日本の民間薬には黒焼きの類が多いです。
例えば、
・山ウサギの頭の黒焼きは血の道に効く
・モグラの黒焼きは痔に効果がある
など、昔から500種類近い黒焼きが伝えられています。
黒焼きの材料は主として廃物。
ナスのヘタ、貝殻など、食用にしない動植物が当てられます。
黒焼きの根底には、自然界にあるものはどのようなものでも無駄なく使おうという発想があります。
また黒焼きにすることで長期の保存がきくという利点もあります。
黒焼きは材料を素焼きの器に入れ、蒸し焼きにして作る。
今日から見ればそんなものに効能があるのかと、誰もが疑うことでしょう。
事実、黒焼きは単に物体が炭化したもので、炭素とタール以外何もないと非難されたこともあります。
ですが一方で、蒸し焼きによって生じるタール質の中に特異な成分が含まれると主張する薬学者もいます。
伯州散という漢方薬は、急性あるいは慢性の化膿疾患に劇的な効果をしめすことで定評があります。
ところがこの漢方薬は、モクズガ二、マムシ、シカの角をそれぞれ黒焼きにして、その細かい粉末を等量に混ぜただけのものというから驚きです。
このことからも、漢方の専門家は黒焼きに薬効がないとは、決して言えないのであります。
ツイート |
更新日: 2014/08/26 |
8月いっぱいは、まだまだ暑く、熱中症にも警戒しなければなりません。
熱中症を予防するには、体内にこもった熱をいち早く発散させ、水分を 補給しなくてはなりません。 体内に過剰な熱があると、自動的に体の中の水分量も減ってきます。 熱中症は、この体内の水分量がポイントになってきます。 では、水分量はどうやって知る事ができるのでしょう? それは、自分の尿の色を観察することです。 正常な時の尿の色は、淡黄色の尿になります。しかし、体に水分が不足して いる(陰虚)状態の時は、濃い黄色もしくは、こげ茶色のような色になります。 尿が濃い時は、体に熱がこもっている事が多く、同時に匂いも臭くなります。 まさに、熱中症はこの状態です。 逆に無色透明で頻尿傾向の人は、体に冷えがあるか、必要以上の水分を 補給している場合が多いので、冷たいものや、飲む量を控える必要があります。 このように尿の色を観察することで、体の水分バランスを知る手がかりになります ので、特に夏場は気をつけて見てみるといいと思います。 これが分かれば、トイレに行って尿の色がいつもより濃いと思ったら、体に 水分が不足している証拠ですから早めに水分補給をすれば良いのです。 ただし、普段からビタミン剤を飲んでいる場合は、当然黄色くなりますので、 尿で判断するのは、難しいと思います。 漢方では、体から出る分泌物(鼻水や痰、汗、帯下など)や排泄物の色や状態によって 選ぶ漢方薬も変わってきますので、自分の体から出てくるものを観察するのは 非常に重要なことですね。 |
ツイート |
更新日: 2014/08/25 |
今の時代は自分が望むもの、欲するものが、
わりと簡単に何でも手に入る時代だと思います。 医療も得やすくなりました。 食事も、自分の食べたいものを得られるようになりました。 快適さも得られるようになりました。 その延長線上で、健康も簡単に手に入ると思い込みやすい。 果たしてその通りかどうか。 多くの方が説くように、健康に近道はありません。 人間が健康を継続したり全うすることに、今も昔も大してかわりはないはず。 健康のためには体を過度に冷やさず、むしろ温めること。 というのは万人に当てはまることです。 けれどかたや昔に比べて、現代は体を容易に冷やすことができる時代です。 この夏の生活を振り返ってください。 冷房、アイスクリーム、冷たい飲み物、冷たい食事などなど。 地球温暖化やヒートアイランド現象で確かに冷やさずにはいられません。 けれども体を日常的に内側から冷やす人は、そうでない人よりも、(適切な表現か迷いますが)健康から遠のく。 その分だけ、かえって温活に取り組まなくてはならない。 またさらに冷えに対する抵抗力も関与してきますから、単純な足し引きの話ではありませんが。 けれどそうした冷えに対する抵抗力の低さも快適な生活習慣の中で培われていたとしたら・・・。 何が薬で、何が毒なのか、よくわからなくなってきます。 何かを望むこと、何かを得ることは、 本当はそこにリスクを伴うということに気づいてください。 長寿を望むことは決して悪いことではありません。 けれどもその背後には老化・加齢のリスクが確実に存在します。 |
ツイート |
更新日: 2014/08/22 |
健康は点を打つことではなくて、線を引くこと。
抽象的な物言いですが、 健康というのは、ある瞬間にその状態にあることよりも そのことが継続的に維持されることに本当の価値があります。 誰でも、かぜが治ることよりも、かぜを引かないことに価値を見出すものです。 そして引いたかぜを繰り返し治す恩恵よりも かぜを引かないようにつとめる(養生する)ことで得られる恩恵の方がはるかに大きい。 病気は千もあるが、健康は一つしかない。 そのような言(げん)もこれを受けての物言いでしょう。 線は点の連続によって形作られます。 本当の健康は、健康なことの連続です。 そして多くの人にとって、健康は幸せの前提条件でしょう。 健康だから幸せではなくて、健康でいろいろできることが幸せ。 ですから健康は出発点です。 人生にとって健康は目的ではない。 しかし最初の条件でもある。(武者小路実篤) |
ツイート |
更新日: 2014/08/20 |
月経痛や月経不順を改善するために用いられる漢方薬に、当帰芍薬散があります。
出典の「金匱要略」には 「婦人が妊娠しておなかが強く痛むものに良い」とか 「婦人のいろいろな腹痛に良い」とあり、 もともと女性の妊娠時の腹痛やその他の腹痛に用いられた薬ですが、 今では広い範囲で応用されています。 水毒証といわれる水っぽい体質の人に適しており、 月経不順、月経痛、不妊症、血の道症、更年期障害、低血圧、貧血、冷え性、疲労感、頭重、めまい、肩こり、動悸などの改善に役立ちます。 当帰芍薬散に含まれる生薬のうち、トウキとセンキュウはからだを温めて、血を補い、お血を改善し、シャクヤクは鎮痛作用によって腹痛を治め、ブクリョウ、ビャクジュツ、タクシャは利水作用で水毒を治めます。 生薬の内容から当帰芍薬散の適する方や体質がわかります。 このほか、月経を整える漢方薬としては、 体力が低下して手足の冷えが強く、寒さに弱い方には当帰四逆湯、疲れやすくイライラや不安、熱感がある方には加味逍遙散、冷え性で顔がのぼせ、手がほてる方には温経湯、比較的体力があり、のぼせや肩こりがある方には桂枝茯苓丸などが用いられます。 |
ツイート |
更新日: 2014/08/18 |