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時の政府が西洋医学の医術開業試験を制定したため、漢方を学んでも医師になることができなくなったのです。
 そんな中、漢方を残すために動いた中心人物の一人が浅田宗伯です。宗伯は幕末から明治の最高の漢方医といわれ、大正天皇の命を救ったことも宗伯の偉業の一つです。

 明治12年、明宮嘉仁親王(後の大正天皇)は生誕直後に難病を患い、生命の危機に陥りました。当時の西洋医学の最高峰の医師でもなすすべがありませんでした。そこで呼ばれた宗伯は、現代では使われないほどの劇薬「巴豆(はず)」を使用し、治療の際の下着は白無垢(むく)、懐には短刀を納めていました。「明治政府に漢方の力を見せれば、政府は漢方を認めてくれる」と宗伯は治療にあたったのです。「もし成功しなければ自決する覚悟だった」と記録が残っています。

 大正天皇は無事に一命を取り留めましたが、宗伯の思いも空しく漢方は衰退の一途をたどりました。
 その後、ごくわずかな人々の間で継承されてきた漢方ですが、昭和になってエキス製剤の製造が始まり、現在も広がりを見せています。

 しかし、先人が命懸けで守ろうとした伝統的な漢方薬の使い方をされていることが少ないのが現状です。
漢方薬の効果を十分に引き出す使い方を知るには、漢方が全盛期であった時代の医学書から学ぶことが大切なのです。

漢方は明治時代に一度廃れてしまったことをご存じでしょうか。

時の政府が西洋医学の医術開業試験を制定したため、漢方を学んでも医師になることができなくなったのです。
 そんな中、漢方を残すために動いた中心人物の一人が浅田宗伯です。宗伯は幕末から明治の最高の漢方医といわれ、大正天皇の命を救ったことも宗伯の偉業の一つです。

 明治12年、明宮嘉仁親王(後の大正天皇)は生誕直後に難病を患い、生命の危機に陥りました。当時の西洋医学の最高峰の医師でもなすすべがありませんでした。そこで呼ばれた宗伯は、現代では使われないほどの劇薬「巴豆(はず)」を使用し、治療の際の下着は白無垢(むく)、懐には短刀を納めていました。「明治政府に漢方の力を見せれば、政府は漢方を認めてくれる」と宗伯は治療にあたったのです。「もし成功しなければ自決する覚悟だった」と記録が残っています。

 大正天皇は無事に一命を取り留めましたが、宗伯の思いも空しく漢方は衰退の一途をたどりました。
 その後、ごくわずかな人々の間で継承されてきた漢方ですが、昭和になってエキス製剤の製造が始まり、現在も広がりを見せています。

 しかし、先人が命懸けで守ろうとした伝統的な漢方薬の使い方をされていることが少ないのが現状です。
漢方薬の効果を十分に引き出す使い方を知るには、漢方が全盛期であった時代の医学書から学ぶことが大切なのです。

 便秘で下剤を使っている人は少なくないでしょう。漢方薬にも潤腸湯(じゅんちょうとう)や麻子仁丸料(ましにんがんりょう)など便秘に使用されるものが幾つもあり、それらの漢方薬の中には、大黄(だいおう)という瀉下(しゃげ)作用を持つ生薬(しょうやく)が含まれるものがあります。

 大黄はタデ科の多年草、ダイオウ類の根茎を使用し、大腸壁を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発にすることで排便を促します。効果の強さから〝将軍〟の別名を持ち、中国最古の薬草書「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」やインド、欧州の古書にも記載され、下剤として古くから使われていたようです。

 多くの場合、大黄は数種類の生薬と配合されます。潤腸湯は9種類、麻子仁丸料は5種類の生薬が大黄以外に配合され、大黄単独での使用に比べて穏やかな効き方をします。下剤は癖になりやすいので、繰り返し使用するにはこの穏やかな効き方が喜ばれます。

 一時の便秘なら漢方薬を含めた一般的な下剤で対処できるでしょう。しかし、慢性化した場合、一時しのぎの下剤ではなく、怠け者の腸を元気にしていく漢方薬が重宝されますが、働き者の腸に戻り、下剤が不要になるまでにはどうしても時間がかかってしまいます。

 「下剤の成分が含まれているので癖になるから」とかたくなに拒む人がいます。下剤が必需品になっている人は、一度専門家に相談してはいかがでしょうか。

今回は散剤と丸剤の飲み方です。

 散剤とは粉薬のこと。当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や五苓散(ごれいさん)など、「散」が付いていたら散剤です。

 丸剤とは、はちみつなどを使って薬を球状に丸めたもののことです。六味丸や八味丸など「丸」が付いているものは丸剤です。

 現代では、水や白湯で飲んでいる散剤や丸剤ですが、古典をひもとくと、昔は、実にいろいろな飲み方があったことが分かります。

 水のほかに、酒、酢、塩水、お茶のほか、重湯で飲むと書かれていたり、それらの温度が指示されていたりします。
 例えば、散剤の安中散(あんちゅうさん)は、男性は熱い酒で飲み、女性なら温かい薄い酢で飲むようにと書かれており、当帰芍薬散は酒に混ぜて飲むと記載されています。

 また、丸剤の牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)は、空腹時に重湯で飲み、響声破笛丸(きょうせいはてきがん)は、比較的大きく作った丸剤をかみ砕きながら飲みました。

 昔と今では環境が異なり、酒や酢などの性質も変わりました。しかし、今でも漢方薬の飲み方に注意すると効果が出やすくなることがあります。

 古典を振り返り、検証することも大切ではないでしょうか。

毎年、梅雨ごろからアトピー性皮膚炎を発症し、本格的な夏場は症状がピークに。特に、かゆみで悩んでいます。
(30歳・女性)


A  最近は、アトピー性皮膚炎や慢性じんましんなど、治りにくい皮膚病がますます増えているようです。ひと昔前なら、塗り薬を塗っておけば良くなったような症状でも、手こずることが増えてきました。また、夏場は皮膚炎の状態が悪くなる人が多くなります。

 一時的な症状であれば西洋医学の薬で抑えればよいでしょう。しかし、西洋医学の治療を行ってもどうにも治らなくて、漢方を求めてくる人も少なくありません。

 漢方薬を使う場合、一時抑えの作用は、西洋医学の薬ほど強くはないことを念頭に置いておく必要があります。場合によっては、ステロイド剤などの薬を併用し、症状の改善を見ながら、徐々に漢方薬だけに切り替えていくのもいいかもしれません。

 漢方には、慢性の皮膚の病気や症状に有効な薬が多数あります。私が編集した「黙堂柴田良治処方集」には、皮膚病に使用される96種類もの漢方処方が収載されています。漢方薬の選び方は難しく、効果を出すためには、症状と体質に適した漢方薬でなければなりません。
 夏は、皮膚炎が悪化する人が多いことを考慮し、今回は、夏に悪化するタイプの皮膚炎によく使われる「消風散」(しょうふうさん)を紹介します。

 「風」を「消す」と書く消風散は、体の表側から侵す病因を表す「風」を、散らして消すという意味が込められています。分泌物が多く、かゆみの強い皮膚炎に使われることが多く、患部にはかさぶたができて、地肌は赤みがあり、かゆくて夜も眠れないほどかきむしるというケースにも適する薬。頑固な湿疹(しっしん)にも使用され、応用範囲の多い薬です。
 消風散のエピソードを一つ紹介しましょう。

 関東から、30代の男性がはるばる薬彩たはらにやって来られたときのことです。「アトピーに悩んでいて、数カ月間、消風散の煎じ薬を飲み続けているが、効果が全く感じられません」とのこと。

 彼が飲んでいる消風散を見せてもらったところ、明らかに品質がよくありませんでした。そこで、品質の良い生薬を組み合わせた消風散に替えて飲んでもらうと、まもなく「効果が現れるのを実感した」と連絡が入りました。生薬の品質の良し悪しが効果に大きな違いをもたらすことの一例です。

 皮膚病は、治りにくい病気だけに根気が必要です。しかし、頑固な皮膚病には、時間はかかっても体質改善をすることで根本的に良くなっていきます。漢方を試す価値はあるでしょう。


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