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「脳を守る漢方薬」 第2章 脳細胞は自殺する

アルツハイマー病の脳と老化した脳の違い

 それでは、アルツハイマー病の脳と、一般的な意味で老化した脳では、脳の異常にどのような違いが認められるのでしょうか。
 まず、アルツハイマー病でボケの程度と最もよく相関した病変は、大脳皮質の脳細胞の脱落と、それにともなうシナプスの著しい減少です。「脳細胞の脱落」とは、脳細胞死により死滅した細胞が、グリア細胞によって貪食され、抜け落ちていくことをいいます。
 もう少し説明を加えておきましょう。脳の最小機能単位はニューロン(神経細胞=脳細胞)であり、これは突起を持ち、神経伝達物質を合成して興奮の伝達や情報の伝達といった脳の華やかな主役的役割を果たしています。じつは脳にはニューロンだけがあるのではなく、ニューロンを支持して栄養を与える「グリア細胞」と呼ばれるもう1つの重要な細胞があります。

 「グリア細胞」は神経膠細胞とも呼ばれ、脳細胞同士をくっつけて大脳皮質の形を維持している膠のような役割をする細胞です。この細胞はタコの足のような突起を出して毛細血管に巻きつけ、血管を流れて運ばれてくる酸素や栄養物をニューロンに与えたり、脳細胞から出される老廃物をすみやかに除去したり、有害物質の侵入を防いでニューロンを守ったりしている細胞です。さらに、ニューロンが死ぬと、すみやかにこれを回収する役割も担っています。事実、ある脳細胞が死ぬと、1時間もしないうちにグリア細胞がこれを食べ終えて、跡形もなく回収し、その空いた部位を埋めていくようすが顕微鏡で観察されています。つまり、グリア細胞は、脳細胞を揺り籠から墓場まで面倒をみている細胞なのです。
 脳細胞が死滅すると、その跡をグリア細胞が埋めて各細胞間のネットワークを保持します。つまり、脳細胞が減ると、その分グリア細胞が増えることは事実ですが、その機能についてはまだまだ脳細胞以上にわからないことが多く、ブラックボックスになっています。


以上、岡山大学 医学博士 大山博行著 「脳を守る漢方薬」より引用
詳しくは、光文社カッパブックス「脳を守る漢方薬」を御一読ください。

「脳を守る漢方薬」 第2章 脳細胞は自殺する

脳の老化とは何か?

 この章のテーマである「脳の老化とは何か」の核心に入っていくことにしましょう。それが「廃用性萎縮」による脳細胞の脱落とも異なることも説明したいと思います。
 55ページの図4を見てください。この図は、ある人の脳の中でABCDEという5個の神経細胞がお互いに突起を伸ばし、シナプス結合して情報伝達経路を作っている状態を表しています。実線はよく使う情報伝達回路を意味し、点線はほとんど使わない情報伝達回路を表わしています。この人は日常生活において、ABC間やAD間の情報伝達回路をよく使っていますが、AE間やDC間はほとんど使わない状態で日常生活を送っているということを示しています。(①)。 この人が、このまま日常生活を続けていけば、まず第一に「廃用性萎縮」によってEの脳細胞が脱落します。しかし、この状態では日常生活には表面的な支障は何も出てきません(②)。 ところが、普段よく使っている情報伝達経路の中で脳細胞の脱落が起こったらどうでしょう。たとえばBの脳細胞が脱落したとします。(③)。すると、この人が日常生活を続けるうえで必要なAC間の情報伝達回路が閉ざされてしまいます。その結果、ある日突然、取引先の会社の担当者の名前が思い出せないとか、常識的な英単語の意味や漢字が書けない、というようなことが起きてきます。これが「良性健忘」であり、老化現象の一つというわけです。 しかし、この人は、AC間の情報伝達を頻繁に使っていたので、ABCという回路が頻繁に使われている場合にも、この回路の補佐として、DC間が連結していたりします。このような場合は、Bの脳細胞が死んで脱落しても、使い慣れたABC回路よりも、やや情報伝達のスピードは遅く(いわゆる頭の回転は悪く)なるものの、ADCの形で情報伝達回路を再開できることになるわけです(④)。この過程が「脳の老化」ということになります。
 もちろん脳の神経細胞の情報伝達回路は、実際にはこんなに簡単で単純なものではありません。これは、廃用性萎縮による脳細胞死と老化による脳細胞死の違いを説明する1つのモデルとお考えください。

 つまり、脳の老化とは、「自然に脱落する脳細胞の数(自然細胞死のスピード)が、正常の域を超えて増えすぎた結果、日常生活に必要な脳細胞までもが脱落し、死滅しはじめる過程」を指すのです。脳の老化現象は、正常な神経線維回路網(神経情報伝達ネットワーク)の乱れとしてとらえられますが、分子細胞レベルでは「脳細胞の硬化」として確認でき、顕微鏡的には「老人斑」の出現、肉眼的には「脳の萎縮」になります。そして症状的には痴呆として現れてきます。簡単に言えば、脳細胞が老化すると細胞が硬くなり、シミができ、小さくなり、ボケるということです。
 X線CT(コンピュータ断層撮影法)を使って生きたままの人間の脳を輪切り状態で観察し、脳の萎縮を調べたデータによれば、30代半ばあたりから人間の脳の萎縮は加速度的に進行して、80代では20歳時の約90パーセントにまで萎縮していることが明らかにされています。これにともない、大脳皮質の血流量も低下することが知られていて、健康な老人の脳では72パーセントにまで低下していることがわかっています。しかし、アルツハイマー病患者の大脳皮質の血流量は、健康な成人の50パーセント以下にまで低下してしまいます。
 ここで、もう一度図4を見てください。脳細胞死がB細胞だけで済んでいる間は、他の脳細胞で代わりをつとめることができます。ところが脳細胞死が加速され、もしD細胞にも及んだらどうなるでしょうか。D細胞だけでなく、さらにA細胞とC細胞にまで及んでしまったらどうなるでしょうか。これらの重要な脳細胞を取り囲むまわりの脳細胞がいくら頑張っても、もはや途切れてしまった情報伝達回路は再開できなくなってしまいます。


以上、岡山大学 医学博士 大山博行著 「脳を守る漢方薬」より引用
詳しくは、光文社カッパブックス「脳を守る漢方薬」を御一読ください。

「脳を守る漢方薬」 第2章 脳細胞は自殺する

脳細胞は自殺する

 出生後から10代にかけて、脳はいちばん豊かな発達をとげる時期にあります。ところが、この時期に脳細胞の約半分が自動的に死んでしまう、と述べました。なぜ、こんな不思議な現象が起きるのでしょう。これは、脳細胞が非分裂細胞であるため、あらかじめ必要な数の2倍以上の脳細胞が胎生期に作られ、出生後の神経系の発達過程において、より完成された脳の形成、神経情報伝達回路の形成に向けて、必要以上にある脳細胞の脱落が始まるのだろうと解釈されています。
  このような脳細胞の脱落(自然細胞死)は、あらかじめ遺伝子にプログラムされたものなので「プログラム細胞死」と呼ばれています。細胞にあたかも「意志」があるかのごとく死滅していくので、「細胞の自殺」と考えることもできるでしょう。最近の生物学では最も注目されている現象で、「アポトーシス」と呼ばれています。この現象は脳細胞に限ったことではなく、たとえば手や足の指が、胎生期のある時期までにくっついていた状態にあるものが、しだいに指と指の間の組織の細胞が自然に死んで脱落することによって5本の指が完成するのも、同様のプログラム細胞死によるものです。

 生まれた直後から20歳を迎えるまでに半数近くが自然に死んでしまう脳細胞は、「アポトーシス」によるものであるとして、それでは、前述した20歳以降に起こる1日約10万個の脳細胞の脱落は、脳の老化現象なのでしょうか。
 じつは、これもすべてがそうだとはいえないのです。ご承知のように、私たち人間は20代、30代、あるいはそれ以降も、まだまだ新しい事柄を学習して、記憶し、知識として取り入れ、思考や判断の対象にすることができます。
 20代以降の脳細胞の脱落(自然細胞死)は「廃用性萎縮」という言葉で説明することができます。「廃用性萎縮」とは、たとえば、学生時代によくスポーツをしていた人が、就職してデスクワークが多くなると、使わなくなった筋肉が自然にやせ細っていくように、ふだんはあまり使わない脳細胞が自然に死んで脱落していくというものです。つまり、使わない筋肉が自然に衰えて、筋肉細胞の数も徐々に減り、筋肉が萎縮して小さく細くなるのと同様に、その人の日常生活において使われない不必要な脳細胞が、徐々に脱落して死滅していくということです。個々の人間がそれぞれの生活環境のなかで適応していく過程で起こる現象であり、その発現には個人差があります。


以上、岡山大学 医学博士 大山博行著 「脳を守る漢方薬」より引用
詳しくは、光文社カッパブックス「脳を守る漢方薬」を御一読ください。

「脳を守る漢方薬」 第2章 脳細胞は自殺する

脳細胞は毎日10万個ずつ死んでいる

 脳細胞のもう1つの大きな特徴は「自動的に死ぬ」ということです。繰り返しますが、脳細胞は、胎生期においてさかんに分裂・分化しますが、出生後には二度と細胞分裂を行ないません。それどころか、神経系の発達過程で、神経連絡や神経回路の形成時期に、自然に細胞が死んでいくという「自然細胞死」の性質を持っているのです。
 1950年代にドイツのブロディ博士という大脳生理学者が脳の病気以外の原因で死んだ人の脳を数多く提供してもらい、それを年齢層ごとに集計して比較しました。ブロディ博士は、これらの脳の大脳皮質を前頭葉と後頭葉に分け、組織の切片を取り出し、顕微鏡で丹念に脳細胞の数を数えたといいます。この研究成果が発表されたのは、博士の死後の1955年のことです。
 博士の研究によると、前頭葉の脳細胞は生まれた直後から20歳を迎えるまでに半数近くが自然に死んでしまうというのです。この前頭葉の脳細胞は、その後も少ずつ、ほぼ一定のペースで自然に死につづけ、80歳を迎えるころには、なんと20歳時に比べて、脳細胞の数は63パーセントにまで減少することになります。これを日割り計算すると、私たちの人間の脳細胞は、1日平均約10万個のペースで自動的に死んでいるということになります。
 さぞ驚かれたことと思いますが、だからといって、さほど深刻になる必要はありません。加齢とともに脳細胞がどんどん死滅していくのは事実ですが、生き残った細胞が機能しているかぎり、ボケとも無縁に暮らせますし、ましてや生命に別状があるわけではありません。ある科学者の試算によれば、脳細胞が死滅して生命の危機にさらされるのは、20歳のころの約3分の1の量にまで減少した場合だといいます。そして、これを前提にして大まかに計算すれば、脳に関するかぎり、人間は140歳まで生きられることになります。


以上、岡山大学 医学博士 大山博行著 「脳を守る漢方薬」より引用
詳しくは、光文社カッパブックス「脳を守る漢方薬」を御一読ください。

「脳を守る漢方薬」 第2章 脳細胞は自殺する

一度死んだ脳細胞は再生しない?

 痴呆症、とりわけアルツハイマー病の理解のために避けては通れない「記憶のメカニズム」について、おおよそ輪郭をつかんでいただけたと思います。次に、そのメカニズムを担う基本単位であるニューロン、つまり脳細胞そのものの特性について調べていくことにしましょう。
 私たちの体は、約60兆個の細胞からできているといわれています。そのなかでも、脳細胞は他の細胞と比べ、著しく異なった性格を持っています。
 まず最大の特徴は、脳細胞は「再生しない」ということです。つまり脳細胞は、細胞分裂をする能力を持たない「非分裂細胞」なのです。脳を形づくっている細胞には、脳細胞(神経細胞)、グリア細胞、血管内皮細胞があり、その総数は約140億個といわれていますが、そのうちの数パーセント、約4、5億個ある脳細胞だけが分裂する能力を持っていません。脳細胞は胎生期にはさかんに分裂をし、増えつづけますが、出生後は二度と細胞分裂をしないので、もう増えることはありません。一生使いつづけなければならない細胞という意味で、「終末細胞」とも呼ばれています。
 皮膚などの組織や肝臓などの臓器では、細胞が古くなって死ぬと、すぐに細胞分裂を行い、再生して新しい細胞と入れ替わり、リフレッシュすることができます。たとえば、事故や病気などで組織や臓器の一部の細胞が死んでも、その原因を取り除きさえすれば、生き残った細胞が細胞分裂を行い、死んでなくなった細胞を補って、組織や臓器を新たに再生することができます。これに対して脳の場合は、何らかの原因で脳細胞が死んでしまうと、その原因を取り除いても、死んでなくなってしまった細胞の跡はそのままで、補われることはありません。

このように、脳細胞が細胞分裂をしないということは、脳の老化やアルツハイマー病などによって一度死んでしまった脳細胞は、二度と再生しないことを意味しています。仮に、急激に来る脳細胞死を抑えて、脳の老化やアルツハイマー病の進行を抑制することができたとしても、すでに死んでしまった細胞を再生して元に戻すことは不可能なのです。すなわち、アルツハイマー病に侵された人間は、脳が侵されるだけではなく、その先には確実に死が待っているということになってしまいます。
 現在、アルツハイマー病に関しては特効薬と呼べる薬は存在していません。しかも、脳細胞自体が非分裂細胞であることを考えると、なくなった脳細胞を新しく再生させて、脳の働きを完全に元に戻すことは、将来的にみてもひじょうに困難なことと考えざるをえません。すなわち、アルツハイマー病は、なってからでは遅い、「未病」の段階で治しておかなければならない病気だということです。
 ただし、脳細胞は再生しない代わりに、他の細胞と違ってひじょうに長生きするという特徴もあります。皮膚の表皮細胞の寿命は約28日、胃の粘膜上皮細胞の寿命は約3日といわれていますが、脳細胞のなかには100年以上も生き長らえるものがたくさんあります。これは、人は100歳以上生きられる裏付けともいえるでしょう。


以上、岡山大学 医学博士 大山博行著 「脳を守る漢方薬」より引用
詳しくは、光文社カッパブックス「脳を守る漢方薬」を御一読ください。


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