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あとがき - 謝辞に代えて

 本書は、多くの方々のご指導とご協力によって著すことができました。ことに恩師である岡山大学医学部名誉教授・森昭胤先生、ならびに同大学教授・小川紀雄先生には、私の研究の基本に関してご懇篤なるご指導、ご鞭撻を賜りました。
 また、同じく恩師に当たる山形テクノポリス財団 生物ラジカル研究所 医学・薬学研究部長・平松緑先生からは、種々の有益なご助言をいただきました。さらに、元神奈川歯科大学教授・菅谷英一先生、城西大学薬学部教授・菅谷愛子先生、元東北大学医学部教授・小暮久也先生、福岡大学薬学部教授・藤原道弘先生には、貴重な研究データを引用させていただくと同時に、激励の言葉を賜りました。すべての皆様に心から感謝の意を表します。
 お名前を挙げさせていただいた諸先生のなかから、森昭胤先生ならびに平松緑先生のお言葉をご紹介し、あらためて御礼を申し述べたいと思います。


●漢方薬の老化防止作用について
 岡山大学医学部名誉教授・森昭胤

 老化とともに、脳の記憶に関する神経伝達物質、アセチルコリン、セロトニン、ノルアドレナリン、GABAなどの活性が低下することが明らかにされている。しかし、脳の老化にともなって生ずる病変が、どういうメカニズムで起こるのかは、まだ完全には解明されていない。
 1981年にハーマンは「老化のフリーラジカル説」を提唱した。彼は「有害なフリーラジカルの作用が細胞に持続的に加わることによって老化のプロセスが作られるか、あるいは老化の最大の原因となっている。人間では、主として酸素のフリーラジカルによってこのような作用がもたらされる」と述べている。
 酸素のフリーラジカルとは、スーパーオキシド・ラジカル、ヒドロペルオキシド、ヒドロキシルラジカルなどの活性酸素種であるが、その強力な酸化作用のために毒性が顕著で、脳の神経細胞の障害や老化の発生機序に需要な役割を演じている。われわれは、脳の老化にともない、脳内のスーパーオキシドを消去する酵素、SODの活性が増加していくことを全世界に先がけて明らかにした。この事実から、老化した脳ではフリーラジカルの発生が確実に増加していることが示唆された。
 また、フリーラジカルは老化ばかりでなく脳神経系に対する虚血性疾患(脳血管性痴呆など)やアルツハイマー病にも関与していることが確認されている。
 老化のフリーラジカル説について、ハーマンは、さらに次のように述べている。「体の中のフリーラジカル反応を最小にすることを、つねに考慮した必須栄養素を摂取して、快適な暮らしを損なわない程度に低体重を維持することができれば、人間は寿命を5~10年あるいはそれ以上延ばすことが可能になる!」と。
 食事の制限は、寿命を延ばし、酸素摂取量を減らしてフリーラジカルの生成を抑制する。食事性の抗酸化剤もまた健康と長寿に貢献する。おそらく、強力な活性酸素消去作用を有する漢方薬は、脳の老化のスピードを緩め、脳の神経細胞障害を抑制する食事性の抗酸化剤として利用できるのではないかと考えられる。
 Recent Advances in the pharmacology of Kampo Medicines:pp.102-104 1998より


●いかに健康に生きるかについて
 山形テクノポリス財団 生物ラジカル研究所 医学・薬学研究部長・平松緑

 成人の全死因に占める割合の大きい成人病(脳卒中、ガン、心臓病)に代わって生活習慣病の概念が導入されてきています。食生活、喫煙、飲酒、運動習慣、休養などの生活習慣が糖尿病や肝臓病に大きく影響を及ぼしていることが明らかにされてきました。
 さらに、これらの疾患に「活性酸素・フリーラジカル」が大きく関与していることがこの10年間に明らかにされました。これらの疾患の予防として平生よりどのような食生活を送ったらよいかという予防医学が21世紀には大事となります。活性酸素を消去する代表的なものはビタミンCやビタミンEがあります。これらの栄養素につけ加えて今ではイチョウの葉のエキスのような天然の植物性のものが世界で大流行していますが、その理由は、天然の植物は体にやさしく、まったく安全で、しかもその中には多くのいろいろな成分が含まれているからです。
 老化には、確実に活性酸素が関係しています。また、痴呆症の発病にも活性酸素は関係しています。そして、この活性酸素を消去する植物、薬用植物、漢方薬には延命効果があることが動物実験から明らかにされています。平生から少しでもこのような活性酸素消去作用を持つ薬用植物や漢方薬を意識的に摂取して、老化のスピードを緩めるような食生活を送れば、すべての人間が健康な長寿を楽しむことができるものと思われます。

 両先生もご指摘されているように、漢方薬には目を見張る老化防止作用があります。脳の老化に直接関与して発症するアルツハイマー病に対しても、漢方薬は大いに威力を発揮します。いままであまり一般には知られていなかったこの事実を、1人でも多くの方に伝えたいと願い、私は、この本を書きました。
 私たちは、変動の多い社会のなかで、さまざまなストレスに立ち向かって生きていかなければなりません。本書が、ボケを予防し、心身ともに健康なままで、幸福な人生を送るためのヒントになれば幸いです。
 最後に、本書の執筆・出版に関してお力添えをいただいた漢方健康クラブ会長・小池勤氏、代表世話人・利繁氏、ならびにスタジオ・パトリの長井哲夫氏に感謝いたします。

   1999年4月        大山博行



以上、岡山大学 医学博士 大山博行著 「脳を守る漢方薬」より引用
詳しくは、光文社カッパブックス「脳を守る漢方薬」を御一読ください。


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