、漢方は物事の本質を見抜く所に利点があると思っていますから、
体の大きさというのは、 器としての大きさ (器量?)の事を言います。
器が大きければ、そこに良いものをたくさん抱え込むことができる。
それをスタミナというのかもしれませんし、胆力というのかもしれません。
いずれにしろ、からだに良いものが十分に満ちていれば、
心身は強くなり、疲れにくくなるという考え方です。

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ちなみに、器とその中身は漢方における陰陽の関係にあり、
中身が十分に満ちることで、器も少しずつ大きくなっていきます。
饅頭の中身が増えれば、より大きな皮が必要になるように、
一皮剥けて器が大きくなる。
陰陽調和して伸張していく、それが成長するという事なんでしょうね。

そして普段の元気な状態での器を真ん丸とすれば、
疲れているときのそれは、少し歪んだ形をしており、
どこかが出っ張ったり、逆に凹んだりしています。
それに対して、だるいときのそれは、器に硬さがない状態です。
ふにゃふにゃのような状態で形が定まらず、歪みも伴いやすい。
ちなみに、疲れやすさは器の中身の大小に影響されていきます。

昨晩は九州の大分地方を中心に
かつてないほどの猛烈な豪雨が襲いました。
現地の高校生が撮影した、氾濫した河川の映像は生々しく、
それこそ災害レベルの模様をリアルに感じました。

その瞬間まで当たり前だったものが、
ものすごい規模で、勢いで、速さで失われていく。
そのような災害にあって、人は肉体的にも精神的にも弱ってしまいます。
そういう状況では、いかに安心を得るかという事が大切です。

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不安というのは、体の中が何らかの形で
 空虚 になっているために起こると考えられます。
人の中には欲求とは少し違いますが、
その人を満たしているものがあります。
日常の生活でもあるし、体を養う栄養でもあるし、
ある種の健康でもあるし、人のやさしさでもあります。
それを安心や自信と呼ぶのかもしれませんが、
災害のときや大きな事件に遭遇したときは、
そういうものが 猛烈な勢いで失われていく 
それに伴う喪失感が切なさや哀しみだと思います。

ともすれば、漢方とは関わりがない話に聞こえますが、
 人の中を良いもので満たしておく というのは、
神経症やうつ症、不眠症などの漢方治療でも重視する点です。
体の中が空虚でなく、良いもので満たされた状態だからこそ、
人の心身は安心を得られると考える訳です。

もっとも現実は、健康的な生活を過ごすだけでは満たされない部分があり、
その逆に不摂生な生活をしているけれど満たされるような部分もあります。
その辺りは健康と生きがいの、何とも微妙な関係を象徴しているように感じます・・・。

東洋医学では、人の体に存在する最も基本的な働きを
体にとって 良いものを増やす 事と、体にとって 悪いものを減らす 
の2つと考えています。

体にとって良いものが増えるのはたしかに好ましい事ですが、
良いものが増えれば、それだけ多くの淀みを伴うリスクも増えていきます。
かといって、体にとって悪いものだけを取り除いても、
体が空虚であれば、そこには悪いものが入り込みやすくなります。

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体にとって良いものを増やす事と、体にとって悪いものを減らす事。
この両立を高いレベルで維持することが、
心身にとって最も大切なことであり、
私たちが生活の上で行うたくさんの事も、結局はこの2つに行き着きます。
そして繰り返し言っていることですが、私たちが日々の生活で行うことに
絶対的に身体に良いことは存在しません(絶対的に悪いことはあります)。
それを節度を守って行っているからこそ、良い効果が得られています。
投薬もそうですし、サプリメントもそうですし、日々の食事や運動だってそうです。

そしてもっとも効率的なのは、
体にとって良いものを増やすことで、体にとって悪いものを減らすこと。
即ち、この2つを別々にするのではなくて、 結びつけて扱う ことです。
ちなみに、そうして交わったものを、東洋医学では 扶正袪邪 といいます。
良いものである正清を扶養して、悪いものである邪濁を取り除くという意味です。
漢方薬には実に多くの種類がありますが、根本を突き詰めれば
いずれの処方でもこの扶正袪邪に行きつきます。

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ちなみに前回、人の二面性を漢方の世界では
陰陽という共通表現で表すという話をしましたが、
それは扶正袪邪に関しても同様です。
この場合には、体にとって良いものを増やす事が陰、
体にとって悪いものを減らす事が陽に当たります。


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