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女性 70歳代 2018・8・7
「ありがたいことです」と小さな声で独り言を言うのが聞こえた。そう思ってくれることは僕にとっても「ありがたいことです」
 僕は5年間音沙汰がない人はカルテを廃棄する。この女性も廃棄しているから5年い以上薬局に来なかった事になる。以前は隣町から、しばしばご主人に連れてきてもらっていた。丁度更年期に当たる頃だったと思う。よく働く女性だったと記憶している。
 この2ヶ月前から再び訪ねて来てくれるようになった。ところがかつての記憶とは別人のような姿だった。痩せて無表情で、口元がいつも震えていた。主訴が夜間の痛みだったから、それを目的にした漢方薬を作ればいいのだが、本人は口には出さないが僕には鬱症状が一番前面に出ているように感じた。そこでそれは依頼されていないが、痛みの薬と称して2種類漢方薬を作らせてもらった。一つは当然痛みの漢方薬、一つは心身ともに元気にする漢方薬。痛みが激しいから真面目によく飲んだ。今日薬を取りに来た時に、僕は口元が震えていないことに気がついた。そして何よりもかつての女性に近いような表情に戻り、よく笑った。何を思ったのか今日女性がお薬手帳なるものを持ってきた。すると予想通り、精神病薬が3種類出されていた。薬局に来ていなかった期間に何があったのか分からないが、かなりストレスの多い期間を過ごしたのだろう。
 3種類の精神病薬を飲んでいたのに、まるで廃人のようだった。あのままずっと飲み続けていたのだろうか。恐らくその薬が原因の副作用をとめる薬も出されていて、8種類の薬を飲んでいた。「歯がゆいでしょう」といつか尋ねたことがある。「歯がゆいです。何でこんなになったんでしょうか」と答える姿が哀れだった。超プロの人たちの治療を素人の僕が批判は出来ないが、時には、いや意外と多くこのようにお役に立てれることを経験する。
 こんな僕に「ありがたい」と言わざるを得ないほどの苦痛を人生の最終章で受ける。最期まで幸せでおれる事などよほど幸せな人以外はないと思ったほうがいい。苦行のような1日が終りほっとしている人、苦行のような1日を恨んでいる人、顔には出さないだけで、口にも出さないだけで巷には溢れているはずだ。、

女性 30歳代 2018・8・6
最近はあまり痔の漢方薬を作る機会はない。ただこの女性は手術を迫られたから必死だった。内痔核の脱出で仕事にさしさわりがあって肛門科で治療を受けているに関わらず、改善しなかった。そこで1週間分漢方薬を送ったら、再受診の時に医者がもう治っていると言ったらしい。無駄な手術をするところだった。

男性 60歳代 2018・8・2
脱サラして農業を始めた。元々がっちりした体格ではないから、無理がたたったのか頚椎ヘルニアになった。毎日の痛みで顔がゆがみそうになる。でも真面目な方で痛みをこらえながら働いていた。病院でリリカなどを貰っているが効いている様な感じはない。そこで漢方薬をとりに来られた。1年近く飲んでもらったと思うが、今は若干の痺れが指先に残っているだけで痛みはほとんどない。顔の表情が全く変わって、笑顔が多い。

男性 70歳代 2018・8・1
本人は慣れているのかしらないが、痛風で足が腫れて赤くなり痛いのに、病院には行かないという。何があったのかしらないが、僕のところで漢方薬で痛みをとってほしいと言う。こうした人には僕は漢方薬でなくある天然薬を飲んでもらう。数日後、奥さんが御自分の漢方薬をとりに来た時に「主人はあれからすぐに痛みが消えて助かっています」と教えてくれた。量を減らして飲んでいると痛風にはとてもいいですよと説明したが、とりに来る気配はない。喉もと過ぎたかな!


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