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疲れの裏に乱れあり。

週明けの京都市内は、ちょうど良い涼しさが訪れています。
季節外れの暑気も一休みと言ったところでしょうか。

さて、前回は暑気疲れに関連して「スタミナ」に少し触れました。
このスタミナという言葉を聞いて思い浮かぶのは、
強壮または精力的な代物、ニンニクやウコンのような香辛料、
はたまた脂たっぷりの肉類な何かではないでしょうか。
実際、夏はスタミナ食と称して、うなぎや焼肉を食すのを妙に意識しますよね。

スタミナとはずばり、持久力や耐久力の様なものでしょう。
この点は納得いただけると思います。
では何に対する持久力でしょうか
疲れやバテに対する持久力でしょうか。
はたまた暑さに対する耐久力でしょうか。

たしかにそういう点もあります。
ではなぜ、暑い時にのみ「スタミナ」を言及するのか。
実際はそれ以外の時季でも、疲れたりバテたりするでしょう。
しかし寒い時季やそれ以外の時季では、スタミナというのを口に出しません。
これはまたずいぶん不自然ではありませんか。

そしてまた同様にして思うのが、
暑さに対して必要になるスタミナと、それとは逆の
寒さに対して必要になるスタミナがどれほど違うのかという点。
むろん、暑さと寒さでは発汗の有無など、
からだに及ぼす影響が違いますから、全く同じスタミナというわけにはいきませんが。

そして、このように考えていくと、
私たちが「スタミナ」と呼ぶものの正体は
からだに備わる様々な働きの総称のように思えてきます。
この場合、俗にいわれる「スタミナが切れた状態」は、
からだの特定(あるいは全体)の働きが悪くなった状態を現している
わけです。

このように見ていくと、暑い時季のスタミナ補給とは必ずしも、
先に述べたような強壮あるいは精力的なものや香辛料、
脂たっぷりの肉類的なものに頼り、達せられるものではないというのが
おわかりいただけると思います。

すなわち、からだの働きが衰えている状況では、
いかなる働きがあるものでも、それが負担となる以上、
それを取り入れることで、からだはさらに負ってしまうだけでしょう。
そういうときにはむしろ、負担にならない=やさしいものを、
内に入れてやる事が必要になりますね。(つづく)

疲れの裏に乱れあり。

前回は、暑気による疲れに関係して、寒気による疲れに言及しました。
この寒気による疲れを解消する場合には、
からだを温めること(=陽気を高めること)が養生の基本となります。
実際に寒気を被(こうむ)って、冬かぜを引いた場合も同様です。

寒気による疲れは温めることで改善されるのであれば、
暑気による疲れは「冷やせば」改善される
このように、考え及ぶかもしれません。

からだを「温めること」と「陽気を高めること」は、とても近い関係にあります。
しかし、からだを「冷やすこと」と「陰気を高めること」は、大きく違います
冷えは万病の元と称されます。からだを冷やす事もそれは同じです。

冷たいものを口にすること(冷気を中に取り入れること)は、
暑い時季においてたしかに気持ちが良いものです。
ですがからだにとっては重み・負担となってしまます。
寒気に身を晒す事は確かにこたえますが、
寒気を内に取り入れる事は、それ以上にこたえるものなのです。
それがすぐに現れないのは、他ならぬあなたのからだが抗っているからです。

この冷気に伴う負担をできるだけ減らすという点では
「冷やすのはからだの表面のみにとどめておく」というのが適切とされています。
これは以前に述べました「風通しを良くする」や
「暑気疲れは一種の過熱状態」という事にも関連します。

ですが実際は、「暑気による疲れは冷やせば楽になる」と思い立ち、
果たして何人の方が夏場に冷たいものを口にしてバテしまう事でしょうか。
「暑いから冷やす」というのは、一部の例外を除き、大なり小なり誤りを含みます。
加えて、からだの内側から冷やすというのは大きな間違い。
その繰り返しの顛末が、寒気による疲れを引き起こすわけですから。

寒気を制するのは、まぎれもなく温かさ(陽気)です。
一方で暑気を制するのは、
適度な潤い(陰気)とそれを巡らせるための温かさ(陽気)
です。
ですから、たとえ暑い時季であっても、からだを温めるものを摂取したり、
巡りを良くするよう努めていくのは至極当然な話です。
むしろそういうものを通じて、皆さんが「スタミナ」と呼ぶものが養われていく。
私はそう考えています。

疲れの裏に乱れあり。

ここまで暑気による疲れについて解説してきました。
前回は暑気による疲れの裏には、
利用できない熱を抱えることで陥る、過熱様の状態があるというお話でした。

そして、またまた唐突ですが、
暑気による疲れがあるなら、その一方で寒気による疲れがあるのか。
あってもおかしくないですよね。

結論を先に言ってしまえば、寒気による疲れは確実にあります。
すなわち、寒気を抱えることによって疲れるという状態。
ただ、ここで注意いただきたいのは
暑気による疲れでは「疲れた」という言が口をついてすぐに出ますが、
寒気による疲れはそうではないという点。
ご自身の冬の生活を振り返ると、ご理解いただけると思います。
身の回りに「(寒くて)疲れた、疲れた」と口をつく方はいませんよね?
もっとも寒い時季には「寒い、寒い」と言い、
暑い時季には「暑い、暑い」と口をつく点では大差なく、
暑い時季には次いで「(暑くて)疲れた」といってしまうだけの違いだと思いますが。

そしてこのことは言いかえると、
暑気による疲れは感覚に訴えてくる部分が大きいが、
寒気による疲れはそうではないということ。
この辺りは暑さと寒さの性質の違い、
それに対する体の反応の違いも関係してきますから、
正直に頭を垂れるしかありません。
(ちなみにですが、「痛み」に対する感覚はしばしば疲れと逆の関係にあります)

ここからが本題になるわけですが
片や暑気に当たって疲れる、暑気疲れや暑気当たり。
そして片や寒気に当たって疲れる寒気疲れ。
この寒気疲れのもっとも身近な症状が、冬かぜです。
「寒気に身をさらして現れる症状」という見方をすれば、
冬かぜはまぎれもなく寒気当たりによる症状。
実際にもからだに何らかの寒気を自覚しているでしょ。
この寒気当たりには、さらに激しい症状となればそこに凍傷なども含まれてきます。

そして、暑い時季は暑気当たり(疲れ)に加えて、
冷房の多用や冷たいものの取り過ぎで、
この寒気当たりを自ら抱えてしまう事が実はよくあります。
例えば、「カキ氷を食べて頭がキーンとする症状」
これは全身は暑気に当たっているが、
首から上は寒気に当たっているという、何ともアンバランスな状態です。(つづく)

疲れの裏に乱れあり。

ここ数回に渡り、暑気による疲れについて述べておりますが、
そもそも「暑いから疲れる」というこの症状(というか現象)に
疑問に感じたことはありませんか?

盛夏に汗をかき過ぎて消耗して疲れる。
服水のし過ぎでからだが重だるくなって疲れる。
そのようなケースでは疲れてしまう事にもうなづけると思います。
ですがそういうことを伴わずとも「ただ暑いだけで疲れる」。
これはいささか腑に落ちないと思ったことはありませんか。
もっとも、理屈はどうあれ、
暑さに長時間さらされると現実に疲れる事は疑い様もありません。

「暑気当たり」といわれるように、暑さは暑気を帯びています
ですが暑気とは私たちにとっては利用できない熱エネルギー、いわば廃熱です

私たち自身は体内でエネルギー:気を錬って生きています。
そして体内で作られるエネルギーは質が良いので、
体熱をはじめ様々な形で活用されます。
対照的に、外からやってくる暑気は質の悪いエネルギーで、
活かし様がない
わけです。
からだに抱え込んでも活用することができませんし、むしろ荷物にしかならない。
けれども暑気に身をさらすというのは、
多かれ少なかれそういう廃熱をにからだに蓄えることになる。
すると、過熱:熱し過ぎるわけです。
この過熱した状態を疲れとして感覚するわけです。

そして店頭でこのようにお話しすると、
「では、出歩かない方(暑気にからだをさらさない方)が良いんじゃないか?」
と考え及ぶ方もいます。
けれどもそれはとどのつまり、
「疲れないようにする為に、疲れる事をしない」のと同じです。
それではますます駄目になっていきませんか。
暑気に身を晒さない方法よりも、身を晒す暑気への対処法を備える。
これこそが健康への一歩だと思います。

疲れの裏に乱れあり。

季節外れともいえる、この時季の暑気による疲れ。
その対処法の一つとして、前回は
『からだの風通しを良くしておくこと』を述べました。

春風や春一番といわれるように、
春は他の時季と比べて風と関わりが深く、風が生じやすい季節です。
そして自然界に風が生じやすい季節では、
人の中にもやはり風が生じやすくなります。

内に吹くことから、しばしば「内風」と呼ばれるこの風。
風は目には見えませんが感じる事はできます。
そして風を心地良く感じる時もあれば、鬱陶しく感じる時もあります。
追い風、向かい風・・・。人の心と内に吹く風は、さながら波と風のような関係です。

そして暑気疲れに対して「風通しを良くしておく」というのは、
そういう波と風の関係を踏まえながら、
風の通り道を作りつつ、からだを閉めきらないよう心掛けるということです。
この辺りは抽象的な話なので、わかりにくいかもしれません。

風の通り道を設けるというのはすなわち、
風を遮らないようにしつつ、風が淀み乱れないようにすること。
これは「自然体」という言い回しが、的を得ているかもしれません。

そしてからだを閉め切らずに熱を逃がすとは
とどのつまり、風穴を「詰まらない」、「詰まらせない」ということ。
「根を詰めない」「集中しない」「窮(きゅう)しない」・・・。
しばしば「冷静になる」と表現しますが、まさしくその境地です。
冷静になる、リラックスした状態になる。
そういうものを通じて、硬いものは軟らかく、結んでいたものは綻びます。
そうして風穴が開いていくわけです。

以上をまとめますと、
①春の養生は「風」が一つのキーワード
②それは季節外れの暑気疲れに対しても同じ
③春に吹きやすい風を最大限に活用していく
④熱を溜めずに外へ逃がしつつ、からだの内には波風を立てないようにしていく
というように言えると思います。
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