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かぜは万病のもとと言いますが、どうも正しくは「風は万病のもと」らしいです。
古代中国では、病気は風で運ばれてくると考えられており、
病気のことを風病とも称したとの事。
実際、今日でも風邪をはじめ痛風や風疹、破傷風など
名前に風が付く病気も少なくありません。
東洋医学では、自然界の気候変化は風・寒・暑・湿・燥の五気
(もしくは火を含めた六気)によってもたらされると考えられていますが、
風は、他の五気に比べて突出した特別な存在ともいえます。

大気を伴う自然界には風が吹きます。
そよ風から台風まで強さはさまざまですが。
風は実り・恵みを運んでくる一方で、災害をもたらすものでもあり
全てに影響を与える存在です。
同様にして、気の要素を伴う人体にも風が吹いてます。
その風もまた人体の全てに影響を及ぼす存在です。
自然界にあっても、人体にあっても風の存在を忘れてはいけません。
風を味方にしてうまく吹かせる事に努める。それが人の健康にも通じる訳です。

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自然界では春と秋は、風の勢いが強くなります。人もその点は同じです。
季節の変化でもたらされる風。
生活のストレスによる風。
成長に伴って吹く風。
今の時代は生活の上でも様々な変化が伴い、いろいろな風が吹き荒れやすい。
けれどそんな中でも、風まかせにならず、
良い風、身体が喜ぶ風を呼び込むのを忘れないようにしましょう。
・・・占いの事を言っているんじゃありません。
漢方治療にできるのは、体に吹く風向きを変えるぐらいの事だと思います。
それこそ漢方薬が風を吹かせる訳じゃありませんから。

秋は心地良い風が吹くこともあり、気が穏やかになる時期でもあります。
暑さの下で締まっていたものが、涼しさの下で緩んでいく。
からだだけの事を言っているのではありません。
心も同じく緩みやすくなる。
そうして定まらなくなるのは、秋の空も同じ・・・かもしれませんね。

気持ちが大らかになると言えば、聞こえは良いでしょう。
そのために秋は、積極的に外に出向き、秋風を感じる事も大切です。
そうして、からだの中にも良い風を吹かせていく。
けれど、周囲からの影響で良い緊張状態を保っていた人には、
この時期の緩みは、むしろ不安定になりやすくなる。

そういうときはずばり、喜ぶこと・笑うことを意識してみましょう。
まずは秋を喜ぶ。食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋。
広く知られたこの事は、そういうことを通じて、秋を喜びなさいと。
秋を喜ぶ大切さを言っているのだと思います。
五行論の中でも心は肺と相克の関係にあり
感情の上では「憂」には「喜」が良い薬になるとありますから。
ちなみに、夏に怪談話で怖い話をするのは、
腎の感情の「恐」が夏の暑さの良い薬になる為です。

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感情は、人に共通のものです。
でも実際は人には好き嫌いがありますから
同じ事をしても喜ぶ人と喜ばない人が存在する。
けれど、喜んだり笑うことが健康に通じるとしたら、
人が喜ぶのは自然な事だと言えますし
そういう素直な感情を大切にしなければなりません。
おいしいものを食べておいしいと感じる。美しい景色を見て、美しいと感じる。
秋はそういうものに触れるのに、絶好の機会だと思いませんか?

温活は、単に温めること(活動)ではなくて、
 温法によって活を入れる (賦活する)ことです。
活を入れることは漢方の表現を用いれば、
気を促す(高めたり、巡りを整える)ことに通じます。
温めて気を促すのが理想的な温活の形です。

その上で、秋の温活は 肺を意識して 行いましょう。
肺はからだの元気・陽気を表に出して、
バリアのようにからだ全体を包む役割を担います。
表に出すというのは、内から外へ向かうベクトルをしていますが、
陽消陰長に入る秋の時期、そのベクトルが弱くなりがちです。
自然界が陰長になれば、それと対の関係にある人のからだは陰消となり、
人のからだにあって陰は、斥力(内から外へ向かうベクトル)を為すので、
元気を表に出しづらくなるとか何とか。

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秋・冬は風・寒の勢いが強まり、感冒をはじめ咳・痰などの呼吸器症状、
肌の乾燥、痒みなどの皮膚トラブル、鼻水の分泌異常も起こりやすくなります。
要するに、そういうものへの備えとして、
 からだの元気を表に引っ張り出しておく のが肝心という訳です。
温活ならずとも、そういう事に気を配るのが、肺の気を高めることに通じます。

漢方治療の現場では、たびたび起きることですが。
意図していなかった改善効果が発揮されるという現象。

食を太くする為に用いた脾胃の働きを整える方剤で、眼圧が正常になった。
過緊張を取り除く為に用いた肝の働きを整える方剤で、生理が再開した。
もちろん、それぞれの漢方薬で眼圧が下がりますとか、
生理が再び訪れますという効能を挙げることはできません。(薬事法違反?)

そういった改善効果はきっと、この症状にはこの漢方薬という道理ではなく、
一連の症状の背景にある身体をバランスの乱れ、歪みを整えるのが
漢方薬本来の役割だからでしょう。
西洋医学は、症状を取り除くことで、身体のバランスを整えます。
けれど実際は、症状を取り除いても、バランスは乱れたままで、
再三に渡り症状が現れる事も少なくありません。
それに対して東洋医学は、身体のバランスを整えることで、症状を取り除きます。
だからときには、症状を取り除くのが西洋医学に遅れを取ることもあります。

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肝心なのは、身体に何らかの症状が伴うときには、
その裏で何らかのバランスが乱れ、損なわれているという事です。

普段は元気な人が疲れると現れてくる特有の症状。
それはまさしく疲れのサインな訳ですが、
そのタイミングで「あぁ、自分は疲れているんだな」と心得て
疲れを治すことはとても大切です。

かぜを引く。頭痛がおきる。生理が遅れる。目がかすむ。
それは貴方にとって何のサインですか?
そういう事を一緒に考えるのは、ドラッグストアでは正直難しい。
けれど実際はそういう事を知っておくことが、大病を防ぐことにも繋がります。
貴方の癖を知るお手伝いをしてくれるのが薬局という場所だと思います。

秋は陰と陽の勢いが交替する 陽消陰長 のときとされています。
夏に賑やかだったものが、秋に入ると落ち着きを見せていく。
明るかったものが、暗がりを帯びるようになる。
うるさいものが、静けさを伴うようになる。
そんなちょっと落ち着くときが秋の頃です。

そうして自然界の様々なものが落ち着くとき、
その中で暮らす私たちも、秋の風情を感じていくことが大切です。
 静けさに耳を傾け、暗がりを見つめる。 
夏と同じように賑やかな生活をいつまでも続けてはいけません。
夜遅くまで明るくして過ごすのも自重しましょう。
だって秋なんですから。

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過ごしやすいからといっていろいろな事を始めるのも、実は良くありません。
むしろ摂生と厳選を行うときといわれます。
この辺りは、秋と関連深い肺が金属の性質を持ち、
金属は研ぎ澄ます事で鋭利になる事にも通じます。
ですから冬に向けて、秋は研ぐことに元気や時間を費やすべき時だと思います。
おいしいものが沢山出てくるからと、腹一杯に食べる。
そうして金はなまくらになり、肺の働きが損なわれる訳です。

日々を忙しなく生活する私たちの生活には、季節感が薄れつつあります。
季節感を愛でるほどにゆとりがなくなる事は、
健康の上でもゆとりを失う事に通じます。
ゆとりのない元気や健康は脆く、足を踏み外しやすい。
ぜひ秋を意識した生活を心掛けましょう。
・・・地球温暖化の余波なのか、あっという間の秋ですけれども。


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