慢性炎症が怖い その1
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慢性炎症が怖い その1
生体エネルギーの増幅システムを科学する
健康増進医学研究所®©

どの病気にも慢性炎症がある
認知症、うつ、脳梗塞、がん、老化、慢性疲労、肥満、糖尿病、脂肪肝、肝硬変、動脈硬化、喘息、皮膚炎、歯周病、心筋梗塞、大腸炎…これらは全く違う病気だと思われていましたが、どの病気にも慢性炎症という共通点があることが分かってきました。

急性炎症と慢性炎症
ケガや感染の際、赤くなり、腫れて、熱や、痛みが生じます。こうした急性炎症は原因が解消されると収まります。ところが慢性炎症は無症状のため気付かれず、長期にわたり組織の破壊と再生が繰り返されます。

細胞破壊と炎症関連物質
慢性炎症では細胞の破壊に伴い活性酸素が生じ、酸化物が生じ、変性物が蓄積していきます。それが更に炎症の元となり、集まって来た白血球から分泌される炎症関連物質は炎症を増悪させ、他のホルモンの働きを妨げ、弱い炎症が延々と続くことになります。

がんの発生、増殖、転移
慢性炎症によって破壊された細胞が再生されるとき遺伝子(DNA)が傷つくと、がん細胞が生じます。
それだけでなく慢性炎症は細胞の変性を促進してがんの発生を助け、増殖や転移も促進します。

肥満で炎症が起きている
信じられないでしょうが、肥満によって炎症物質が分泌されます。食べ過ぎてカロリー過剰になっても同じことが起きます。内臓脂肪が増えて血糖、血圧、血中脂質が異常値を示すメタボリックシンドロームは典型的な慢性炎症の状態です。確実に寿命を縮めます。

炎症の指標 CRP値
血液検査にはCRP(シーアールピー)という項目があります。CRP値は体内で炎症が起きた時に作られるたんぱく質で炎症の程度を知ることができます。

基準値 0.30mg/dl以下
要注意 0.31~0.99mg/dl
異 常 1.00mg/dl以上
数値が高くなるほど炎症の程度がひどくなります。

慢性炎症ではCRP値は0.3以下に収まっており、一見安心に思われます。しかし精度を高めた好感度CRP値を測定すると0.1を超える数値が見られます。
炎症が全くない場合にはCRP値は0.0になるので、極微の炎症があることを示しています。
アメリカでは0.2を超えると動脈硬化を疑います。

慢性炎症は血糖値を上げる
慢性炎症があるとインスリンの作用が低下して血糖値が上がり糖尿病になりやすくなります。
歯周病があると糖尿病が悪化しやすいことが知られています。歯周病菌によって歯根部で生じる炎症関連物質がインスリンの働きを阻害するためです。

老人には慢性炎症が生じやすい
老化とともに増える、劣化した細胞や蓄積した老廃物は貪食、破壊して排除される対象となります。
この時、白血球がたくさん動員されると、炎症がひどくなりCRP値が上昇します。
長寿の人ほどCRP値が低いことが分かっています。

認知症と慢性炎症
アルツハイマー型認知症では脳細胞が減少し、脳が萎縮します。脳にアミロルドβというタンパク質が蓄積するために発症すると考えられていました。
しかし、近年の報告では、アミロイドβが直接の原因ではなく、アミロイドβによって生じる慢性炎症が原因である可能性が出てきました。
体内で生じる異物によって慢性炎症が発生する可能性が高いのです。