
近年、秋ばてという症状に悩む方が増えています。秋ばてを引き起こす背景には、夏ばてのだるさを引きずったまま回復が遅れたり、秋になってどっと疲れが出てしまうことがあります。そしてそれらは共通して『からだの冷え』に因るところが大きいです。
日本の夏は高温多湿で、世界でも有数の過ごしにくい気候だといわれています。暑さが原因で水分を求める機会が多くなり、胃液も薄められることで胃弱や胃腸障害を起こしやすくなります。また熱帯夜が原因となり、睡眠に障害が起こることもあり、これらが重なることで夏ばてにしばしば陥ります。対して秋ばては、暑さが一段落しても夏場のからだを冷やす生活を続けてしまっていたり、秋の気温の変化にからだが順応できずに不調に陥ってしまうことで引き起こされます。
9月に入ると風邪を引く方が急に増えますが、これはからだの冷えや自律神経の不調が原因で、からだの舵取り(免疫力の発揮など)が疎かになるから、と考えられますね。秋はからだを取り巻く環境の変化が大きいので、その影響をからだに取り込まないよう工夫するのが一番有効な手段です。具体的にはまず生活スタイルの切り替え、からだを冷やす生活から温める生活への切り替えが重要になってきます。また、この時期は季節の変化、とりわけ朝晩の寒暖の差が大きいため、規則正しい生活を心がけることも必要です。
東洋医学によれば、秋は収穫のとき、天地にみなぎる陽気を深く取り込んで、健康エネルギーを逃がさないように努める季節とされています。ですから、いつまでも夏の気分で開放的に動き回ったり、夜遊びして秋の冷気を受けることは避けるべき季節です。