この時期に盛んになる暑さ対策ですが、
その方法として、冷たいものばかり口にするのはお勧めできません。
おなかが冷えるから。
たしかにその通り。
ただし、「冷たいものを口にする」に、暑さ対策として高い効果があれば、
それもある程度は仕方がないのかもしれません。
すなわちハイリスク・ハイリターンであれば。
ですが、実際はその通りではありません。
暑さ対策としてはあまり効果がない。効果が薄いと思われるのです。
そもそも、暑さや熱射は、からだの表面を脅かします。
日焼け対策は、まさしくこれに従うことでしょう。
ですから、暑気当たりに陥ったときでも、
症状の多くはからだの表面に集中しています。
その予防や対処法として、冷たいものを摂る。
摂りいれた冷たさは当然、からだの最奥であるおなかに蓄えられます。
トラブルはからだの表面:表で起こるが、
これに対してからだの奥:裏から対処していく。
熱する、冷やすという視点から見たとき、
この表裏の隔たりには何の恩恵もありません。
簡単な話、からだの表面に熱するなら
からだの表面で冷やした方がずっと効果的という事になります。
また、暑さや寒さなど温度の変化に対しては、からだの内側よりも、
表面の方がずっと耐性に優れています。
ですから、暑気当たりや暑さ対策として、冷たいものを摂るというのは
心地が良い反面で、効果としてはかなり薄いわけです。
ハイリスク・ハイリターンどころか、ハイリスク・ノーリターン。
おなかが冷える云々よりも前に、効果が薄いからこそ、お勧めしないわけです。
補足ですが、私は冷蔵庫はそもそも、
食卓に冷たいものを供給する為に作られたわけではないと認識しています。
冷蔵の文字通り、冷やして貯蔵することで
食料が腐りにくく、長期にわたり安全に保管できる。
それがいつの間にか、冷たいものを供給する部分だけが
強調され、特化しているように感じてなりません。
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更新日: 2015/07/27 |
暑気当たりと夏バテ。
暑気当たりは文字通り、過ぎた暑さが、からだを傷つける事によります。 漢方でいうところの、からだを傷つける邪気が暑気(暑さ)であるわけです。 したがって、暑気当たりで必要になるのは、暑さ対策です。 そして水分補給も冷房も、炎天下での活動自粛も、暑さ対策の一種といえます。 ただ、暑さ対策というのは、「とにかく暑さを遠ざけよ」というものではありません。 むしろ暑さを制する、暑さを上手くコントロールする。 夏ですから、ある程度の暑さを感じることも大切です。 一方で、夏バテは、暑さに対する抵抗力の低下によるものです。 もっと簡単に言えば、暑さに強いか、弱いか。 暑さに弱くなるほどに、夏バテに陥りやすくなるわけです。 運動におきかえると、わかりやすいかもしれません。 同じ運動をしても、全く疲れない人がいる一方で、息が切れてしまう人もいます。 ここでは「運動=暑さ」、「息が切れる状態=夏バテ」です。 では、どのようにして暑さに弱くなるのか。 それには、水はけの悪さ、湿気の多さが影響しています。 これも経験があると思いますが、 例え気温が同じであっても、湿度によって 実際に体感する暑さというのは変わってきます。 日本よりも暑い風土で生活してきた外国人が、 にもかかわらず、来日してその暑さに負けてしまうのもこの湿気の所為。 湿気を帯びた暑さは、それだけからだに堪えるわけです。 暑くて汗をかきやすいから水分補給は欠かせない。 たしかにその通りですが、夏バテ対策を考えれば、 同時に水はけを整えることも重要になるわけです。 水分を摂取しながら、水はけを良くする。 これだけでは、なんとも矛盾した内容に聞こえるかもしれませんが、 実際はその矛盾をやってのけるのが、人体の巧みだと思うのです。 そしてその巧みを最大限に活かすのが漢方の千恵だなどと、 私などは常々に感じています。 |
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更新日: 2015/07/24 |
唐突ですが、暑気当たりと夏ばては、別モノです。
この2つを混同している方、けっこう多いのではないかと思います。 夏のあいだは水分補給や冷房の利用が励行されますが、 これは暑気当たりを防ぐ為で、そこには夏ばては全く関わっていません。 ですが場合によっては、暑気当たりを予防する為の行いが、 夏ばてを助長することも考えられるわけです。 熱中症、暑気当たり、暑気負け。 これらはいずれも、過度の暑さによってからだが傷つけられた状態を意味します。 暑さはからだを覆うような形で存在していますから、 症状は表証:からだの表面の症状に始まり、 果ては裏証:からだの内面の症状へと移行していきます。 暑さが終いには内臓、特に消化器系に到達するわけですね。 ちなみに、からだを寒気にさらした後の状態、俗にいう『かぜ』は からだを傷つけるものが寒と熱で正反対ですが、現象としては良く似ています。 一方で夏バテというのは、 暑さへの抵抗力が弱い(もしくは弱まる)ことに端を発します。 先ほどの暑気当たりでは、暑さの程度が症状を助長しますが、 夏ばての場合は、暑さの度合いよりもむしろ、 その暑さに対する抵抗力の低下が、症状を呼び込むわけです。 この抵抗力は俗にいう『スタミナ』に由来すると考えられます。 では、その『スタミナ』が、先に述べたような水分補給や冷房の利用で 培われるかといえば、残念ながら答えは『ノー』でしょう。 暑さに対する抵抗力、それについての見解は なかなか長くなりそうなので、また後日にしますね。 |
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更新日: 2015/07/22 |
これまで、「健康の利きが悪くなる」という表現を用いてきましたが
これには大きく分けて、二つのケースがあります。 すなわち、一部か全部かということ。 健康というのは、丸い輪っかの様な形をしていると思うのです。 つまり、そこでは何らかの調和が保たれているわけです。 実際の健康診断において「悪いところはないか」という形で判断していきますよね。 要するに粗探しのようなものです。 輪っかのどこが綻んでいるのか、調和が乱されているのか。 そういうことを診ているわけです。 そして粗というべきところで、健康に綻びが生じており、 それに呼応する形で特定の症状が現れたり、病気が生じたりする。 けれど、健康の全体像が不鮮明なのに、そもそもの状態がどうかわからないのに、 どこに粗があるとか、どこが綻んでいるとか、そういうのがわかるものでしょうか? 特徴と粗というのは違いますよね。 それが、その人の健康の特徴でなくて、粗だとはっきり断言できる。 健康が脅かされている場合を除けば、 そういうケースは意外に少ないのではないか思います。 また実際は、原因がよくわからないのに、症状を訴える方、 不定愁訴を抱える方が多く存在します。 そういうケースでは、もっと視野を広げるというか、 健康全体を見つめることが重要になると思うのです。 健康は、それ自体は決して歪なものではなくて、調和をとろうと、保とうとします。 それは特定の部分に綻びが生じている場合も同様です。 負担を小さくしようとして、調和を保とうとして他の部分が利いてくるわけです。 柔軟性という表現がしっくりするかもしれません。 そして最初に述べましたように、健康の利きが悪くなるということには 健康全体の進退にも深く関わっています。 健康が退くほどに、輪っかが小さくなるほどに、 調和・バランスはとりにくくなる。すなわち柔軟性が失われていく。 これは必然ですよね。 長々と話してきましたが、健康は縮めないということよりも、 伸ばすということに重きをおくべきではないでしょうか。 健康法と呼ばれる多くの事が、「これをしてはいけない」とは謳わず、 「これをしましょう」と、前向きな姿勢である事が何よりの証拠だと思います。 そして、特定の「これをしましょう」を十度繰り返すよりも、 十の「これをしましょう」を一度ずつ行う方が、 調和というのは格段に取りやすいのではないでしょうか。 |
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更新日: 2015/07/17 |
健康の利きが悪いという状態には、いくつか挙げられると思いますが、
その一つには 眼の利きが悪い 耳の利きが衰えた 足が利きにくくなった というような、年を重ねることで現れるものがあります。 多くは、年のせいで済ませたり、諦めてしまっている類を指しますが、 字の通り「利き」が悪いので、それ自体は病気という範疇には入りにくいですよね。 けれども、もう少し詳しく見ていくと、 年相応に利きが悪いのは病気ではありませんが、 急激に利きが悪くなってしまうとか 年相応よりも利きが悪いというのは、 病気としての側面も含んでいると思われます。 同じような病を患っても治癒力の違いによって、 治療の効果やその後の回復に差が出ます。 その逆で、病気やストレスなどを患うほどに、 からだとか健康の利きは悪くなる傾向にあります。 俗にいう老け込むなどはその代表的で、 傾向がとても強い状態なのではないでしょうか。 こうして考えていくと、健康的と病的との違いは、 何某かの程度によるものと見立てることもできます。 もっとわかりやすく言えば、脅威になるかどうか。健康とか心身に対して。 例えば、今年の夏。かなり暑いですよね。最高気温36℃超えです。 この暑さはまぎれもなく病的でしょう。 ですが、そもそも夏は暑いものですから、 ある程度の暑さは然るべきで、その暑さを享受するのは健康的といえます。 冬の寒さも然り。年齢に伴う老いもまた然りです。 逆に、夏にも関わらず暑さを感じない、いたずらに遠ざける方が病的だと思うのです。 |
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更新日: 2015/07/15 |