おいしいものを食べる。人生の楽しみの一つです。幸いなことに、日本は四季折々のおいしいものが楽しめる国です。例えば果物。春はイチゴ、夏はさくらんぼ、メロン、秋は柿、冬はリンゴ、みかん…とおいしいものがすぐ浮かびます。
こんな楽しみを味わうためにも健康で長生きしたい。誰もの願いでしょう。
人間も生きてゆくためにはエネルギー補給が必要で、毎日食べて、日々の体の維持は食に頼っています。しかし、食べ物が私たちの体の健康に非常に大きな影響を与えていることに気付かない人も多いです。空腹を満たすのみに、自分の好みで簡単にインスタント食品を食べている人のなんと多いことか。考えてみるとゾーッとするほど恐ろしいことなのだが、それに気づいていない人も多いのが現実であろう。
最近、特に多いアトピーや癌の多発なども食事の誤りに原因のあることを真剣に考えなくてはならないでしょう。糖尿病も然りです。
人間は健康でないと正しい判断は出来るものではない。ちょっとしたことに腹を立て、人をあやめたりすることが、最近いかに増えたことか。
また日々、わずかなことに怒りっぽくなる人は、いつの間にか心から楽しめない人になって、顔の表情にも険しいものが出て、たとえ笑いたいと思っても、なかなか心から楽しい気分にはなれなくなってしまっています。これがヒステリー性の特徴なのである。
そればかりか、内臓も犯されて、肝機能が低下したりしています。
この様に「健全な精神は、健全な身体にこそ宿る」という法則は、決して誤りではない。
健康な肉体や、精神を作り上げてゆく、最も近道で大切なことは食生活の改善であります。
戦後の日本は、急速に欧米の食文化が浸透して食生活は豊かになり、日本人の体格は確かに大きくなり、若人の背丈は大きくなってきました。しかし、体力、持久力の点では衰えを見せ始めており、成人病が若い人の間にも広がり、しかも、小中学生の中にも成人病が見られるようになって、成人病を「生活習慣病」と呼ぶようになってから、数十年になります。
私の子供の頃にはなかったスギ花粉症も、飲料水の自動販売機の普及が原因の一つであると東洋医学では考えています。すなわち、年中冷たいものを飲む習慣が出来ていることが、胃腸の働きを低下させる原因になって、体の中の水分代謝に変調を来し、クシャミや鼻水を生じさせているのです。
昔から、日本には日本の食生活があり、日本の気候風土に合った食養生があります。食の改善は今や非常に大切なこととなっています。
解説:惠木 弘(恵心堂漢方研究所所長)