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暑い時期に入ると、水分摂取の回数やその量は、自然と増えていきます。
最近では、特に高齢者の睡眠中の 脱水 も問題となっています。
暑さが増すほど、喉は渇きやすく、また汗はかきやすくなります。
そういう生理現象は、本人が「暑い」と自覚していなくても、自然と起きています。
中には暑さに我慢強い人も少なくありませんが、
その当人が「暑い」と感じるときは、実際はかなり暑い。
そして身体は急激な消耗には敏感ですが、
じわりじわりと襲う緩やかな消耗は感じにくいものです。

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漢方では、夏を中心とした暑い季節は 発散 の季節、
それに対して、冬を中心とした寒い季節は収蔵の季節とされています。
夏の身体には発散しようとする力が自然と働き、
生活面でも、その発散を促すように励みなさいということです。
そして夏の発散には、身体の 水回り がキモになります。
このような考えが根底にある漢方では、
水分摂取は身体から失う水分の補給だけでなく、
発散を促す一つの手段として定めることもできます。

ただし・・・、
補給された水分を通じて、体液が補給されるには「隔たり」があります。
口から摂る水分と体液は、厳密には組成が違うという「隔たり」。
口から摂る水分が、身体に吸収されるのにかかる時間的な「隔たり」。
両方とも最近は、経口補水液のお陰でかなり改善されています。


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漢方では、体液(津液)は気の働きによって生成・供給されると考えています。
たしかに適度な水分補給は必要になりますが、
それを吸収して、体液に作り変えて、身体の各所に運ぶのは気の働き。
そして大切なのは、気の働きは身体の「水回り」を整えるという点。
水分の吸収・体液の生成だけでなく、
その発散をサポートするのも、気の働きによるところです。

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あくまでイメージですが、体液は炭酸水を連想させます。
しゅわしゅわとした炭酸は、まさしく気が入っている証拠。
そのようにして気が通っているから、体液となります。
ですが気が抜けていたらそれは炭酸水ではなく、そして体液でもありません。


薬用人参をお勧めする理由(10)リンク でもお話しましたが
人参には渇を止め、津液を生じる働きがあります。
それはつまり、気を補うことを通じて、体液を生成するということ。
暑い時期の水分補給は、このような 気と水の両立 がとても大切です。

忙しいときは、何事も「体力」に頼りがちになりますが、
今の身体にどれだけ体力が備わるかは、
体力の充実だけでなく、体力を蓄える「身体」の大きさにも左右されます。
体力は身体が発揮する訳ですから。

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そして身体には文字通り、「内臓」が内蔵されており、
漢方では、身体が発揮するものは全て、内臓の働きに基づくとされます。
ですから体力強化を考えるなら、それを発揮する身体の強化を・・・。
けれど身体の強化を考えるなら、まずは内臓の強化を・・・という訳です。

医療現場では身体の疲弊時に、点滴や缶入りの栄養剤が用いられます。
たしかに身体が弱っているときには、いち早い栄養摂取が望まれます。
ですが栄養が豊富なら、ずっと点滴を受ければよい、
その栄養剤を飲んでいれば良いという訳ではありません。
栄養は取れますが、吸収が良いから内臓の働きは必要としません。


良く言えば、内臓に負担をかけないという事ですが、
言い変えれば、内臓が働く要素がないという事。
動かないと身体が鈍(なま)るように、内臓も働かないと怠けます。
そして働かない内臓はやはり、本来の姿ではありません。

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栄養を摂る事と、食事を摂る事の大きな違いは、
内臓を働かせる要素 がある点。実は之がとても大切です。
規則正しい食生活も、規則正しく内臓を動かすための一つの方法です。
そして漢方では、内臓の働きを支えるのは気の作用によると考えられています。

神農本草経に記述される薬用人参の薬能は、
今日では人参七効にまとめられ、その一つに 補気救脱 があります。
補気とは気を補うことですが、それには内臓の働きを高めるという意味があります。
内臓の働きの大切さは先に述べた通りですが、気はその原動力に当たります。
中でも薬用人参は、お腹(脾)の気を高める働きがあります。

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救脱とは、虚脱を救うこと=体力を増進したり、身体の抵抗力を高めること。
そして補気は、内臓の働きを高めること。
ですから補気救脱とは
内臓(お腹)の働きを高めて、体力や身体を強化する
人参のこの効能は、健康や体力の支えは
他ならぬ内臓の働きにあると物語っています。

梅雨の空気は湿気を帯びて湿っぽくなりますが、
同じようにして、人の身体を巡る気も湿っぽくなります。
湿っぽくなると粘調も強くなり、気の流れは
ゆっくりしたもの(悪く言えばぱっとしないもの)になります。
晴耕雨読 という言葉にあるように、
身体は晴天では活発になり、雨天だと緩慢になります。

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また、湿っぽくなった衣服は肌に張り付き、重く感じますが、
同じようにして、湿っぽくなった気は「内臓」に張り付きます。
漢方では、肝ならば肝気、肺なら肺気というように、
内臓は自らの 気を発する ことで、その機能を発揮すると考えます。
(さまざまな機能の乱れを、それを司る五臓の気の乱れと結び付けるのも漢方の特徴です)
ですが湿った薪がなかなか燃えないように、その気が湿っぽくなると、
内臓から発せられるときにもたついてしまいます。
そうして身体のさまざまな機能が 緩慢 になるのが、湿っぽい時期の特徴です。

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そんな湿気による影響が強く現れるのが お腹(脾) です。
たくさんの湿気は、働きを緩慢にするだけではなく、
ときにお腹を傷つけてしまいます。
また、他の臓器(肝・心・肺・腎)にもたらされる気は、
お腹の働きによって作られますが、傷つき弱ったお腹では、
十分な気が供給されません。
そしてまた、湿っぽい脾で練られる気も、やはり湿っぽくなります。

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大気は湿っぽくとも、お腹には晴天を。
雨天の陰気(湿っぽさ)に対して、晴天は陽気をたくさん含んでいます。
そして、お腹の陽気を養うには、気を補って陽気を高める薬用人参が適しています。
梅雨の身体は、どうしても陰気に傾きがち。
けれど、あまりに陰気に偏ってしまうと、返って陰気は傷つきます。
陰陽のバランスを図るという点でも、陽気を補うことは理に適っています。

明治の漢方医、浅田宗伯が記した古方薬議の中で、
薬用人参の薬能は次のように記されています。

味甘温、微苦。渇を止め、津液を生じ、能く諸薬の力を達する。

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渇とは文字通り「渇き」のことで、喉の渇きや皮膚の乾燥を指します。
最近ではドライマウスやドライアイのように、「ドライ何某」と呼ばれますが、
この 渇き に対しても薬用人参は用いられ、
白虎加人参湯や小柴胡湯、生脈散等の方剤に含まれています。

漢方では、身体の渇きは 津液不足 によっておこるとされています。
津液は体液のこと。この津液は身体の活動を通じて作られるのが基本です。
その逆に、身体の機能が乱れたり衰えたりして、
津液が安定的に作られなくなる(分泌されなくなる)と、身体は渇きを訴えます。

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例えば、緊張すると喉が渇く。あるいは口が苦く感じる。
之は、腎の液である「唾」が滞っている状態。
また手の平には汗びっしょり。
之は、心の液である「汗」が溢れている状態。
あるいは下痢が起こりやすくなる。
之は、脾の液である「涎」が溢れた状態。


①体調が乱れるとき、その裏では②内臓の機能が乱れる。
そのとき同時に③内臓がもたらす体液も乱れるというのが、漢方の考え方です。
そして人参は、身体の機能を整えることによって、体液の分泌を整えていきます。

また体液の材料は、飲食物を材料にしてお腹(脾)で作られ、
それを分配するのも脾の働き(=脾気)の一部です。
この働きがおろそかになると、渇きとは正反対に 津液の停滞(痰湿)を招きます。
痰湿というのはやっかいな存在で、停滞したり痞ええたりして、
単純なむくみとは異なり、尿としてあまり排出されません。
そして、お腹で痞えると食欲不振や消化不良、胃痛や胃炎を招き、
呼吸器官で痞えるとアレルギー性鼻炎や気管支喘息をもたらします。

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薬用人参をお勧めする理由(4)リンク でも話しましたが、
人参は脾の働きを高める(脾気を補う)働きがあり、同時に痰湿も解消していきます。
「渇」にも「痰」にも等しく用いられる。
之もまた、薬用人参の秀でた薬能と言えるでしょう。

5月としては比較的暑い日々が続きますが、
薬用人参はその 暑さ にもお勧めです。
実際、夏バテ・暑気あたりに用いられる漢方方剤、
清暑益気湯や生脈散にも人参は含まれます。

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漢方の古典「医学六要」には
夏月には病むことがなくても、只だ宜しく補剤を服すべし。
陽気は悉(ことごと)く外に発するに以り、からだの内が虚する也

と記されています。

陽気にはいろいろな解釈がありますが、ここでは 活発さ が適しているかと。
すなわち暑い時期の身体は活動が活発ですが、同時に活発だからこそ消耗が激しく、
その消耗は身体の消耗、身体機能の消耗、そして気の消耗へと通じていきます。

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例えば、暑さが激しくなると身体は汗をかきますが、汗をかくことは脱力感も伴います。
汗は体液が転じたものですが、之をかく(=発汗する)のは身体の機能。
そして身体の機能が活発になるときは、裏では気(=エネルギ)も消耗しやすく、
(ちなみに、汗をかくときに消耗するのは心気)、
それに対して、人参の出番という訳です。


人参は夏の暑い時期に用いれば、
活発な陽気(=身体活動)の裏で消耗していく気を補います。
ですが一方で、冬の寒い時期に用いると、気を養い、寒さで弱まる陽気を高めます。
そのようにして、かたや虚損を防ぎ、かたや拡充を図るのが人参の働きです。

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ちなみに東洋思想には
陰が極まれば陽に変ず、すなわち陰中の陽。
陽が極まれば陰に変ず、すなわち陽中の陰。

という考えがあります。
当然に東洋医学も、この考え方を継承しており、
活発さにあって消耗していくことはその陽中の陰に、
低調さにあって盛んになることは陰中の陽に当たります。
そして人参はそんな「陽中の陰」と「陰中の陽」を支えるという面からも、
とても重要な働きを持っています。


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