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 前回は、老化とは細胞の劣化によって起こり、その原因の一つは、動脈硬化により血流が悪くなることであるというお話をしました。今回はこの話の詳細と瓊玉膏の効果について、お話したいと思います。

 まず動脈硬化についてですが、これは、血管の内側が傷つくことによって起こります。そして、活性酸素の酸化作用をうけたLDLコレステロールが、血管の内側に蓄積することによって形成されるといわれています。
 動脈硬化が起こると、血管が硬くなるだけでなく、血管の内側が盛り上がり、血液の通り道が狭くなって、血流が滞ります。
 以上が動脈硬化の概要ですが、瓊玉膏には、血流を良くする作用抗酸化作用があるのです。詳しく見ていきましょう。

 瓊玉膏には、『瓊玉膏とは③』でご紹介したように、地黄という生薬が含まれています。この地黄には、赤血球の変形能を亢進させる作用があることがわかっています。この作用により、直径のとても小さい末端の毛細血管まで赤血球を送ることができるようになり、体の隅々まで血液を送ることが可能となるのです。また、弱いながらも強心作用が認められており、この作用によっても血流が良くなると考えられます。

 抗酸化作用に関しては、ラットを用いた実験ではありますが、活性酸素を除去する作用があることが明らかになっています。
 つまり瓊玉膏は、動脈硬化によって滞った血流を良くするだけでなく、動脈硬化の原因の一つである活性酸素を除去する効果もあるということになります。
 まとめると、瓊玉膏は、動脈硬化を予防し、血流を良くすることにより、細胞の劣化を防ぎ、アンチエイジングの効果を発揮するのです。

 しかし、血流が良くても、血液中の栄養素が不足していては、細胞に十分に栄養素を送ることができず、細胞の劣化を防ぐことはできません。
 次回からは、血液中の栄養素を多くする方法と、それに対する瓊玉膏の働きについて、ご紹介したいと思います。

 

 今回は老化について考えたいと思います。そもそも老化とはなぜ起こるのでしょうか。

 老化とは、加齢による細胞の劣化によって起こります。例えば、物忘れは脳の細胞の劣化が原因で起こりますし、聴力低下は耳の奥にある有毛細胞の劣化によって起こります。また白髪は、色素細胞の劣化によって、髪を黒くするメラニン色素がつくられなかったために起こるといわれています。
 これらをはじめとするあらゆる細胞の劣化は、主に以下の二つの原因により起こると考えられています。

 一つ目は、血管の動脈硬化により血流が悪くなることです。細胞に血液が十分に運ばれないために細胞の機能が低下し、その結果細胞の劣化を招きます。
 二つ目は、血液中の栄養素が不足することです。細胞に栄養素の不足した血液が運ばれるため、細胞が栄養不足に陥り、細胞の劣化を招くのです。

 つまりアンチエイジングは、いかに細胞を劣化させないかが重要になります。
 瓊玉膏は、これら二つを原因とする細胞の劣化を改善する効果があります。次回からはそのことについて、じっくり解説していきます。

 

 さて今回から、瓊玉膏とアンチエイジングについてお話したいと思います。

 瓊玉膏の効能は、漢方では、『填精補髄』という言葉で説明されます。『填精補髄』とは、『精』を充填することによって、『髄』を補うことです。簡単に言うと、瓊玉膏は『精』を満たしてくれる薬ということです。

 この『填精補髄』の効能は、熟地黄の働きによるものです。『瓊玉膏とは③』でご紹介したように、瓊玉膏は長時間蒸すことによって、生地黄に熟地黄の効能を付加させます。生地黄に『填精補髄』の効能はありません。長時間蒸すという瓊玉膏の特殊な製造法が、『填精補髄』という瓊玉膏の特長的な効能を作り出しているのです。

 では『精』とはなんでしょうか。『精』とは、人体すべての物質の基本になるもののことです。『精』には、成長・発育の促進作用や、体の抵抗力を高めてくれる働きがあります。漢方では、老化は『精』の不足によって起こると考えます。瓊玉膏はこの『精』を満たしてくれる効能があるので、『精』の不足が起こらず、老化防止に働くのです。

 以上が漢方的にみた、瓊玉膏のアンチエイジングのメカニズムになります。では、そもそも老化とはなぜ起こるのでしょうか。次回は老化について考えてみたいと思います。

 

 今回は瓊玉膏の成分と製造法についてご紹介します。

 まず成分ですが、瓊玉膏には、以下の成分が含まれています。
生地黄の搾汁、人参末、茯苓末、枸杞子末、沈香末、ハチミツ

 一番多く含まれているのがハチミツで、二番目に多いのが生地黄の搾汁になります。瓊玉膏の効能は、この二つの生薬の働きによるところが大きいのですが、それは今後、お話ししていきたいと思います。

 製造法ですが、普通の薬と違い、特殊な作り方をしています。『瓊玉膏とは②』でご紹介した、瓊玉膏がはじめて記載された本である『洪氏集験方』での製造法に準じた方法で、今でも製造されています。

 ざっと紹介すると、まず新鮮な生地黄を搾汁機にて搾汁します。次に生地黄の搾汁と人参末、茯苓末、枸杞子末、沈香末、ハチミツを処方の通りに混合し、撹拌しながら、80℃で72時間蒸します。その後一晩放冷し、再び24時間蒸します。

 このように製造に手間のかかる瓊玉膏ですが、重要な点は、蒸している間に生地黄が熟成され、熟地黄の効能が備わることです。この熟地黄が、瓊玉膏の効能を理解する上での重要な鍵となります。

 次回からはついに、瓊玉膏の効能についてお話していきたいと思います。

 

 今回は、瓊玉膏の歴史についてご紹介したいと思います。

 瓊玉膏は、中国の宋の時代である1170年に書かれた、『洪氏集験方』という本に初めて記載された薬です。そのなかで瓊玉膏は、老化を防ぎ若返ることや、白髪が黒くなるなど、アンチエイジングの効果があることが述べられています。

 のちに瓊玉膏は、中国の明の時代に、『本草綱目』や『寿世保元』などの薬学書・医学書に記載され、効果を絶賛される薬となります。また、朝鮮の李朝時代に記された『東医宝鑑』では、“養生と長寿に効果のある薬”としてとても重要な処方であるとされ、その書物の一番初めに記載されました。中国の歴代の皇帝にも愛飲され、中国の清の時代には、清朝の第三代・雍正帝が瓊玉膏を服用したという記録が残っています。

 瓊玉膏は、日本でも江戸時代に徳川将軍家が珍重したといわれており、十一代将軍家斉が、重病で床に臥せた長谷川平蔵に瓊玉膏を与えたという記録が残っています。(なお、長谷川平蔵とは、小説や時代劇で有名な『鬼平犯科帳』の主人公のモデルとなった人物。)

 今回は瓊玉膏の歴史を紹介しました。由緒ある薬であることが理解していただけたのではないでしょうか。次回は瓊玉膏の成分と製造法について、お話したいと思います。

 


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