57歳女性
《主訴》掌蹠膿疱症と胸痛
頑固な便秘症で昔から便秘薬を服用
胃重感でシクシクする
口渇あり。
昔から手足の煩熱あり。 実際に触れても熱い
【舌】舌紫深く舌縁瘀斑あり 瘀斑周囲 瘀熱で赤みあり 舌尖乳頭鬱血 舌中凹で裂紋
舌裏静脈拡張(瘀滞) 怒張(気滞瘀血)
【腹】右脇緊張 脇下硬痛 心下痞 左右少腹抵抗
【脈】右 沈微弦細 左沈渋細
<金匱要略・婦人産後病12条>
「治婦人在草褥、自発露得風。四肢苦煩熱、頭痛者、與小柴胡湯。頭不通但煩者、三物黄芩湯主之。」
この疾患は女性に多いことから草褥(産褥熱)による四肢煩熱の三物黄岑湯と 熱入血室の問題 から、苦参がトリコモナス、カンジタにも有効であり、特に カンジタ症は食道造影でコロニー状白苔に由来する網目状陰影や潰瘍形成があり、食道内視鏡で偽膜及び潰瘍形成を認める場合(消化管カンジタ症)もあり、さらに嚥下障害や前胸部の疼痛を認めることもあることから、縦膈中の食道~胸管~静脈系への陥入を考えるべきではないかと考えます。
少陽表証(膣部)あたりでの 頭痛(表証)がある草褥には小柴胡湯を用いていることから、少陽表から陥入した少陽腑熱(上焦胸部)では虚煩の梔子豉湯など、実煩の痰熱がからみ黄苔がある場合は小陥胸湯などが有効で、短期に胸痛が軽減して有効である経験をよくする。
多くは慢性化したり年齢が行くと陰虚から厥陰肝~心包の血分に邪熱が落ち込んでいくように思います。その場合は膿疱周囲は赤黒くなって厥陰血毒が絡んで炎症毒素が体外へ蕩滌できにくく 血燥が絡んで 地黄などで養陰しながら大黄で解毒蕩滌していくと血分に落ち込んだ邪熱が抜けて症状が緩和してきます。
またカンジタからくる胸痛には局部ではcobblestone像が見られ潰瘍部の繊維化と残存粘膜の浮腫、細胞浸潤による膨隆によって形成された粘膜隆起像が見られたり、凝固壊死に陥った粘膜にフイブリンが析出して白血球浸潤が加わって膜様になった偽膜もあり、陰虚瘀熱による長期化で正常整理ができないことによるものと考えます。
当然感染防御の低下が根底にありますが、発症促進要因として 揮発溶剤が生活上に身近にあるやステロイド剤、抗生物質の長期投与や喫煙その一因とされています。
患者は三物黄芩湯 桃核承気湯 大青葉 などで掌蹠膿疱は綺麗になり、さらに今までの便秘薬では得られなかったすっきりした感覚があり、胸痛は消失する。
掌蹠膿疱症と胸痛一題
命門堂漢方薬局 大阪店 (大阪市都島区)
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更新日: 2010/10/27 |