30代前半の女性、最初来店された時吹き出物で困っていました。
その後色々と体調が変わりここ2年くらいは夜間に発作が起こる喘息対策を中心に漢方薬で対応していました。
服用しているのは補腎と疏肝作用の煎じ薬。
今年に入り、それまでたまに出来ていたニキビの跡の色素沈着が気になり出したので対策を講じるよう希望があったので処方を一部変更してご用意しました。
本日相談のため再び来店されておっしゃるには、新たにニキビが発生するとのこと。処方を変更したことが仇になったようです。一旦前の処方に戻して服用していただくようにしました。
今回の相談ではお話を伺っていて大変興味深い表現がありました。
今年に入って処方を変更した煎じ薬ははとても苦く不味かった、と。
それまでの煎じ薬は苦いけれど不快ではなかった、効くと思えば美味しくさえ思えた。
この感想は漢方薬の面白い一面です。どんなに苦く不味い漢方薬(煎じ薬)であってもその人にぴたりと合った処方であれば服用に問題は生じません。
ところが六君子湯のように甘く服用しやすい処方でも、証の合わない人が服用すると胃もたれのような不快感を生じたり、ときに下痢をしたり副作用が出ます。
漢方薬、特に煎じ薬は証の合わないk方が服用すると副作用が出ます。今回改めてこのことを認識させられたできごとでした。
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12月になり、平成23年ももうすぐ終わり新年を迎えます。
師走、恒例、長全堂特製屠蘇散をお越しいただいた皆様に差し上げる季節になりました。 元々屠蘇散は、中国が起源であり、平安時代に日本に伝わり永く宮中において元旦の儀式に使用されており、『延喜式』にその記録が残っています。 江戸時代になり正月に屠蘇を飲むという風習が庶民に伝わり、医者や薬屋の暮れの支払いの返礼としてその姿を現在に伝えています。 『延喜式』にもレシピが記載され、現在は取捨選択され7種の薬味(長全堂薬局では)を配合して製作しています。 その中に「陳皮(チンピ)」があります。 現在は、ウンシュウミカンの皮を乾燥したものを「陳皮」として使用しますが、このウンシュウミカンは日本の江戸時代に出現したミカンです。 平安時代には、存在していない柑橘類では当時何をして「陳皮」としていたのでしょうか? 長全堂特製屠蘇散は、そこら辺りも考証した屠蘇散になっています。 その他の生薬も厳選して使用していますので、大変美味しくいただける物となっています。 ![]() 正月に屠蘇を飲むという日本の伝統的な良い風習を後世に正しく伝える意味も含め、長全堂薬局では師走に来店され、漢方薬や商品をご購入された皆様には無料で差し上げております。 |
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更新日: 2011/12/13 |
日々薬局の店頭で様々な漢方相談を受け付けています。
中には聞いていると気の毒なお話もあります。女性でありながら組織の一員として仕事に家庭に頑張ってこなしてきたそうです。”一生懸命”まさに一生懸命に頑張ってきたそうです。 ここにきて更年期にさしかかり、ふとわれに返ってみると心にぽっかり穴が開いてしまったような感じがし、朝起きると無性に悲しくなる、のだそうです。 「まだまだこれから仕事も家庭も頑張らなくては!!」と思いはするが、時に身体が無性に重く感じて仕方がないそうです。 お話を伺っていて気になる言葉がありました。 ”一生懸命”です。 いまでは正しい日本語として認知されていますが、本来”一所懸命”という言葉! この2つの単語の違いは大きいですね。 仕事も家庭も頑張って来た先の女性、自分に関わる多く事柄に対して頑張ってきてしまったようです。 それらの事柄の中にはきっと優先順位もあるでしょう。その優先順位は自らの環境、タイミングによって様々変化するはずです。それに従って努力する局面も様々に変化させればくたびれないですんだのではないかな? 何も全ての事柄を”一生”頑張らなくたって良いんです。 今一番大事な事は何?と”一所”を考え、それ以外のことに目をつぶる器用さも人生には大切なのでは? 『良い加減』って言葉、良いですね。 |
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更新日: 2011/11/15 |
漢方薬を悩める方達にご案内することを生業としているのですが、今夏の猛暑に負けてしまい、店頭の仕事が終わるともう何もする気が起きなく今日までブログをさぼっていました。
最近お越しになった中年の女性、お菓子工場で働くためゴム長を日常的に履いている。 足が蒸れて仕方がなかったが、最近ついに足底が腫れてただれて痛むようになってきたとのこと。 病院に行ってステロイド軟膏・消炎剤など処方してもらうが症状は芳しくない。 足底なので、歩くのも痛い、仕事にも差し障りが出て困ってしまい、長全堂に来店。 この方多少アレルギーの傾向がある(花粉症など)ことから駆瘀血作用と清熱作用を併せ持った処方を考えておりました。 漢方相談の最後に煎じ薬にするかエキス剤にするか伺うのですが、仕事をされている方は大抵エキス剤を選ばれるので、最初からエキス剤を念頭において漢方相談しておりました。ところがこちらの思惑とは裏腹にこの女性は煎じ薬を服用してみると申されるのです。かなり戸惑いました。 考えていた処方は14種の薬味から構成されており、その調剤の手間を考えると些か心が重くなり、それが顔に出ないか心配になるほどです。しかし配合されている連翹や荊艾、金銀花の効果を考えると他の処方に変更する選択肢はありません。一所懸命作りました、煎じ薬を7日分。 でもこの苦労はすぐに報われました、1週間後来店されるとニコニコしながらその女性 「浮腫みなど炎症はまだあるが、痛みが無くなった。大変有難い!」と、そして 「同じ漢方薬を続けてみようと思う!!」 そのまま煎じ薬を30日分補充されて帰宅されました。 苦あれば喜びあり、漢方相談は一筋縄ではゆきません |
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更新日: 2011/09/07 |
夏は意外と冷えるものです。
そして夏は”こむら返り”を起こす方が結構いらっしゃいます。 大抵は元々腰や背中に歪みを抱えている方が、夜気の冷えによって足腰の筋肉ほんの少し縮み(ご本人さんは気が付かない)が生じ、その影響がふくらはぎの”こむら返り”として表現されるのです。 毎晩起こる”こむら返り”の漢方相談に悩む方はその原因を尋ねられ、 「何故こむら返りが起こるのですか?」 「色々な背景はあるとしても、夜間の冷えがきっかけとなって起こるのですよ」と私がお答えすると大抵の方は 「じゃあ温めれば良いのですか?」と仰います。 そうじゃあないんです。 確かに温める方法もありますが、それは鍼灸や按摩指圧マッサージの施術においてプロが行う方法であって素人の方が温めて”こむら返り”を治そうと思わない方が無難です。 こういった時必ず 「温めるのではなく、冷えないようにすること。自分の体温を保持することなんです。」とお話します。 これが大事なのです。 硬くなった、余計な緊張している筋肉を柔らかくする時の温度は自分の体温が最適なのです。 自分の体温を逃さないようにする事! これが”こむら返り”治療・養生のポイントです。 またこの季節にこむら返りを起こす方の話を聞くと、寝るときは短パンにTシャツ、なんて方が多いのも事実です。 これではいけません。パジャマである必要はありませんが、素肌を外気に晒さない工夫がひつようです。 漢方薬を服用しないでもこの点を改善するだけけで”こむら返り”の予防になります。 その上で古典『傷寒論』にも「その脚を伸ぶ」と記載のある処方を服用すると良いのです。 |
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更新日: 2011/07/30 |