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Q いつも漢方コラムを愛読しています。漢方の古典の話がよく出てきますが、何百年も前の古典に出ている漢方薬の記述が現代でも本当に通用するのでしょうか。
(40代、女性))


A 現代の医薬品は日進月歩です。化学的に純粋な薬が研究・開発され、科学的な根拠(エビデンス)に基づいた効能・効果によって使われ、効果を上げています。

 漢方薬はどうでしょうか。漢方薬は一部の例外を除いて、複数の生薬(しょうやく、薬草)を組み合わせたものです。

 一つの生薬だけにも多くの成分が含まれており、その効果を科学的に解明することは難しいものです。

 この生薬には○○成分が含まれており、△△の作用があるなどと言うことがありますが、○○の成分だけの効果と生薬全体の効果は異なります。まして、複数の生薬の組み合わせである漢方薬には、非常に多くの成分が含まれており、各成分が複雑に影響し合って作用します。その効果は現在の科学でもまだまだ解明できないのです。

 漢方は経験によって発達しました。日本の医学である漢方には500年以上の歴史がありますが、元々の中国医学の時代を含めれば3000年もの長い歴史を経て、効果のある漢方薬とその使い方が工夫され、伝わってきました。

 科学で解明できない漢方薬を利用するには、漢方の伝統に基づいた方法に倣うのが一番です。

 ところが、古来から明治時代の初めまでは臨床の知識と経験が継承されてきた漢方が、明治政府の政策によって一度は途絶えてしまいました。

 極めてわずかな人々によって何とか受け継がれた漢方という医学と、漢方で使われる漢方薬ですが、曲折を経て、現在は大量に漢方薬が消費されるようになりました。

 しかし、失われた伝統を取り戻すことは難しく、漢方薬の普及が必ずしも漢方医学の普及にはつながりませんでした。

 漢方薬が西洋医学の考え方によって使われることが多く、また、中国を漢方の本場と勘違いし、現代の中国医学を漢方と思っている人も少なくありません。そして、日本の伝統的な漢方の考え方によって漢方薬が使われることが稀(まれ)になってしまっているのです。これでは漢方本来の効果を期待することは難しいかもしれません。

 漢方が栄えていた時代にさかのぼって、失われた伝統を取り戻すことが、効果を高めることにつながるのです。日本古来の漢方を継承する「薬局 薬彩たはら」では、漢方の伝統を取り戻すため、古典の修得に取り組んでいます。

 優れた先人の経験に基づいて著された古典は貴重な知識の宝庫であり、今でも新たな発見に事欠きません。漢方の効果を引き出す知識が詰まっている古典の記述こそが漢方の効果の要になることが多いのです。


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