老化と慢性炎症
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老化と慢性炎症


好中球・マクロファージ・リンパ球などの免疫系により、ウイルスや細菌が攻撃されると、その際に分泌される活性酸素一酸化窒素によって周辺の細胞が破壊され①赤くなる ②熱を持つ ③痛む ④腫れる、といった症状を伴う炎症が発生します。
しかしこうした症状が出ないままおだやかに細胞の破壊が続く炎症もあります。
そうした炎症は慢性炎症と呼ばれます。炎症の程度に合わせて血液中のCRP(シーアールピ—)値が上昇しますが、慢性炎症ではこの変化はごくわずかです。

好中球・マクロファージ・リンパ球などの免疫系細菌、ウイルスの他に古くなった細胞、変異した細胞、死滅した細胞、肥満した脂肪細胞、酸化したコレステロール、結晶化した尿酸、各種の老廃物や変性物、農薬や薬などの化学物質などの体内に存在する異物の除去に働きます。

免疫系が肥満した脂肪細胞を攻撃すると聞くと驚くかもしれませんが、脂肪肝によって炎症が起きることを考えると納得できます。
初期の脂肪肝では自覚症状はほとんどありませんが、弱いながらも炎症が持続するため、やがて肝硬変や肝臓がんに移行します。
脂肪細胞はTNFaなどの炎症性サイトカインを分泌して免疫細胞を呼び寄せます。 慢性炎症が起きるとインスリンの働きが阻害され、血糖値が上がりやすくなります。
メタボリックシンドロームヘの警告慢性炎症への警告ともいえます。

老化に伴い慢性炎症がんをはじめ多くの生活習慣病が発生しやすくなります。
こうした背景には細胞の老化があります。
老化した細胞からは炎症性サイトカイン、ケモカイン、増殖因子、タンパク分解酵素など様々な因子が分泌されSASPと呼ばれる現象を起こすことが知られています。

※SASPとは「老化に伴う分泌発現」といった意味の英語の略称です。

SASPと呼ばれる現象は生体内において、がん抑制、損傷治癒の促進などの有益な働きを持つ一方で、過剰な活動などにより慢性炎症やがんをはじめ、様々な加齢性疾患を発症させる可能性が出てきます。高齢者では酸化糖化を抑制するとともに、慢性炎症を抑えることが大切になります。

炎症の抑制には抗酸化物質が役立ちます。肝臓を強化して抗酸化物質の生産に努めるとともに、抗酸化作用のある成分やそれを含んだ食品を摂取することが大切です。抗酸化作用を持つ人参サポニンを含み、肝臓と自律神経に働く金不換王慢性炎症の抑制にお役立てください。


壮健生薬研究会