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漢方薬は病名だけでは、処方を決定することが出来ません。
症状・状態・体質をよく把握して(証の決定)、処方を決定することが何より大切なことです。
東洋医学をよく研究している専門家にご相談なさることをお勧めいたします。

漢方製剤の優劣(品質)は、原料生薬の選択によりほぼ決定いたします。
生薬の選別には、香り・味・色・艶・鮮度・採集時期・採集場所等々、経験にたよるところが多く、長年の経験と十分の知識が必要です。

原典で応用された産地の生薬を、その道の専門家が選別し製剤化された漢方薬を、私たちは自信を持ってお勧め致します。

『四季の漢方シリーズ 四季の食養 冬』(発行:株式会社 東洋薬行 学術部)より

漢方薬専門 東医堂 杉山薬局
〒355-0047 埼玉県東松山市高坂1088
相談電話 0493(35)0890 
定休日 日・月・木曜、祝日
当店への漢方相談はこちら >>
東洋医学では人生百二十年と言います。
そこまでいかなくても、元気で老後を過ごしたいものです。
いずれにしても、養生を始めるのに早すぎることはありません。
黄耆膏は、老化防止の薬膳として、昔から多くの人に体験された処方です。

 おう ぎ こう
黄耆膏(ホワン・チー・ガオ)――黄耆入りハチミツ・ジャム


≪材料≫ 1ヵ月分
 黄耆(おうぎ) 120g
 茯苓(ぶくりょう) 120g
 山薬(さんやく) 100g
 甘草(かんぞう) 60g
 ハチミツ 300g

≪作り方≫
① 大鍋に水3リットルと黄耆と茯苓を入れ、強火で一煮立ちさせたら、
  中火で600cc(1/5量)になるまで煮詰め、これをガーゼでこして液をとる。

② ミキサーで粉にした山薬と甘草を①の液に入れ、弱火で温めながらよくまぜる。

③ 別の鍋にハチミツを入れ、ふきこぼれないよう注意しながら弱火で水分を
  蒸発させる。

④ ②の液に③のハチミツを流し込み、よくまぜる。

⑤ 煮沸消毒しておいたガラス瓶(蓋つき)に④を入れ、冷めてから冷蔵庫に保存する。

⑥ 毎日朝と晩に、15ccずつ湯に溶かして飲みます。
  1カ月で飲み終えるようにして下さい。


『四季の漢方シリーズ 四季の食養 冬』(発行:株式会社 東洋薬行 学術部)より

漢方薬専門 東医堂 杉山薬局
〒355-0047 埼玉県東松山市高坂1088
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……老後を寝たきりにならないために……………

東洋医学では、父母の生命エネルギー(東洋医学では腎精という)を受け継ぎ、新しい命が腎(東洋医学で言う五臓の中の腎)に宿ると考えられ、これを「先天の精」(腎精)といっています。
先天の精人間の成長・発育・老化に関与していると考えられておりますので、長寿の人と先天の精とは相関関係にあると推測されます。

先天の精は生命エネルギーとも考えられて、たえず食べ物を通じて補充されています。
食べ物より得た精微な栄養物を「後天の精」と呼んでいます。

先天の精を包括する腎は五臓の中でも成長が遅く、又老化の早い臓器と言われており、足腰を鍛えて初めて強化される臓器です。
腎精(先天の精)の補充は季節では冬期、一日の中では真夜中に効率的に補充されます。
以上の事からも、長寿のためには、食養・運動・適切な睡眠の大切さが良くお分かりのことと思います。

また、「腎は骨をつかさどる」といって、骨の代謝に腎が関与しています。
もともと、日本の国土は火成岩で構成され、大陸に比べると土中にカルシウムが少なく、食生活が豊かになった現代でも厚生省の栄養調査によると、カルシウムのみが必要量に達していないことが報告されています。
日本人が年を取ると背が縮んだり、背中が曲がってしまうのもカルシウム不足のせいと言われています。

骨と腎の関係を証明した臨床報告があります。
恵光会原病院のドクター、戸原震一先生のデータによると、八十歳前後の老人を各二十人づつの三グループに分け、1群を西洋医学療法(サケカルシトニン週2回筋注および活性型ビタミンD内服単独治療群、2群をユニカルカルシウム七・五グラム(カルシウムとして六百ミリグラム)内服単独治療群、3群をユニカルカルシウムと漢方薬(補腎薬)併用で治療し、4ヶ月後に、骨塩量(DXA法)を測定した。

この結果、骨塩量の変化が、1群はマイナス〇・七%、2群はプラス五・一〇%、3群はプラス五・八一%となっています。
ちなみに、何もしなかった対照群はマイナス二・〇六%と骨塩量が減っており、骨粗しょう症の背景がうかがえます。
戸原先生は骨粗しょう症は漢方的には一般に腎虚(腎精不足)の状態が考えられると言っておられます。

六味地黄丸(ろくみじおうがん)は腎精を補う作用のある熟地黄(じゅくじおう)・山茱萸(さんしゅゆ)・山薬(さんやく)を主成分とした処方で、腰から下に力が抜けたように感じたり、膝がガクガクしたり、転びやすくなったり、夜間は排尿に起きる回数が多くなる人に用います。
臨床的には、高血圧、動脈硬化症、糖尿病、慢性腎炎、気管支喘息などの慢性病や腰痛などに応用されています。

しかし、胃腸が弱く食の細い人には、補腎薬は脾胃に負担になることが多いので、まず胃腸の調整をするために「六君子湯(りっくんしとう)」の服用をお勧めいたします。

六君子湯は胃腸の消化機能を高め、水分の代謝を促進する働きがあります。
自然と食欲が亢進し、気管の中の痰の排泄も良くなりますので、呼吸が楽になり、体が軽く感ずるようになります。

老後を健康に過ごすためには、気分をゆったりとして、適度な運動をして、腹八分の食事を心がけ、十分に睡眠をとることがなにより必要なことと思います。
そのうえで、積極的にカルシウムを補給し、夜寝る前の補腎薬(六味地黄丸など)をとられることが、老後の健康に対する自主的な保険ではないかと思っている昨今です。

交通機関の発達で、歩く事が少なくなり、飽食傾向の日本人、現在は最長寿国と言われますが、このままでよいのか、再度、食養の大切さを反省すべき時と感じます。

『四季の漢方シリーズ 四季の食養 冬』(発行:株式会社 東洋薬行 学術部)より

漢方薬専門 東医堂 杉山薬局
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先にものべましたが、食べ物にも陰陽があります。すなわち、体を温める食べ物(陽)と冷やす食べ物(陰)があります。
冷えないためには陽性の食べ物を多く食べること、陰性の食べ物を料理で陽性に代えて食べることが必要になってきます。
そのためには、食べ物の陰陽の見分け方を知っておく必要がありますので、そのポイントをお知らせしましょう。

基本的には、動く動物は陽性、動かない植物は陰性です。
しかし、植物の中にも陰陽があり、太陽に向かって伸びる比較的成長の早い葉野菜(ホーレンソウ、小松菜、春菊など)は陰性で、体を冷やすカリウムが多く含まれています。
その反面、土の中へ向かって伸びて行く成長の遅い根菜類(大根、ヤマイモなど)はカリウムが少なく陽性で体を温める食べ物です。
又、夏場に収穫されるものは陰性の食べ物(トマト、キュウリ、メロンなど)で、冬にとれるものは陽性の食べ物(大根、ゆりの根など)と季節で分ける方法もあります。
又、形状で大きくてやわらかいのは陰性(スイカ、メロンなど)、小さくて固いものは陽性(栗、クルミなど)となります。


≪体を温める食品≫

(1) 地下に生育する植物性食品
  根菜類(大根、牛蒡、人参、など)
  イモ類(サツマイモ、サトイモ、ヤマイモ、ジャガイモなど)
  ネギ、ショウガ、ゆり根、レンコン。

(2) 水面の下に育成する海藻類

(3) 豆類、種実類
  大豆、小豆、エンドウ豆、ソラ豆、落花生、ゴマ。

(4) 果物(果物は基本的には陰性)
  クルミ、ナツメ、栗、梅、竜眼、リンゴ、桃、キンカンなど。

『四季の漢方シリーズ 四季の食養 冬』(発行:株式会社 東洋薬行 学術部)より

漢方薬専門 東医堂 杉山薬局
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冬が近づき寒くなってくると、自然界全てのものが隠遁(いんとん)生活をするようになります。

中国の古い医学書(素問(そもん))の中で
「冬の三ヶ月を閉蔵(へいぞう)という。万物が静かに沈み消極的になる時である。
すべてが収納され、貯蔵されていく時期で、決して発散してはいけない。
この時期は、早く寝て遅く起きる。陽気(エネルギーと考えても良い)も深く貯蔵されていくから、心身ともに活動的になってはいけない。
運動などで発汗するなどは絶対にダメである。」
といって、冬の生活の仕方を教えています。

冬眠する動物や、葉を落としていく植物などは、忠実にこの法則を守って、春には元気に活動し始め、草木は新芽を出したり、花を咲かせたりしています。

人間もこの時期に生命エネルギー(東洋医学では腎精といって、人間が生まれ、成長し、老化して行く過程に深く関与していると考えています)を蓄える時期となっています。
なお、一日の中では、夜中(午後十一時頃より午前二時頃まで)が腎精が蓄えられる時間ですので、深夜まで起きて活動している人達はそれだけ命を縮めているとも言われています。

しかし、我々人間は冬だからといって、コタツにへばりついて寝ているわけにもゆきません。
そこで、部厚に服を着たり、暖房などして、冬を少しでも快適に過ごそうとしてきて、現代の文化生活では、年中快適な生活環境を作り出しています。

ただし、このおかげで人間は少しの寒さにもへばって、すぐに風邪を引く人が多くなってきているように思います。
冬中風邪気味という人もいます。
このような人は、養生法が間違っているのです。
健康に過ごそうとするのなら、文明にばかり頼らずに、夏のうちから冬に対する体力づくりをしておかねばなりません。

先ほど引用した素問では「冬は陰の気が勝っていて、陽の気が弱っている」といっています。
具体的にどうすればよいのかを簡単に説明いたしましょう。
「陰」とは、「陰気くさい」「陰気な人」と言うときの陰で、性格で言えば内向的、非活動的なものをいい、気候では寒く、冷たいものを言います。
その反対に、「陽」は活動的にあふれたもの、温かいものと言えましょう。

冬は夏に比べると、天気も憂鬱な感じがします。
動物や植物も、冬は夏に比べると、遥かに「静」的な感じがします。
この自然界に生きている人間の細胞もやはり非活動的になっています。
そのため、日頃体の弱い人や老人、冷え症の人などは冬はつらい時期なのです。

しかし、いくら陰の気が勝っているとは言え、人間は働いて生きてゆかねばなりません。
そのためには、陰性に傾いた体の中に、陽性なものを補充しなければならないのです。
たとえば、元気な人は、寒くても動き回りますが、弱った人や冷え症の人などは、寒くなると活手もちぢかんで動き回る気にもなりませんが、暖房して部屋を温かくすると、今まで震えていた人が、見違えるように活発になってきます。

これは熱という陽の気を陰の気の強い人に与えたので、体の中の陽の気が増えて動きやすくなったのです。

これと同様に、食物によって陽の気を補うことが冬期の食養の一番重要なことです。
それならば植物性食品をやめて、動物性食品をうんとたくさん食べても良いだろうと早合点してはいけません。
季節の如何にかかわらず、肉食をし過ぎると、健康を害すると言うことは皆さんも良くおわかりの事と思います。
成人病の中でも一番気をつけなければならない「動脈硬化」の原因の一つに、動物性食品の食べ過ぎが指摘されています。
では、肉食に変わる陽性な食品は何でしょう。

昔の人は、冬になるとよく、ふろふき大根を食べていました。
野菜は陰性の食品と言いますが、その中でも根の部分は陰性が弱く、加熱して陽性化して、そのうえに陽性の味噌をつけて、体の温まる食べ物にしていたのです。

料理法では熱を加えること(煮る、炒める、焼く) そのうえに陽性な動物食品と共に熱を加えてやるともっと陽性になります。
たとえば、鍋料理のように、白菜と魚を一緒に煮て食べると、体がポカポカと暖まってきます。
食べ終わった後、寒い戸外へも平気で出ていけます。
これは、食べた野菜が陽性になったと考えることが出来ます。

調味料の中では、塩・味噌・醤油が陽性のものです。
キュウリに味噌をつけて食べるなど、塩などを野菜料理に用いることが必要です。

冬の季節は、料理して、陰性のものを陽性のものにして食べているのですから、陰性の食品はなるべく食べない方が良いでしょう。

果物、甘いもの、冷たいもの(果物の中でも柿は非常に陰性です)は体を冷やすので、冷え症の人、喘息のある人、寝小便のある子供、貧血、神経痛の人、消化器系の弱い人などはなるべく食べないようにしましょう。

ミカンも冬場は美味しい食べ物ですが、食べ過ぎてはいけません。
毎日食べないようにして、一回一~二個ぐらいで我慢しましょう。


『四季の漢方シリーズ 四季の食養 冬』 (発行:株式会社 東洋薬行 学術部)より

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