ご無沙汰しています。
梅雨が明けて一気に暑さが盛んになりましたね。
京都市街は祇園祭一色ですが、とにかく蒸し暑い。
暑さも然ることながら、肌にまとわりつく湿気がこたえます。
さて、健康に関する相談を行っていますと、
「健康って何だろう」と、考えることがあります。
いずれの病院や薬局においても、
そこを頼ってみえる方は健康に何らかの不安を抱えています。
この不安の多くは、病気や症状によるものでしょうが、
ではその病気や症状を取り除けば、健康なのでしょうか。
またあらゆる病気や症状を果たして、都合よく取り除けるものでしょうか。
これは私の個人的な見解ですが、
「健康あらざる」には二通りあると思うのです。
一つは病気を抱えること。
もう一つは健康の利きが悪いこと。
漢方において言及される自然治癒力も、健康の利きの一つだと思うのです。
ですから、なかなかよくならない、快方に向かわないときには、
病気がそれだけ大きいと考える一方で、
治癒力(健康の利き)が悪いのではないか?
と原点回帰することも必要だと思うのです。
以上のような考え方を踏まえると
俗にいう「健康的」というのは、病気を解消するだけでは
半分しか到達されていないのではないでしょうか。
言い方を変えれば、難病を抱えていても、
健康の利きを良くすることに努めれば、それはそれで健康的だと思うのです。
そして病気を解消するということには、
始まりとか終わりとかそういうものがあるでしょうが、
健康の利きを良くする、健康を利かせるということには終わりなどありません。
だからこその健康を保つという考え方。
健康を保つ、長く続く健康とは、
健康の「大きさ」も然ることながら、健康の「利き」によって支えられるはずです。
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更新日: 2015/07/13 |
疲れの裏に乱れあり。
きょうから7月。早くも半年が過ぎたわけですね。 京都は梅雨明けと共に、祇園祭で賑わう一ヶ月。 繁華街はさぞ活気に溢れることでしょう。 個人的には、その界隈で行われる歩道拡張工事の影響が気になるところです。 長患い。何を持って長患いとするかといわれると迷いますが、 この場合は文字通り、長い間をかけて患っている、症状を抱えているという認識で良いかと。 長く続く疲労であったり、長期に渡る耳鳴りなどもこれに含まれることでしょう。 十人十色の長患いでしょうが、 それらに共通するのが、「篭(こも)り、窮(きわ)まる」という点。 長引く症状に皆さんが感じる「頑固さ」は、 病邪が長い時間をかけて「篭り、窮った」状態に陥るからと考えられます。 これは他方で、暑気当たりのように、 短い期間に集中的に「篭り、窮まる」症状にも同様に言及できます。 暑さが篭もり、暑気に負ける 気持が篭もり、心神が鬱する 血液、体液が窮まり、視覚・聴覚を災う 「篭もりやすさ、窮まりやすさ」とでも言えば良いのでしょうか、 そういう傾向は、年齢や性格などはもちろんの事、 身を置く環境や身の回りの状況など、実に多くに影響されます。 そのような場合、症状に関わらず必要となるのは、「和ませる」こと。 篭もった中身、窮まった状態を自然な形で解消してあげる。 「柔らかくする」という方が的を得ているかもしれません。 まさしく、柔よく剛を制す。 柔とは、和ませる、解消する治療のこと。 剛とは、篭もり窮まった病状のことを指すと思うのですよ。(つづく) |
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更新日: 2015/07/02 |
疲れの裏に乱れあり。
からだに蓄えた水(すい)というのも、 それを取り巻く環境や習慣などにより、病や症状の種の一つになりえる。 前回は、そういう話をしました。 そういうものに影響されて、からだの水はけが悪くなる。 そうして、さまざまな症状が現れやすくなる。 ただ、水(すい)にまつわる問題は、環境や習慣以外によっても影響されます。 以前からたびたび話題にしている「老い」もその一つ。 環境や習慣によって悪化してしまうのに対して、 齢を重ねることに伴い、衰えていく。 「悪化するのと衰えるのは、大きく異なる」と考えるのは、 果たして私だけでしょうか。 そして、人体の水はけは、 五臓六腑における脾・肺・腎の働き 脾:体内に水を取り込む 肺:吸収した水を全身に運ぶ 腎:濁った水を外に出す によって支えられており、 各々の働きが鈍ることで、特徴的な症状が現れます。 またそうして体内に滞溜した水は、気や血など他の要素にも影響を及ぼし、 動悸やうつうつ感、生理痛、冷えなど心身の不調につながる場合も少なくありません。 そのような「水に端を発して生じる諸症状」に対して、 よく用いられる生薬に伏苓(ブクリョウ):サルノコシカケの一種があり、 水を利する働きに加えて、心神を安ずる効能を有しています。 「利水」と「安神」。 一聞すると、互いの効能は結びつかないと思われるかもしれませんが、 そのような部分にこそ、漢方の妙があると思うのですよ。 |
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更新日: 2015/06/29 |
疲れの裏に乱れあり。
老化にしたがって現れる「毒素」にまつわるトラブル。 これからの季節に顕著になる毒素といえば、 やはり「水(すい)」ではないでしょうか。 漢方でいうところの水(すい)と、 日常的に飲む水(みず)とは、少し意味合いが違います。 簡単に言ってしまえば、漢方の水(すい)は、からだの一部。 対して、水(みず)は自然界の一部。 然るに、からだに取り入れた水は、 この水(みず)と水(すい)の中間のような状態、 自然と人体の両掛けのような状態といえます。 然るに、誤った水(みず)にまつわる習慣は、人体の水(すい)に影響を与えます。 反映されてしまう。それは良くも悪くも仕方がない事でしょう。 そして、水にまつわるトラブルが増加するのが、これからの暑い季節です。 暑い季節ですから、水分摂取が増える。 汗をかきますから、当然のことでしょう。 けれど一方で、水分摂取が増えるという事は、 人体の水(すい)に波風が立ちやすくなる。 即、トラブルが生じるというわけではありません。 ただ、トラブルが生じるリスクが大きくなる。 簡単な話、からだに水を取り入れることは、 からだの水かさを増やすことに通じるわけですから、 かさが増えた分だけコントロールは難しくなります。 ただ、それを回避するために、水分摂取を控えるという理屈は、 少なくとも夏には通用しませんよね。 |
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更新日: 2015/06/24 |
疲れの裏に乱れあり。
前回の引き続き、老化と毒素について。 毒素というと、文字通りの毒(ポイズン)と捉えてしまうかもしれませんが、 漢方では、からだに負担をかけるものの総称を毒と考えます。 言いかえれば、毒性が限りなくゼロに近い毒。 ただそのような毒でも、塵も積もれば何とやらで、滞積することによって災いと転じる。 そういうもの、そういう性質が漢方でいう「毒」であり、 それに伴って現れる症状などは、さしずめ毒証といったところでしょうか。 ちなみに「中毒」は毒に中(あた)ることの意。 漢方でいうところの毒には、この中(あた)るという考え方はありません。 ただ一方で、解毒という考え方はあります。 加齢と伴い、からだにそのような毒素がたまりやすくなる。 言い方を変えれば新陳が悪くなる。 その背景には現代の生活習慣が影響している。 前回はここまでお話したと思います。 少し脱線しますが、こういう話をする上で、 私が個人的に念を推しておきたいのは、 生活習慣とか様々な健康法とか予防法などは、 良くも悪くも一つのリスク・マネージメントという点。 ある習慣に陥れば、ある症状が出る・・・のではなくて、出やすくなる。 ある予防法を心掛ければ、ある症状が出ない・・・のではなくて、出にくくなる。 インフルエンザとその予防で考えると自明の事と思います。 けれど、「じゃあ、予防接種とか手洗い・うがいって、やっても意味無いじゃん・・・。」 とは、実際にはなりませんよね。 それはそれで、リスク・マネージメントとして、一定の役割があるわけです。 ですが感染症でいえば、医療関係者と一般の方ではリスクの程度は大きく異なります。 そこではやはり、医療関係者は、一般の方以上に予防に、気を配っている。 それもまた事実です。 そして、老い・老化というのはある種、 行き着く先というか結果が決まっているものです。 齢を重ねると、こういう症状が出やすくなり、健康上では、こういう病が現れやすい。 けれどもそれは「万人がその通り」であって、 「貴方がその通りかどうか」は定かではありません。 ですから、万人に当てはまる老いへの対処も大切ですが より貴方の老いにあった対処法:リスク・マネージメントが重要になってくるわけです。 男なのか、女なのか・・・ 夏が過ごしやすいか、冬が過ごしやすいか・・・ 仕事をしているのか、そうでないのか・・・ 家族はいるのか、いないのか・・・ 趣味はあるのか、ないのか・・・ そのようにして実に多様な事象が、 人生に影響を与え、貴方の老いは成り立っていくと思うのですよ・・・。 |
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更新日: 2015/06/22 |