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 桂枝湯(けいしとう)という風邪などに利用される漢方薬をご存じでしょうか。今回は桂枝湯から広がる処方を少し紹介します。

 桂枝湯は中国・後漢時代の医者、張仲景によって著された医学書「傷寒論(しょうかんろん)」(全16巻)に記載されています。桂枝・芍薬(しゃくやく)・甘草(かんぞう)・生姜(しょうきょう)・大棗(たいそう)の5種類の生薬(しょうやく)が配合されます。こに生薬を追加していくことで、処方名や利用目的が変わっていきます。

 芍薬の量を増やすと「桂枝加芍薬湯」という処方になり、下痢やしぶり腹など腸の不調に利用されます。さらに大黄を加えると、腸の不調で便秘がある場合に利用する「桂枝加芍薬大黄湯」になります。

 桂枝加芍薬湯に膠飴(こうい)という生薬を加えると「小建中湯(しょうけんちゅうとう)」になり、虚弱体質の人を補います。自然と汗をかいたり、息切れがするような、より虚弱な人には、さらに黄耆(おうぎ)という生薬を加えた「黄耆建中湯」が適します。

 小建中湯の膠飴を去り当帰(とうき)という生薬を加えると「当帰建中湯」になり、婦人病からくる下腹部痛、神経痛、腰痛などに利用されます。

 一つの処方に少しの生薬を加減するだけで、効果が大きく変化するのです。漢方薬の効き目の不思議さが少し想像しやすくなるのではないでしょうか。

「屋根より高い鯉のぼり~」の歌でおなじみの、鯉のぼり。男の子の健やかな成長を祝う端午の節句には欠かせない飾りです。

もともと、鯉のぼりは、武家社会の風習を起源とします。室町時代から、武家社会では男児の出生を祝って端午の節句に家紋を入れた旗や幟(のぼり)を飾る習慣がありました。

江戸時代になると、この風習が庶民の間にも広がりました。当時、大きな経済力をもちながらも社会的な身分が低かった商人が武士に対抗し、「鯉が滝を登って竜になる」という立身出世を意味する中国の故事にあやかって、幟に鯉を描いたのです。これが、鯉のぼりの由来だといわれています。

現在でも、端午の節句に鯉のぼりを飾るのには、「生まれた男の子が立派に成長してくれるように」という意味があります。

漢方薬の剤型は大きく分けて、錠剤・顆粒・煎じ薬の3種類です。その中でも、漢方薬本来の形である煎じ薬は、漢方薬の良さを一番引き出すことのできる剤型です。しかし、煎じ薬であれば必ずしも効果が出るというわけではありません。

 一口に煎じ薬と言っても、自然のものを原料とする以上、使う原料の品質によって良し悪しが決まります。ですが、一般の人では生薬(しょうやく)の品質を見分けることが難しいでしょう。

 今回は簡単な目安を2点紹介します。

 まず、生薬の色だけではなく、見た目がきれいかどうかに注目してみましょう。良い生薬を見たときは多くの人が「きれいだ」という印象を持つことが多いようです。

 また、一般的に品質の良い生薬は、細かく加工されることはあっても、粉々に加工されることはありません。

 皮膚の悩みを持つ県外在住の方がやって来たときのこと。「消風散(しょうふうさん)の煎じ薬を飲んでいるが、あまり効果がない」と言います。お話を伺うと、消風散はその方に適しています。不思議に思い、その方の飲んでいる煎じ薬を生薬のまま見せていただくと、あまり品質が良くありませんでした。そこで、品質の良い生薬の消風散に切り替えたところ、効き目が現れました。

 その人に適した薬選びができていても、品質の良い生薬を使用していない漢方薬では、その良さを十分に引き出せないことがあります。剤型だけでなく、原料の品質も大切なのです。

 花粉症のつらい季節がやってきました。現在、日本では4人に1人が花粉症だといわれています。特に、2月から4月にかけて飛散するスギ花粉で悩んでいる方は多いことでしょう。

 花粉症の代表的な症状と言えば、くしゃみ、鼻水、鼻づまりです。その中でも、さらさらした鼻水が垂れてくるのは困ったものです。私も昨年の今の時季に、下を向けば鼻水が垂れてきて往生しました。

 さらさらした鼻水が垂れ、くしゃみが出て困るような時によく用いられる漢方薬に、小青龍湯(しょうせいりゅうとう)があります。

 この薬は、体の中から温め、鼻水やくしゃみなどの体内の余分な水分を排出してくれる生薬(しょうやく)から構成されています。

 もし、錠剤や粉薬の小青龍湯を試して効果がなければ、漢方薬本来の形である煎じ薬で試してみるのもよいでしょう。私自身、花粉症で困っている時に、手軽な粉薬で症状が治まらなかったので、粉薬と同じ漢方薬を煎じ薬をつくって飲んだところ約10分後には症状が治まった経験があります。改めて薬の剤型によって効果が異なることを実感したものです。

 小青龍湯のほかにも、花粉症の症状に用いる漢方薬は多くありますが、漢方は飲む人の症状や体質によって薬を選ぶ必要があります。

 専門家に相談しながら上手に漢方薬を利用しましょう。

 複雑な現代社会では、さまざまなストレスのためか疲労を訴える人が増えています。

 しかし、身体的な検査の異常を重視してきた西洋医学では、疲労には積極的に対応されていないのが現状です。一方、漢方ではすべての体調不良の改善を目的としてきた歴史があります。

 疲れやすい人や過労のために体調が良くない状態を、漢方では虚証の人とか虚の状態であるとして、身体を補う工夫を重ねてきました。

 気力も体力も衰えてしまった時に用いることが多い十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)は、貧血傾向で食欲がなく、乾燥肌の傾向がある人に適することが多い薬です。

 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)は気を益する補剤です。胃を整え、身体の弱い人の疲れを癒やし、体力増強剤として虚弱体質の改善によく使われます。

 小建中湯(しょうけんちゅうとう)は普段から身体が虚弱で疲労しやすい人に適することが多い薬です。全身の疲労倦怠(けんたい)感、腹痛、動悸(どうき)、寝汗、手足のほてりなどの症状を目標に用いられます。子どもの虚弱体質の改善などにも用いられ、応用範囲の広い漢方薬です。

 ほかにも、疲労に用いられる漢方薬は多くありますが、疲労は慢性になる前に十分な休養を取ることが何より大切です。

 それでも休めないときや、慢性的な疲労が続いているときなどは、漢方で上手に補えば楽になるでしょう。


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