湿気の多いこの時期に疲れやストレスがたまったり、寝不足が続くと、発症しやすい病気の一つにウィルス性胃腸炎があります。70歳女性の場合は、嘔吐し、2日目には下痢が始まりました。下痢は水溶性で白っぽく、一日に20回に及びました。下痢と同時に高熱で身体の全ての力が抜けるようなだるさがたまりません。家族に付き添ってもらい当薬局にいらっしゃいました。舌に白い苔がたくさんついていたので、湿気の病と考え「藿香正気散(かっこうしょうきさん)」を服用してもらいました。 翌日には微熱になり、下痢は5回に減りました。3日目には下痢がおさまり、軟便が1回になりました。
だるさを取るためにさらに3日続けると、元気になりましたとお礼の電話が入りました。
漢方薬は慢性病には時間がかかることもありますが、急性の場合は即効性が期待できます。
今年はインフルエンザの当たり年になってしまいました。A香港型が大流行したかと思うと、同じ人がB型に罹ってしまう事例もあります。その中で高熱を伴う風邪やマイコプラズマ肺炎や蓄膿症も流行っています。
風邪をひいて二週間経ちましたが、鼻水がいつまでも出て、鼻声が続くなんて人が少なくありません。鼻水は鼻の粘膜の炎症の度合いを表しています。漢方では、黄色みが強い鼻水は、粘膜の炎症が強く粘膜に熱をもっています。粘膜の熱が冷めてくると黄色みはだんだん消えてクリーム色から白濁になり、透明になっていきます。こんな時には「小柴胡湯・しょうさいことう」を服用していただきます。 奥からは黄色い、または白あるいは透明の粘張な鼻水が出てくるが、さらさとした透明な鼻水が出てしまう時には「柴胡桂枝湯・さいこけいしとう」が良いでしょう。また後鼻漏といって、鼻水が口の方に落ちてしまう時も同様です。 同じように気管支や肺の炎症の度合いは痰で判断していきます。痰の色が濃い黄色は粘膜の熱が強く、クリーム色になるとだんだんに熱が冷めていった状態です。咳をするときに気管支の痛みを覚えるときには、「柴陥湯・さいかんとう」が良いでしょう。声がかれていたり、咳をするときに頭にうっすら汗ばむときには、「柴胡桂枝乾姜湯・さいこけいしかんきょうとう」を服用すると良いでしょう。痰がなく咳き込むときには「麦門冬湯・ばくもんどうとう」が良いでしょう。 風邪の後遺症の処方には微妙な感覚が必要ですので、専門家に相談し、症状に合った薬を服用しましょう。またこれからスギ花粉が吹いてきます。粘膜を普通の状態にしておかなければ、花粉症になってしまう可能性もあります。 |
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更新日: 2012/04/11 |
猛暑の胃腸の疲れがまだ回復しないところに、冷えがきつくなり、10月~11月にかけて急性の膀胱炎の相談が多くありました。
ご存じのとおり、膀胱炎は大腸菌やブドウ球菌が原因で引き起こされます。 急性期は、小便が近くなり、排尿痛や残尿感の症状がでてきます。また、尿が混濁し、時に出血します。このようなときには「猪苓湯・ちょれいとう」や「五淋散・ごりんさん」を服用します。 これで治るときは少なく、タイミングを逃すと細菌は腎まで及んだりします。 また、無菌性膀胱炎だと言われた時には、「金匱腎気丸・きんきじんきがん」に「蒼朮・そうじゅつ」を加え、「茯苓・ぶくりょう、沢瀉・たくしゃ」を増量します。また、疲れたり出歩いたりすると繰り返す人には、「人参・にんじん、黄耆・おうぎ、白朮・びゃくじゅつ」のような気を補うお薬を加え、更に「柴胡・さいこ、升麻・しょうま」にて体にある気を引き上げます。また、冷えると起こる人には、金匱腎気丸には「当帰・とうき、芍薬・しゃくやく、川芎・せんきゅう」を加えます。 腎盂炎を起こしてしまい、発熱しぐったりするようであれば、「玄武医王湯・げんぶいおうとう」を服用します。 |
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更新日: 2012/01/18 |
生姜(ショウガ)の健康食品がさまざま発売されておりましたが、多くの健康食品と同じように消え去ろうとしています。ところがショウガは生姜 (ショウキョウ)と呼ばれ、家庭の食卓で大活躍するとともに、漢方薬の世界では、何千年と以下のような多くの漢方処方に配合され、現在も中国や日本の漢方薬局で処方されております。
≪生姜(ショウキョウ)が含まれているもの≫
生姜(ショウキョウ)は熱帯アジア原産の多年草で、草丈は50~70cmです。地下に肥大した地下茎を持ち、そこから鞘状になった葉の基部が茎のように地上に伸び、左右2列に葉をつけます。地下茎は8~10節に分かれています。温帯地方では通常花は咲かず、冬期10℃以下になると腐敗します。生薬としては、ショウガ科ショウガの根茎を用います。生のショウガが「生姜」、そのまま乾燥したものが「生乾姜」、蒸したり石灰をまぶして速やかに乾燥したものが「乾姜」です。下記のように、乾姜の配合されている漢方処方があります。 ≪乾姜が含まれているもの≫
インド、東南アジア、中国、アフリカ西部、中央アメリカ、日本、西インド諸島(特にジャマイカ、プエルトリコ)など世界各地で生産されていますが、薬用の大部分は中国からの輸入に依存しています。 体を温め、新陳代謝機能を高める作用をもちます。主成分のジンギベロールは血小板の凝集を妨げます。また、軟骨を破壊する酵素の生成を抑制する効果も認められています。芳香辛味性健胃、食欲増進、発汗などに効果があります。 漢方薬局の正確な使い方として寒邪を去り、主に脾胃を温め、腎の陽気を補うように使うと効果も絶大でしょう。 |
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更新日: 2011/12/01 |
薬用人参と言えばまずは、朝鮮ニンジンが思いつくであろう。ところが人参には、朝鮮人参をはじめとし、一般に他にも竹節人参、西洋人参、田七人参、シベリア人参が有名である。また三葉人参、二セ人参、ショウガ人参、トチバ人参などと呼ばれる種類がある。
現在、以下のようないろいろな漢方処方に中に配合されている。
もともと人参は数千年前から人の各種疾病の治療や予防に広く使われてきた。栽培ができるまでは野生のものしかなく、日本では大変高価なものであった。 朝鮮の伝統的な薬剤であることは言うまでもないが、根の形が人の形に似ているということで人参と呼ばれている。朝鮮でも、容易に見つかるものではなく、深い森の中に自生し、人の目を避けるように人参自体が移動してしまうのではないかという逸話さえ残されている。また、親孝行者にしか見つけだすことができない、あるいは正直者の目にだけとまるという伝説が言い伝えられてきた。 中国の古書である「本草経集注」(502~536)に掲載され、日本へ伝えられたのは森羅の使節である己珍蒙(キシンモン)が訪日の際に人参30斤を贈答品とし、739年に持ち込まれたと言われている。 (つづく)
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更新日: 2011/11/10 |