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朝の寒さが、いささか際立ってきました。
そろそろ、自販機にホット飲料が並び始める時期です。
自販機の商品の並びで季節を感じる・・・、
何とも、小さすぎる秋です。

漢方には昔から 冬病夏治 という考えがあります。
簡単に説明しますと、冬に現れる病や症状には、
寒さが何らかの形で関わってくるから、
その影響が弱まる夏こそ、治療に励みましょうということ。

では、夏が終わったら手遅れ なのでしょうか?
安心してください、そんな事はありません。
秋からでも決して遅すぎるということはありません。
(ただし、早い方が良いということはあります。)
前回もお話したように、秋は万事を粛々と行っていく時季ですから、
温活などは、秋から始めても十分な効果を得ることができます。
また一口に温活といっても、
夏には夏の温活が、秋には秋の温活 が、冬には温活があります。
温活とは即ち、温めることではありません。
冷やさないようにすることも、立派な温活です。

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そもそも、人間のからだは温めると元気になるようにできていますから、
温めることはそれほど特別なことではありません。
ものすごーく当たり前のことです。
(ただし、何でもかんでも温めれば良いという訳でもありません)
ただ、その当たり前のことが、
西洋医学の治療ではなかなか積極的に行われません(悲)。

自然界では、秋は終息に向かう時期です。

それは冬に向かって寒くなるからでもありますし、
夏の終わりから陽気が衰え、陰気が強くなる
陽消陰長へと移り変わるからでもあります。

自然界では終息に向かうときですから
秋から何かを始めるというのはあまりお勧めしません。
むしろ今までやってきた事に 粛々(しゅくしゅく)と 取り組むときです。
食欲の秋、と言いつつもあくまで粛々と。食べ過ぎは避けましょう。
運動の秋、と言いつつもやはり粛々と。
そのようにして食欲や睡眠欲も、粛々と満たしていく。

秋のクマが粛々と冬ごもりの準備をするように、
秋を暮らす人も昔は、冬備えの準備を粛々と行っていました。
今の時代はそれが必要なくなりましたが、
秋が夏の疲れを粛々と解消して、
冬に備えるべきであるのは、いつの時代も変わりません。

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秋は肺に重きをおく季節ですが、それは裏を返せば
からだの中で粛々さ を発揮するのは、肺の働きによるという訳です。
漢方の世界では、肺を「相傅(そうふ)の官」と呼んだりします。
相傅とは、君主を助け政治を行う宰相のことで、
君主の後ろに控え、淡々と職務をこなす人物です。
まさしく粛々のイメージ。
肺の働きを整えることで、身体の粛々さもまた高まっていく。
肌荒れや便秘、咳や喘息などは、この粛々さが失われた反動です。

ちなみに、規則正しい生活は、最も基本的な「粛々さ」ではないかと思います。
当たり前の事だけに、それを当たり前に行う、つまりは粛々と行うことが、
今の世にあって実はなかなか難しいのではないでしょうか?

秋は日を追うごとに大気が乾燥していく時期ですが、
秋に重きをおく肺は、この乾燥を嫌う臓器であり、
その働きを高めるには、肺自身の 潤い を整えていく必要があります。

全身の皮膚や粘膜、鼻や喉などの呼吸器官といった部分。
漢方でいえば肺が養う部分には、いずれも適度な潤いが必要です。
単に乾燥しやすくなるというだけでなく、
潤いが不足すると十分な機能が発揮できなくなります。
また荒れやすくなることで、肌荒れや皮膚炎、
咽頭炎や咳、息切れなどの症状もおきやすくなります。
潤いが不足することで、
肺本来の 分泌力や抵抗力、治癒力 がうまく働かなくなる訳です。

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肺に潤いを与える。肺の潤いを養う。
からだの外側であれば、適した保湿薬を用いて、潤いを与えることはできます。
けれどもそれだけでは、からだの内側や肺本来の潤いはなかなか整いません。
またそういう部分は水分を摂れば、すなわち潤うという訳でもありません。
からだの潤いは足りないのに、
水分を摂りたがらない方も実際には存在します。

からだの元気を取り戻すのに滋養(強壮)という方法があるように、
からだ自身の潤いを取り戻すのに 滋潤 という方法が存在します。
(先ほども述べましたが、水分を摂る事と滋潤することは同じではありません)
漢方では肺に潤いを与えるとは、この滋潤(もしくは滋陰)のことを指します。
当たり前かもしれませんが、からだには 自らを潤す働き があります。
それを高めていくことは、肺の働きを高めていくことにも通じていきます。

前回に引き続き、秋に重きをおく肺について。

しばしば、肌は内臓を写す鏡 といわれますが、
漢方では、「肺は百脈を朝じる」という表現があります。
百脈とはからだに通じるすべての血脈のこと、朝じるとは集めるという意味です。
からだの血脈が集まる肺には、
その脈を通じて、からだの良いものだけでなく、悪いものも集まります。
からだにとって良いものは、内臓の働きを高めてくれますが、
その逆に悪いものは、内臓の働きを弱らせてしまいます。

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前回も述べた通り、肺は悪いものが外部から侵入するのを防ぐ役割をもちますが、
日々の生活を通じて、からだの内部に悪いものが増えてしまうと
それはやがて肺に集まり、その働きを弱ませたり、乱したりを繰り返します。
(多様化した食生活や生活習慣を過ごす私たちは、このリスクと常に隣合せです。)
不幸なことに、そういう兆候は、肌にかかる刺激(寒さや乾燥、アレルギー物質など)が
強くなるほど、それに反発するかのように顕著に現れてしまいます。

秋は肺に重きをおく季節ではありますが、
それは単純に「肺の働きを高めよう」ということではありません。

肌が荒れる。
せきやぜんそく、鼻水が続く。
かぜを引きやすくなる。

そういった肺の異常は、肺の弱さだけでなく、
それ以外のからだ全体の不調によっても現れやすくなります。
肺に重きをおくとは本来、
肺の異常を通じて、からだ全体の不調を見直しましょう、
からだ全体を整えて、肺の働きを高めていきましょう、
と言及しているのだと思います。

9月に入り、季節は日に日に秋を帯びていきます。

秋といえば、漢方では に重きをおく季節とされています。
肺とは、からだの表では 呼吸器官 、裏では大腸のことで、
五臓(肝、心、脾、肺、腎)の中では、からだの最も外側に位置している臓器です。
そのため肺は、悪いものが体内に侵入するのを防ぐ
という重要な役割を果たしています。
万病に対する 抵抗力免疫力 も、
漢方ではこの肺の働きを通じて発揮されると考えられています。

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肺のそのような働きが求められるのは、何よりも秋冬の寒さ厳しくなる季節です。
漢方では「傷寒論」という古書も存在するほど、
寒さはからだに害をなすもっとも身近な存在であり、
秋はその寒さに備えて、肺の働きを高める準備期間でもあります。

肺の働きを高める方法の一つとして、肺を積極的に働かせることが大切です。
横隔膜 を動かして呼吸をする。つまりは深呼吸です。
カラオケなどを通じて、積極的に発声することも良いかと思います。
あるいは、呼吸や発汗を伴うような軽い運動を行う。
難しい方はアロマ入浴という便利な方法があります。
肺を積極的に働かせることには、肺の働きを高めるだけでなく、
からだの緊張を整える(肝の働きを整える)効果もありますから、
そこに香りを加えると、睡眠にもより良い働きになります。


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