【質問】風邪がこじれ、なかなか元気が出ません。漢方薬をどの
くらい服用したら効果が出るのでしょうか?
【答え】お年寄りや小児、または健康であっても寝不足や身体が
疲れている時は体力が落ち、病気に対する抵抗力も低下
して感冒にかかりやすく治りも遅い。風邪を引いても薬を
なかなか飲まなかったり、間違った薬を服用すれば、こじ
れた風邪に発展します。これは体に不足を起こしている
もので虚証と称します。
寒がりでも毛糸の帽子などをかぶっている人が風邪を引
き、いつも眠い、小便が近い場合には「麻黄附子細辛湯・
まおうぶしさいしんとう」を4,5日服用してもらいます。
しかし、手足が冷たく身体が重だるく頭重し、小便に異常
を来して便も軟らかいものには「真武湯・しんぶとう」を使
用します。この場合は1,2週間かかることがあります。
寝不足や普段の疲労が蓄積されているところに風邪を
ひくと、元気がなくなり少し動くだけで汗をかき、食事の味
がしない、また食欲がなくなり夕方になると発熱してくる人
には「補中益気湯・ほちゅうえっきとう」が良いでしょう。
この場合は6,7日かかることもあります。
このような方は虚証があるので、繰り返し風邪を引くこと
も多く、身体の不足を補う適切な漢方薬を普段から服用
することが感冒の予防には最も適切な方法です。
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脱腸とは一般的にヘルニアと呼び、大腸が腹中よりはみ出る
ことを言う。小児や高齢者に多く発現し、突出する部位は鼠径 (そけい)部が多く、男子は陰嚢(いんのう)部にも起こる。 87歳の女性の場合、普段より朝夕散歩をされていたが、自宅 の階段から落ちられ、鎖骨を骨折。即座に整形病院に入院され ていたが、リハビリ中、右鼠径部にうずら大卵大のはれを発見。 患部に赤みなく、押すと痛みを感じ、歩く時違和感がある。朝に なると多少小さくなり、午後にはわずかに大きくなるような気がす る。他の総合病院にセカンドオピニオンを求めると手術をしましょ うと言われた。 内臓を一定の場所に保持する働きが存在し、それを「中気 (ちゅうき)」と呼んでいる。この力が不足すると、内臓を一定の場 所に保てなくなる。脱腸もその一つの症状であり、他に胃下垂、 遊走腎、膀胱(ぼうこう)下垂、子宮脱、脱肛などの疾患がある。 体質や部位により「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」「香砂六君 子湯(こうしゃりっくんしとう)」「小建中湯(しょうけんちゅうとう)」 などを使い分ける。この方には中気の不足を補い、陰と陽の バランスを調整する「小建中湯」を服用いただき、現在まで再 発なし。 |
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更新日: 2017/08/02 |
鼻汁には、鼻腔からの鼻汁と副鼻腔にたまった鼻汁とがあり、
正常時にはのどから胃に流れても自覚症状はないのですが、 一旦風邪などで鼻に炎症が起きるとその分泌液の量や粘土が増 し、のどに流れ落ちるのが解るのを後鼻漏と言います。 症状としては、のどに痰がへばりついたり、めまい、頭痛、咳 払いや、夜間の激しい咳などを繰り返すなどがあります。 この原因としては、暴飲暴食や不摂生、特に冷たいもの(飲み 物・果物)を摂り過ぎると、胃腸が冷えて働きが低下し鼻の状態が 悪くなります。 68歳の女性で10代の頃より苦しんでおられたが、その当時は 自分のことどころではなかったとのこと。今回来店され、水分の滞 りと捉え、血液の循環をたかめ、胃腸を丈夫にする原因療法を行 いました。調子が良くなられる。 |
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更新日: 2017/06/08 |
桜の便りが近づくと、元気で学校に行ってもらいたいと祈る
のは、親心というものである。春休みは子供の相談が増えるの も当然であろう。 小学校5年生の少女は、去年の1月に急に激しい胃痛と吐き 気に襲われ、急性胃腸炎と診断され、5日間の入院となった。 退院後も食べると吐き気を催し、春になってやっと元気が出た という。今年の正月に再び同じような症状に襲われ、1月は12 日間、2月と3月にも10日間ずつ3回入院し、現在も食欲不振と 吐き気がとれないと来店した。普段から体温は低く、おとなしく 神経質だが、医師は自律神経の影響ではないという。吐き気と 胃痛を伴う流感の延長であると考え柴平湯(さいへいとう)を処方 数日すると電話があり、漢方薬を飲むと下痢をするという。 良く聞くと、便通も毎日1~2回でゆるめで形はあり、水分をあま りとらない方で冷たいものは絶対に口にしないという。小便も 5~6回くらいである。 人間には、無意識のうちに自分に合わないものを拒絶する 本能があり、症状が表面に現れないことがある。胃腸の陰陽 のバランスを整え、働きをよくする小建中湯(しょうけんちゅうと う)と、腸を温める理中湯(りちゅうとう)を併せて服用すると、2服 で食欲がわき、吐き気がなくなったと報告があった。 |
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更新日: 2016/04/07 |
今シーズンも風邪がはやり、3月よりひどい咳(せき)が出る
ようになってきた。急性のものは外感、つまり身体に余分なもの が侵入し、まだ体表面に病があるものであり、慢性のものは、 五臓六腑(ぷ)に病が侵入したものと分類する。咳嗽(がいそう)に 関係する臓腑は、主に肺・脾(ひ)・腎・肝であり、口のかわきや痰 (たん)の有無、全身のだるさや汗の有無、食欲の異常や衰弱の 状態などから、どの臓腑に病証が存在するか判断し、漢方薬を 調合していく。 63歳の女性の場合は、昨年12月より風邪を引き、4カ月間通 院していた。3月の中旬の時点では手足が冷え、悪寒がする。 胃が重だるく、少食で時たま悪心を感じる。朝起きると咽喉が痛 く、しわがれ声で始終咳が出て夜も眠ることが出来ない。白と黄 色の痰を伴い、量は少なく朝方に出る痰は黄色みが多い。咳で 腹筋が痛く、激しいときは尿をもらしてしまう。 この女性は脾を傷められ、さらに肺に熱があるため肺の滋潤 ができず、肺気が失調している病証である。脾と肺の気を補うた めに「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」を使い、肺の滋潤に「麦 門冬湯(ばくもんとうとう)」、肺の熱を冷ます「石膏(せっこう)」を 加え服用していただいた。四六時中続いた咳が1週間で止まり、 10日で体力がだいぶん戻ってきたと喜びの電話をいただいた。 |
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更新日: 2016/04/07 |