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季節の変わり目のことを、漢方では土用と呼びます。
土用は「土旺用事」が語源らしく、そのまま読むと
土(≒土気)が旺盛で用事(≒必要な事・大切なこと)を済ませるの意味。

四季には、それぞれの安定があるけれど、それぞれの特徴は大きく違います。
例えば、夏から秋になる。蒸し暑い夏から、空気が乾燥する秋。
そのときに、夏の安定から次の秋の安定への「変化」を促すのが、土の役割と言われます。

一般には、季節の変わり目≒不安定というイメージが定着していますが、
漢方的にはそうではなくて、季節の変わり目に「土用」が鈍い人、
土用を支えにして、次の安定を迎えられない人には
季節の変わり目に「不円滑(≒円滑さを欠いた状態)」が目立つという捉え方です。
わかりやすく言えば、夏と秋のギャップを埋められない。

「土」のエネルギーが疎かな人は、
季節の変化を正常に迎えられず、トラブルに見舞われやすい。
その為、「季節の変わり目に、体調が不安定になる」という訴えは、
「季節の変わり目に伴う現象が、体調を揺さぶる」のはなく、
「体調面の不安定さ(≒今の場合は土気の弱さ)が、
季節の変わり目に露呈する」ということを反映しています。

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少し見方を変えると、私たちは季節の変化を「肌」で感じるので、
肌が虚ろであれば、そのギャップに直に受けてしまいます。
この点には、日本の「高温多湿」の風土も影響しており、
湿気を抱える分だけ体は緩み、肌が虚ろになり、脈は滑らか・緩やかなものに近づいていきます。
季節の変わり目に伴う長雨も、これに味方します。
「ゆったりとしている」と言えば、聞こえは良いですが、
それに見合うだけの「力強さ」がなければ、それは単なる「打たれ弱さ」に及んでしまいます。
言葉を変えると、季節の変わり目には、体や脈の反応を通じて
その人が持っている力強さ(≒生命力とか抵抗力)が最大限に発揮されます。

季節の変わり目に服んでおきたい漢方薬とは即ち、
「土」の気を盛り立て、力強さを引き出す漢方薬を意味します。
それには例えば、「土」のエネルギー不足を補う六君子湯や補中益気湯、
「土」のエネルギーを全身に伝達する桂枝湯や苓桂朮甘湯、
あるいは、その伝達を妨げる水滞を改善する当帰芍薬散や防己黄耆湯などに
一服の価値があります。

漢方では、季節やそれに伴う変化を「陰陽の変遷」という形で見立てます。
例えば、暖かい季節が陽なのに対して、寒い季節は陰と称されます。
また、その暖かい時期の中にも、
時間の経過と共にその暑さが盛んになる陽の刻と、穏かになる陰の刻が混在します。

言いかえると、一年・一日における陰陽の変化には
①陰中の陽、②陰中の陰、③陽中の陽、④陽中の陰の4つが存在します。
陰中の陽とは「陰が満ちること」、
陰中の陰とは「陰が陰(かげ)ること」をそれぞれ表します。
ちなみに季節の上では、
暑さが終息していく「秋の始まり頃」は「陽中の陰(≒陽が陰る頃)」、
肌寒さを感じる機会が増える「秋の終り頃」は「陰中の陽(≒陰が深まる頃)」
にそれぞれ該当します。

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秋の体調は、この「陽中の陰」、「陰中の陽」と深く関わっている訳ですが、
その中で特に気をつけたいのが、その変化が急激に(あるいは突発的に)起きる場合です。
例えば、暖かい日が続く中で、不意に涼しい日がやってくる。これこそ陽中の陰。
涼しい日が続く中で、不意に肌寒い日がやってくる。これこそ陰中の陽です。

また、「陽中の陰」、「陰中の陽」のときに、
それに相応しくない生活を過ごすことも、体調を乱す原因になります。
暑さが陰る頃(=陽中の陰)には、活発さを控え気味にした生活を、
涼しさが高まる頃(=陰中の陽)には、抵抗力や基礎代謝などを整える生活を
それぞれ過ごすことが大切です。

漢方薬の面では、陽中の陰に適した漢方薬には、
例えば、穏やかな発汗を促す桂枝湯や気鬱を治す半夏厚朴湯、香蘇散、
暑さで消耗した体力・栄養の回復を促す四物湯に、
対して、陰中の陽に適した漢方薬には、
体を温める五積散や血行を改善する当帰芍薬散などに一服の価値があります。


強い日差し。それに伴う日焼けや発汗。
あるいは、盛んになる湿気に伴う、肌のジメジメ感。
はたまた、外の暑さと室内の涼しさによる気温落差。

そうして、夏を経た肌(≒皮膚)には疲労が蓄積しています。
肌の疲労(≒機能の衰え)は湿疹や乾燥など、
特有のトラブルを招くと共に、肌の色や質感に影響を及ぼす側面があります。

漢方では、肌(肺)を薄く広がった臓器と考えますが、
その「薄く広がる」という点からは、何かを「蓄える」というよりも、
トレイのように何かを「載せる」というイメージを抱きやすい部分と言えます。
少々難しい言い方を使えば、
肌(肺)の器(≒何かを蓄える存在)としての働きは、
栄養や潤いなど有形の物体でなく、
エネルギーや機能など無形の存在に限られるという訳です。

それは裏を返せば、
調子が良い時や機能が整っている時、肌は元気だけど、
一旦、消耗が激しくなると、肌は途端に本来の元気を失う
ということでもあります。
そのようにして、ある種の不安定さの上に、肌(肺)の働きは成り立っています。
だからこそ、日々のスキンケアが欠かせない訳ですが・・・。

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厳密に言えば、肌(肺)が持つのは「不安定さ」ではなく、「ピーキー」な性格です。
「ピーキー」というのは、自動車のエンジンに用いる表現のことで、
エンジン回転数がピーク(peak)付近のときに、
強いトルクを発生する高回転型エンジンの特性(ウィキペディアより抜粋)という意味です。
わかりやすく言えば、特定の条件では高い能力を発揮するけれど、
それ以外の条件の時は、ガクンと性能が低下してしまう。
そうして、良い部分と悪い部分の違いが鮮明になる訳です。

肌(肺)の場合は、先に述べたような肌ストレスを通じて、
肌が持つピーキーさ(?)の良い面が隠れ、悪い面が際立っていきます。
漢方的にはそれを、肌(肺)の働きが鈍くなる
(=エンジンで言えば回転が落ちる)ことに伴うと解釈しますが、
それは裏を返せば、肌(肺)に疲労が蓄積しているサインでもあります。
(エンジンで言えば、吸気量が下がり、回転数が落ちる現象に似ていると思います)

肌(肺)の場合も、その働きを良好に保つには、「吸気」のコントロールが大切です。
この場合の「吸気」とは、機能維持に必要なエネルギーや栄養素のことを指すと考えられます。
また一方で、吸気には①エンジン自体が行う自然吸気と
②過給機(≒ターボ)の力を借りた過吸気の2通りがあるように
肺の「吸気」にも、また「自然吸気」と「過給気」の二面性があるように感じます。
早い話、肌(肺)が疲れて「自然吸気」が弱まるときは
「過給気」の恩恵を活かそうという話です。
そして肺にとっての「過給気」は、
互いに親子の関係を持つ「脾」や「腎」に相当すると推察されます。

夏の肌疲労に服んでおきたい漢方薬とは即ち、
肺と脾・腎の連携を促す漢方薬を意味します。
それには例えば、補気の生薬を配合した桂枝加黄耆湯や補中益気湯、
短気微飲を改善する苓桂朮甘湯や腎気丸類に一服の価値があります。


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