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 薬酒は前漢方時代の歴史書「史記」の「列伝第四十五扁鵲(へんじゃく)倉公」の中に「戦国時代の名医扁鵲は治療に薬酒を用いた」とあり、中国でも古くから医薬の一つとして、
薬酒が用いられていたことが分かります。

 中国の薬酒は種類が多く、十六世紀末に著された「本草綱目」には六十九種の薬酒名が挙げられています。

 その中の代表的な薬酒『十全大補酒(じゅうぜんだいほしゅ)』にスポットを当ててみましょう。

 十全大補湯は、疲労回復、夏バテなどに良く使用する漢方薬です。
消化機能を高める四君子湯(しくんしとう)と滋養強壮の四物湯に、体を暑さ寒さから守る抵抗力を益す「黄耆(おうぎ)」と、新陳代謝を高め生命の泉といわれる腎の働きを強力にサポートする「肉桂(にっけい)」を加味した処方です。
 この十全大補湯の十種の生薬をお酒に三ヵ月つけて作ったのが、十全大補酒です。


十全大補酒の簡単な作り方

 漢方エキス製剤を用いて、簡単に作る方法を紹介します。

○用意するもの
 二十五度のホワイトリカー又は焼酎 七二〇ミリリットル
 十全大補湯(賦形剤がデンプンのもの)四〇グラム

○作り方
 ホワイトリカー又は焼酎に十全大補湯エキス製剤四〇グラムを入れ①、良く振って混和し放置する②、二晩放置するとエキスは完全に溶解し、賦形剤は溶けずに瓶のそこに沈殿する③、上澄みのみを、静かに別の瓶に移して出来上がり④。

○飲み方
 一回一〇ミリリットルをお湯で適当に薄めておやすみ前に飲む。
 必要に応じて一日二~三回飲む。


解説:惠木 弘(恵心堂漢方研究所所長)

漢方薬専門 東医堂 杉山薬局
〒355-0047 埼玉県東松山市高坂1088
相談電話 0493(35)0890 
定休日 日・月曜、祭日
当店への漢方相談はこちら >>
五、甘いものの食べ方

 何しろ子供たちやご婦人にとっては甘いと言うことは、最大の魅力の一つでしょう。
甘いもの(糖分)はなんといってもカロリー源として必要なものです。体に入ってブドウ糖となって吸収され、これが燃焼して我々の体のエネルギーになるわけです。
だから、「疲れたら甘いものが欲しくなる」と言うわけです。
しからばなぜ、甘いものが悪いのでしょう。

 甘いものといえば、まず砂糖ですが、これをたくさん食べると急速に吸収されて、今度は分解が悪くなります。丁度ストーブに石炭をたくさん放り込んだのに似て、くすぶり、煙が出て、煙突はススで詰まってしまいます。ですから少量ずつ食べる必要があります。又、煙のあまり出ない、つまり自然の甘味、黒砂糖や蜂蜜などの甘味が一番良いのです。
 漢方でも麦や米より麦芽を加えて糖化させた飴、蜂蜜、ナツメ、甘草など甘い薬は強壮剤として良く用いられ、虚弱な体を丈夫にしたり、腹痛を止めるのに用いられています。

 胃腸はぜん動と言っていつも働いており、その働きで食べたものを混ぜ合わせ、腸に送っています。
ところが砂糖が入ると胃は働きを止めて休息状態に入ります。私達は甘いものを食べると胃のもたれを経験することがありますが、これが休息状態です。
 ですから、子供に食前にお菓子を与えると胃腸が働かなくなり、食事の時に食欲がなくなります。
そして口先に感じる美味しさだけで、甘い菓子を食べ、栄養として必要な食事を欠くようになります。
虚弱で神経質な子供によく見られます。

 反対に食事をすると、それを消化するために胃が働き始めますが、まだ腸へ行き吸収されていないので、体は血糖値が下がり空腹感を感じます。それで、ついついたくさん食べてしまいます。
ゆっくり食事をし、食後のデザートで甘いものを食べると、吸収の早い糖分が吸収されます。

一方胃のぜん動は休息状態になり、満腹感が得られるために、本当の満腹になる前に食事を止める
ことが出来ます(腹八分の食事が大切です)。

 フランス料理ではフルコースの最後に、甘いケーキが出て、コーヒーや紅茶が出ます。

 ケーキを楽しみながらゆっくり食べ、コーヒーなどを飲むのは、腹八分を守るのに良い方法となります。とにかく、食前の甘いものは禁物です。

解説:惠木 弘(恵心堂漢方研究所所長)

漢方薬専門 東医堂 杉山薬局
〒355-0047 埼玉県東松山市高坂1088
相談電話 0493(35)0890 
定休日 日・月曜、祭日
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三、夏の食物

暑い間は野菜が少なくなり、ナス・キュウリ・トマトと言ったものが多くなります。
漢方的には陰性の強い物で、殊にお盆を過ぎて秋口に入ってから紫色の増したナスは美味しさも格別ですが、「秋茄子は嫁に食わすな」というくらいで、冷え性や流産の原因になります。

○ソーメン・冷やむぎ
 暑いときには食欲が無くなりがちですので、あっさりして水気の多いソーメン・冷やむぎなどが好まれますが、これが案外不良消化なのです。胃下垂・胃アトニ-などの方は気をつけてください。

○飲みもの
 夏はなんと言ってもビールや清涼飲料水が好まれます。まず暑いからと言って、ガブガブ水を飲むと、汗がたくさん出て体力を消耗するばかりか、胃腸を弱らせたり、心臓を弱めたりします。殊に、夏になったら太る人には禁物です。
 その上、市販の清涼飲料水には、砂糖がたっぷり入っていて健康上よくありません。飲むなら番茶(薄めの塩味)・麦茶・玄米茶・クコ茶などが良いでしょう。
 運動する人も十分気をつけましょう。運動の試合前などは熱い渋茶を少し飲むのが良いとされています。昔の人力車の車夫さん達は炎天下を汗を出して走りますが、塩茶の熱いのを少しずつなめるように飲んでいたそうです。冷たいものをガブガブやっては、暑い中を走ったり出来ないことを体験上知っていたのでしょう。

○果物
 南の暑い国では、年中果物が屋台に満載されて、夜でも売っています。常夏の国では、果物は必須の食物ですが、日本ではそれほど沢山の果物は出来ません。日頃冷え症ぎみの方は、果物は食べ過ぎないように注意しましょう。


四、砂糖を甘く見るな

 夏は暑くて疲れやすく、とかく甘い物が欲しくなりますが、漢方でいう甘味は白砂糖ではなく、黒砂糖や蜂蜜を指しています。
 サッカリンやズルチンなどの人工甘味料が砂糖に変わってから、日本人の砂糖の消費量は増大しています。
 精製度合いの強い白砂糖は肥満のもとになるばかりか消化吸収にビタミン、カルシウムを必要とするため、ビタミン、カルシウム不足のもとになるとして、食養生では敬遠されています。
 カルシウムの不足は、骨粗しょう症で子供たちの骨折が多くなったり、神経のイライラや精神不安が起こってきたりします。
 杉靖三郎先生は、「白砂糖にはビタミン類が含まれていないために、体内で不完全燃焼して、体内の細胞の活力を衰えさせる。その結果、健康を害し、成長を悪くし、老化を早める。」と言っています。白砂糖の消費の増大は、生活習慣病が子供にまで広がってきている原因のひとつと指摘されています。
 戦後、良識ある少数の医学者は、砂糖の害を実際に証明して警告しました。兎に白砂糖を与えると、聴覚障害で、脳水腫の兎が生まれてきます。数年も経つと、その兎の子孫は殆ど脳水腫と耳の聞こえない兎ばかりになるそうです。生まれつき聴覚障害のある人の母親を調べてみると、皆、砂糖の過食者であったという報告もあります。
 砂糖は食べ過ぎると虫歯になることは良く知られていますが、リウマチ・心筋梗塞も砂糖の摂取量と平行して多くなるという調査が出ています。
 砂糖は体内でブドウ糖と果糖に分解され、この果糖が中性脂肪を体内で増やす原因となっています。心筋梗塞が死亡原因の上位を占めている現状も砂糖の摂取と大いに関係があります。

 図で示すように一日五十グラム以内の砂糖であれば、血液中の中性脂肪はほぼ正常内にあります。
 五十グラムの砂糖は、大体茶さじ八杯ぐらいです。アイスクリームが茶さじ五~六杯、板チョコ七杯半、パイ(普通の分量)十一杯ですから、これ位の間食で許容量ぎりぎりです。
むろん、パイやアイスクリームを毎日食べるわけではないでしょうが、これらのお菓子が氾濫している時代、食べ過ぎないように注意しましょう。
 とはいえ、白砂糖の働きを見てみると、胃腸に働きかけて痛みを緩和させる作用があります。中医学では、精製していない砂糖はアカザトウ(紅糖)といって、治療に用いています。
これは、日本で黒砂糖と呼ばれているものです。

解説:惠木 弘(恵心堂漢方研究所所長)

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〒355-0047 埼玉県東松山市高坂1088
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