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胸やけやげっぷ、上胸部痛など、辛い自覚症状を伴う逆流性食道炎は、近年増加傾向にあります。本来、胃の噴門部(胃の入口)から4~5cm上の部分は筋肉の働きによって胃酸(強い酸性です)が食道に上って来ないように締まっており、食物が通過する時には筋肉がゆるみ、食物が胃に入っていきます。この筋肉を締める圧力が弱くなり、胃の内容物が食道に上ってくることにより逆流性食道炎が起こります。

西洋医学では胃酸を抑える目的の製剤や消化管運動賦活薬などが用いられていますが、漢方薬にも奏効する処方がありますので紹介したいと思います。なかでも六君子湯は、胃の弛緩(ちかん)を回復させ、胃酸分泌を抑制し胃排泄能を促進することが知られています。こうした作用により、胃内圧上昇を抑制して胃食道逆流を防ぐと考えられています。

日常生活の注意としては、脂肪の多い食品や甘い物は胃酸が出やすいので、ひかえた方がよいでしょう。飲酒や喫煙も、逆流性食道炎の発生を促進すると考えられています。又、ストレスも原因となりますので、うまく解消する工夫も大切だと思います。


体格・体質代表的な処方と症状

実 証

虚証中間証





虚 証

  • 大柴胡湯(だいさいことう)…体格が実証であるが、胸やけ、げっぷがあるタイプ。
  • 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)…胸やけ、げっぷ、胃もたれ、上腹部重圧感、ときに吐き気がある場合、心窩(しんか)部=みぞおち=につかえ感がある。
  • 黄連湯(おうれんとう)…胸やけ、げっぷ、軽い上腹部痛。
  • 旋覆代赭石湯(せんぷくたいしゃせきとう)…げっぷがひどいタイプの特効薬として用いられる。
  • 六君子湯(りっくんしとう)…軽い胸やけ、胃もたれ、食欲不振があり、チャボチャボ(胃内停水)が見られることもある。
  • 安中散(あんちゅうさん)…胸やけ、げっぷ、軽い上腹部痛、胃酸過多症、ストレスが多いタイプに奏効する。

糖尿病には生活習慣病の1つとされる2型糖尿病と膵臓のランゲルハンス島の異状によって発症する1型糖尿病があります。日本における糖尿病の患者さんの多くが、2型糖尿病です。1型糖尿病ではインスリン治療が必要です。2型の場合、西洋医学では血糖値のコントロールのための経口糖尿病薬の開発が進んでおり、効果を上げています。ですから糖尿病の診断、治療は西洋医学的手段で行ない、合併症の治療は漢方薬を併用するのが効果的だと思います。

糖尿病の合併症である網膜症による失明が年間3000人、腎症に起因する人工透析が約92900人(2010年2月)以上に達しています。また、神経障害から起る四肢のシビレ、冷感、疼痛を訴えることも多く、日常のQOLを著しく低下させています。これらの合併症の発症、進展防止などに漢方が適しています。もちろん、糖尿病の患者さんは、ウォーキングなどの運動療法、食事療法が大切なことは言うまでもないことです。

体格・体質 病期 代表的な処方と症状

実 証

中間証

  • 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)…皮下脂肪が厚く、腹部がビール樽状に膨満(脂肪組織を選択的に減少させる効果が証明されている)タイプに用いられる。
  • 白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)…糖尿病の初期に口のかわきが激しい時に用いられる。
  • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)…糖尿病性網膜症に用いる。
虚 証 胃腸が丈夫


胃腸が虚弱
  • 八味地黄丸はちみじおうがん)…下肢のシビレ、冷感、いたみ、排尿異常、性機能異常、全身倦怠感に用いられる。
  • 牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)…八味地黄丸に似るが、シビレ、排尿異常により有効。
  • 桂枝加苓朮附湯(けいしかれいじゅつぶとう)…下肢のシビレ、いたみ、冷感に用いられる。
  • 清心蓮子飲(せいしんれんしいん)…排尿異常、性機能異常に用いられる。
  • 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)…全身倦怠を伴う糖尿病神経異常に用いられる。
  • 四君子湯(しくんしとう)…全身倦怠を伴う糖尿病、神経障害に用いられるが、胃腸が弱いタイプに用いられる。

痛風はアルコール飲料、プリン体を含む食餌などの過食により、血中尿酸値が高まり、特に下肢、足関節、 趾関節などに尿酸結石が蓄積する疾患で、激痛が先行し、歩行困難となる場合も稀ではありません。かねてから、美食、運動不足、腎の機能異常などに原因が求められてきました。粗食で比較的労働量の多い社会では、この疾患は少ないとされています。

しかし、現代では生化学的にプリン代謝異常を基とした高尿酸血症の確認に加え、痛風結節や尿酸ナトリウムの結晶の存在、あるいはコルヒチン内服の有効性などの診断基準があります。漢方では急性発作期の漢方処方と慢性寛解期の処方があります。

漢方で治療すると、尿酸値が正常に戻るまでには数ヶ月以上かかりますが患部の腫れや痛みなどの症状は比較的早期に消失し、発作の回数も著しく減少してきます。完治の判定が困難な疾患ですが、症状消失後もある程度の期間服用を続ければ、その後は廃薬しても再発のおそれはまずないようです。

すでに西洋医学的な療法を行っている場合には当初は漢方薬を併用しながら経過を観察し、徐々に西洋医学の薬を減量しつつ最終的に漢方療法のみの療法に切り変える方法もなされています。

体格・体質 病期 代表的な処方と症状

実 証

中間証

急性発作期
  • 越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)…発作の痛みが激しい。横を人が通っただけで疼く。
  • 芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)…痛みが激しい。
  • 桂枝加苓朮附湯(けいしかれいじゅつふとう)…痛みが激しい。

実 証

中間証

緩 解 期
  • 大柴胡湯(だいさいことう)…脈、腹ともに力があり、肋骨弓の下に張りがあり便秘がある。
  • 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)…腹部がビール樽状に膨張している。
  • 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)…のぼせやすく、便秘傾向である。
  • 大柴胡湯去大黄(だいさいことうきょだいおう)…目標は大柴胡湯と同じであるが、便秘がない。
  • 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)…太りぎみで皮膚にしまりがなく、身体が重い。発汗しやすい。

本症は特定の病因や疾患がないにもかかわらず発現する場合が多いことから体質的なものと考えられています。

前回の高血圧症リンク と異なり危険な合併症もなく(脱水症、手術やシィックによる急激な低血圧症は省略します)、逆に血圧が低めの方が長寿の方が多いですから長期的な予後は心配な疾患ではありません。しかし、自覚症状は高血圧症に比べ、格段に多く、疲れやすい、脱力感、めまい、頭痛、四肢の冷え、肩こり、動悸、起床時の眠気、意欲低下、胃もたれ、下痢など多岐にわたっており、辛いものです。

西洋医学にも2~3種の薬剤が使われていることがありますが、効果は余り確実とは言われていません。漢方では、比較的得意な分野に入り、体質、症状に合った薬方を選択すれば症状は軽減し、治癒に至ることが多い疾患です。

なかでも、めまいは「水」のバランスにかかわっていることが多く、茯苓(ぶくりょう)白朮(びゃくじゅつ)、蒼朮(そうじゅつ)、沢瀉(たくしゃ)などの水分代謝の生薬(しょうやく)の配合された処分が用いられます。(めまいについては詳しくはこのシリーズ第14回「メニエル症候群」リンク を参照して下さい)


体格・体質代表的な処方と症状

中間証






虚 証

  • 加味逍遙散(かみしょうようさん)…動悸、ほてり感、イライラが強く、下肢は冷えるタイプ。
  • 五積散(ごしゃくさん)…上半身はのぼせや頭重、頭痛があり、下半身は冷え症で感冒にかかりやすいタイプ。
  • 苓桂朮甘湯(りょうけいじゅっかんとう)…立ちくらみ、めまい、息切れ、動悸があるタイプ。
  • 半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)…胃腸虚弱で頭痛、めまい、全身倦怠感、手足の冷えがあるタイプ。
  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)…虚弱で色白く、貧血、めまい、頭痛があり、むくみやすいタイプ。
  • 八味地黄丸(はちみじおうがん)…腰から下の冷えや脱力感、全身のエネルギー不足がみられるタイプ。
  • 真武湯(しんぶとう)…めまいや、浮腫(特に下半身)、下痢、冷え症、全身倦怠感があるタイプ。

血圧計で測って収縮期血圧が140以上、拡張期血圧が90以上を高血圧と呼んでいます(2009年ガイドライン)。

高血圧の状態が持続しますと血管や心臓に負担がかかり、脳出血や心臓病等が起こりやすくなりますので、血圧を適切にコントロールすることが大切です。西洋医学的には降圧利尿剤、Ca拮抗薬、ACE阻害剤、β遮断剤、AⅡ阻害剤等、豊富な種類が揃っており、その人にあった処方をしてもらうのが良いでしょう。

漢方の治療においては、西洋医学の降圧剤のように高い血圧を引き下げる薬剤を用いるのではなく、あくまでも全身のバランス〔気〈ストレスの緩和〉、血〈血流、血行の改善〉、水〈水代謝の調整〉〕を整えることに主眼をおきます。

すなわちその結果として、血圧が正常になるというのが原則です。

従って治療により頭痛や、めまい、動悸、肩こり、のぼせなど高血圧症に伴う不快な自覚症状がまず比較的早く好転し、続いて血圧の下降がみられるという経過をたどる場合が多いのです。

しかし、漢方で血圧が正常値に戻った場合は血圧を上げる要因が改善したと考えられ、服薬を中止してもその後は逆もどりすることが少ないですからその点が西洋薬との相違点といえます。また漢方薬と降圧剤を併用することにより、降圧剤を減量することも可能です。もちろん適切な運動を行い、食事に気をつけることも大切なことです。


体格・体質代表的な処方と症状

実 証



中間証




虚 証

  • 三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)…頭に血がのぼった様な感じがある。便秘傾向がある。
  • 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)…のぼせ、肩こり、イライラが強いタイプ。
  • 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつほれいとう)…不眠、イライラ、動悸がある。せっかちタイプが多い。
  • 七物降下湯(しちもつこうかとう)…拡張期(最小血圧)が高い。
  • 釣藤散(ちょうとうさん)…明け方から起床時にかけて頭痛、肩こりが強い。
  • 八味地黄丸(はちみじおうがん)…疲れやすく、腰から下に脱力感があり、夜間尿が多い。
  • 真武湯(しんぶとう)…疲れやすく、歩いているときにクラっとするめまいがある。


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