【質 問】
平成14年10月に出産し、腎臓ができていないため、残念ながら子供は名も付けられないまま息を引き取りました。その子の一周忌に、急に足の裏に汗をかき始め、同時に息苦しくなり、動悸(き)と不安感があらわれ夜も眠れなくなりました。病院に行くと過呼吸症候群といわれ、安定剤を飲み始めて半年がたちます。薬を早くやめて、近い将来には子供をつくりたいと思っています。
【答 え】
相談を受けたのは、2年前の3月で、この女性は当時32歳だった。病院の薬を直ちに中止し、過呼吸症の改善をまず考えた。
この過呼吸は、最初の子供を失ったショックと、子供ができてもまた失うのでないかという不安感が原因である。脾を健やかにし、心を養い、精神の安定をはかる「加味帰脾湯・かみきひとう」を服用し1ヵ月もすると、動悸が無くなり良く眠れるようになったという。3カ月後には息苦しさもほとんど改善した。その3カ月後に妊娠したが、すぐ流産してしまった。
だが、今度は精神的ショックはなく、半年間の禁欲を指示した。さらに脾を健やかにし気を補う「補中益気湯・ほちゅうえっきとう」を加え、流産防止の体づくりをした。去年の10月にめでたく再び妊娠し、現在7カ月を迎え「当帰散・とうきさん」を服用。胎児は元気で腎臓もできているという。
【質 問】
1年中、目に異物感があり、スギ花粉が吹き始めると目のかゆみが悪化し、目を取り出して洗いたくなる衝動にかられます。さらに、くしゃみ・鼻水・鼻づまりが加わり、息をするだけで精一杯で仕事どころではありません。今年は花粉が飛ぶ時期が遅く、量も少ないはずですが1週間前より目のかゆみがひどくなり始めています。 【答 え】 アレルギー体質の人は、スギ花粉が多かろうが、少なかろうが、反応は一人歩きし、くしゃみ・鼻水・鼻づまりが5月の連休まで続く人がほとんどである。この28歳の女性は、1年中目に炎症をかかえており、この時期はよほどつらいのではなかろうか。 彼女は疲れやすく、疲れると動悸(き)が始まり、息苦しくなってじわりと汗ばむという。身体が弱く、普段から軟便で貧血ぎみ、エビを食べるとじんましんを起こす。体が急に重だるくなり、足の力が抜けてくると顔色が真っ青になり、意識が遠のき倒れてしまう。電車の中で起きることが多いが、最近では銀行で倒れてしまった。 病院では貧血ではないと言われている。彼女には体質改善薬として、脾の気を補ない陰分補う「生脈散・しょうみゃくさん」を通年服用してもらい、この時期には、外感風邪を治す「桂麻各半湯・けいまかくはんとう」をのんでもらうことにした。 |
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更新日: 2011/06/09 |
【質 問】
去年の暮れに突然、膀胱(ぼうこう)部の重だるさと排尿痛、それに血尿があり、病院に行くと膀胱炎と言われました。抗生物質をもらって3日後、胃が気持ち悪くなり服用を中止、「猪苓湯・ちょれいとう」という漢方薬を頂きました。さらに3日後、服薬するものの排尿痛と血尿が再び現れました。翌日も症状が続いて怖くなりました。私は29歳の女性。普段から足は冷え、立ちっぱなしの仕事で最近は朝からむくむようになりました。 【答 え】 膀胱炎自体、繰り返すと自律神経に影響を与えることもある。また放っておくと菌が上行し、腎臟にさえ影響を及ぼす。 この女性は接客業で、繁忙時はトイレにも行けない。2回目の出血は 明らかにトイレをがまんした結果起きたそうである。「猪苓湯」は膀胱の炎症を冷やし、利水を促す薬である。今年は記録的な寒さのため、膀胱炎の相談も非常に多い。冷えと水分代謝の異常が原因となっていることが多く、初期に「猪苓湯」を服用するのは一考だが、体を温める薬を考慮しないとこのような事態に陥る。 彼女には、余分な水分を出し身体を温める「当帰芍薬散加附子・とうきしゃくやくさんかぶし」を差し上げたら、一週間快適だったという。まだまだ寒さは続くので、1日2回の服用にして続けるように指示をした。 |
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更新日: 2011/06/08 |
【質 問】
毎年しもやけで悩んでいる35歳の女性です。もともと冷え症・低血圧で新年を迎える頃から、赤く腫れ温まるとかゆくてしかたありません。今年はいつもより寒く、12月よりしもやけになってしまいました。例年では2月頃より赤紫になり痛みを覚えます。しかし今年はもう痛みだしました。 【答 え】 気象庁の発表によると、昨年12月の東日本と西日本の平均気温は観測史上、最低を記録したという。 しもやけの代表的な処方に「当帰四逆呉茱萸生姜湯・とうきしぎゃくごしゅゆしょうきょうとう」がある。この処方は、なり始めに服用すると良く効く。しかし2~3日経過したものには利きが悪く、治癒に時間がかかる。 この漢方薬は、四肢末端の経絡上に侵入した冷えを改善する薬である。この女性のように赤紫になり痛みを覚えるものは、血液の滞り、つまり「瘀血・おけつ」を二次的に発生している。この瘀血が発生したものには「血府瘀逐湯・けっぷちくおうとう」をさらに加えると治りが早い。 この女性は年末に来店し、新年早々にも来られた。寒さがひときわ厳しいのに大変調子がよく、春まで続けてみたいという。 |
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更新日: 2011/06/07 |
【質 問】
私は79歳の男性です。4年程前より、突然動悸(どうき)がし始めて脈拍が早くなります。夜間診療所に行くと安定剤を処方され、落ち着くということを繰り返すようになりました。ひどいと脈拍が120に達することがあります。たまに心臓がドクンとし、脈を診ると結滞しています。病院の薬を服用しているものの、去年の夏にも発作があり、病院に行くと心房細動といわれました。 【答 え】 この男性は近所の人で、普段から与えられたことを直ぐにこなし、何事も計画通りに物事を進める信頼性の高い方である。ところが、あの人はすぐに怒ると奥さんは言う。いわゆる八方美人である。肝の気のめぐりをスムーズにし、気を下ろす「加味逍遙散・かみしょうようさん」を服用して頂いた。 1カ月後、心臓のあたりにある付き物がすっきりしたという。まだ動悸はするが、脈拍をはかると70回ほどだという。話しているうち、50年前から足に静脈瘤があり年々ひどくなるという。瘀血である。瘀血は血液の滞りで心に負担をかける要因になる。心の瘀血を取り去る「冠心二号方・かんしんにごうほう」を併用してもらい更に1カ月経過すると、動悸もほとんどしなくなった。そのまた1カ月後には動悸は全くしなくなり、結滞も消失したとうれしそうだった。予防のために服用は継続している。 |
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更新日: 2011/06/06 |