【質 問】
暑い日に庭仕事をしました。汗をびっしょりかき、そのうち汗が出なくなり頭がもうろうとしてきました。軽い吐き気を感じたため家に入りました。体が熱かったので、冷たい水をガブ飲みし、食事もしないで身体を冷やしていました。4時間くらいで楽になりましたが、次の日から食欲がわきません。漢方をつくってください。
【答 え】
熱射病は炎天下を長く歩いたり、高温の室内で過重な仕事をした後などにおこります。初めは大量の汗をかき、やがて汗が出なくなります。行動がひどく不確実になり、夢うつつの状態が続き、それが極端になると倒れてしまう。この62歳の女性は、熱射病の一歩手前で作業をやめたのでこれですみましたが、続けていたら生命に危険が及んだかもしれない。熱中症で亡くなる人は年間約200人に達し、寸前の人は数えきれないであろう。
この人はまだ微熱があり、手足が重だるく、疲れやすいという。熱を冷まし、脾の運化を健やかにする「清暑益気湯・せいしょえっきとう」を処方しました。もしこれが急性期なら清熱剤「六一散・ろくいちさん」などを多用し、全身に霧吹き状に水をかけうちわであおぎます。また首や脇の下、そけい部を氷で冷やします。予防には、のどがかわく前に、スイカを食べたりしてこまめに水分補給を行うことも大切です。
【質 問】
この夏の暑さで7月に入るなり、食欲不振とだるさに襲われました。冷房を高めに設定しているためか寝汗をかき、便が軟らかく、気分までふさぎこんでしまいます。病院の検査には異常がなく、夏バテでしょうと胃腸薬をもらいました。効き目がないので漢方薬を処方してください。私が横になっていると、姑の機嫌も悪く怠け者扱いされます。 【答 え】 今年は記録的な猛暑となり、今になって夏バテの相談が多い。昼間のうだるような暑さに加え寝苦しい夜が続き、食事はそうめんなどが多くなり、たんぱく質の不足を起こして体力低下を招く。体がほてり、汗をたくさんかいて、つい冷たい飲み物をがぶがぶと流し込んでしまう。すると胃液が薄まり、消化吸収能力が低下する。また胃腸を冷やし、働きを悪くさせて食少になる。しかし、脱水症状を防ぐために水分を補給することは重要である。 この女性の場合は、手足の冷えがひどく、最初は冷房病から発症しているのでだるさが激しいのであろう。後に脾胃の運化が低下し、便が軟らかくなり食欲が落ちてしまった。腎の活力を回復し温める「至宝三鞭丸・しほうさんべんがん」と脾胃の働きを改善する「参苓白朮散・じんりょうびゃくじゅつさん」を服用していただいた。2週間後、1ヶ月半に及ぶ地獄の猛暑が解消できたとのこと。 |
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更新日: 2011/05/18 |
【質 問】
4月の終わり頃に突然、吐気をともなう回転性のめまいにおそわれました。病院に行き、めまいの薬を服用していますが、2週間後の現在も枕に頭をつけるとまわるような気がします。歩くと左右にゆっくりと動揺感があり、まっす ぐに歩けません。食欲もなく、義務感で少量を無理矢理食べています。血圧は正常で脳出血の危険はないと言われました。何か良い漢方薬はないでしょうか。 【答 え】 55歳になるこの女性は、めまいの起きる前に風邪を引いたという。風邪は一週間で良くなり、その後1週間後にめまいを発症したという。 一般的には、内耳にある平衡感覚を司る三半規管の浮腫か、またはそれを小脳に伝える神経の障害、たとえばウィルスによるものといわれている。めまいが徐々に始まるり、だんだん進むものには腫瘍等の可能性もありますので、検査を受けましょう。 さてこの女性は、風邪がらみと判断しウィルスに対する抵抗力を増すために「真武湯しんぶとう」、さらに水分代 謝を改善しむくみを消失する「茯苓ぶくりゅう」と「白朮びゃくじゅつ」を増量し服用しました。5日後にはめまいが消えましたが、食欲が今ひとつであるとのことで脾胃する健やかにする「補中益気湯ほちゅうえっきとう」を5日分服用し、元気になりました。この外にもめまいには種類があり、慢性的なものの改善には長時間かかかります。 |
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更新日: 2011/05/17 |
【質 問】
55歳、男性から質問があったのは3月末のことである。「3日前の朝、歯磨きをしているとき、突然腰に重だるさを感じ、痛み出してきました。その日は湿布をはり、会社を休んで様子を見ましたが、痛みは徐々に強くなっています。漢方で治るでしょうか」 【答 え】 腰痛になると、普通考えることは整形外科に行くか、接骨院へ行くか、針へ行くかであろう。実際に当店でもいろいろ試してから来店される人が多く、ほとんどは数カ月から一年くらいたっているため、病体が慢性化してしまっている。 この人のように、突然重だるさを伴う痛みが発症する腰痛は、自然界の湿気と冷えが関与している病症で「寒湿の邪」と呼んでいる。 湿邪が関与しているものは患部に停滞しやすく、ハリへ行ってもなかなか消えない。身体に必要のないものが経絡に入り込んだものは、マッサージをすると悪化する。腰椎のレントゲンを撮って安心感を得ることは大切だが、鎮痛剤は効いてくれない。湿布をするとそこに汗をかき、さらに湿気を呼んでしまうので楽にはなるが良くならない。 寒湿の邪を追い出す代表的な処方に「甘草乾姜茯苓白朮湯・かんぞうかんきょうぶくりょうびゃくじゅつとう」がある。別名「腎着湯・じんちゃくとう」とも呼ばれる。この人は翌日から出社した。 |
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更新日: 2011/05/16 |
【質 問】
私は毎日1万5千歩くらいの散歩を日課にしていた、80歳の男性です。75歳の時、だんだん膝が痛くなり、2年前から力が入らなくなりました。立つだけでも膝に痛みが走り、生き甲斐であった歩くことができません。一人暮らしなので炊事はヘルパーを頼んで何とかなります。最近は生きていることが虚しくてなりません。何とかならないでしょうか。 【答 え】 近所に住むおいっ子に両腕を抱えられ、来店したのは去年の8月でした。腰から下に力が入らない症状は腎虚と言う。 腎虚とは、40歳頃から始まる腎の活力不足のことで、早い人で50代前半から具体的な症状が発現する。この他に難聴・耳鳴り、トイレが近い・尿もれ、薄毛・脱毛、精力減退、気力・体力の低下などがあり、補いきれたらこの男性は、100歳の寿命をたまわることになるでしょう。 見ると膝の炎症はそれほどでもなく、大たい部の筋肉がやせ衰えていました。腎虚を補うために良質な鹿茸(ろくじょう)エキスと牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)、筋肉を養うために四物湯(しもつとう)を加え服用してもらった。3ヶ月後には1万歩歩けるようになったと連絡がありました。現在は、歩いた後少し痛みは残るが、前と変わらず歩くことができるとご満悦。腎虚がからむ症状は、普通1年くらい時間を要します。 |
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更新日: 2011/05/15 |