冷え症は女性に多い症状です。特に手足の冷え症に悩む女性はたくさんいらっしゃいます。
冷え症は”冷えている”のだから温めればよい、と考えます。決して間違いではありませんが、これは少々乱暴な話です。
”冷え症”といっても大きく二つあります。
① 身体が弱って身体を温める力が衰えてしまっている場合
② 血流スピードが少しだけ遅くなり、ラジエターの役割を担う手足で血液が冷めてしまい、それを”冷え”と感じてしまう場合。
です。大変大雑把な分類です。
①の場合、年齢に関係なく夜間におしっこで何度も目覚めてしまうことが多いもので、体幹から温まるような漢方薬を考えます。
②の場合ですが、手足で血液が冷めるには理由があるわけで、血流が遅くなるとそれだけ手足に滞留する時間が長くなります。すると当然血液は必要以上に冷めてしまい、それを”冷え”と感じてしまいます。この場合の”冷え”は血流が遅くなることが原因なので、いくら温めてもそのばしのぎにしかなりません。
この場合は血流を回復する漢方薬を考えますが、多くの場合婦人科領域(生理痛、生理不順など)に使用される漢方薬と同じものが使用されます。
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連日の漢方相談で時々”決め台詞”に出会うことがあります。
勿論この決め台詞は相談されるお客様がお話しされるのですが。 先日の決め台詞は「最近生野菜のサラダを食べたくない!」でした。 健康な時は暑い夏に野菜サラダを美味しく食べられるものですが食べたくない、これはどういうことでしょうか。 サラダを食べたくない ↓ 胃がサラダを拒否している ↓ 生野菜のサラダは冷たい ↓ 胃は冷たい物を拒否し、温かい物を要求している ↓ 胃を温める漢方薬を選びなさい 勿論決め台詞を引き出すまでに様々な情報を収集し、複数の漢方薬の候補が頭の中に浮かびさてどの処方が良いだろうかと思案しながら相談している中で決め台詞を聴くと”あっ!!これだ!!!”となるわけです。 |
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更新日: 2013/09/06 |
漢方薬の効き方イロイロ
長全堂薬局 (山口県萩市)
薬の効き方にも色々あります。特に漢方薬でじっくりと服用する必要のある場合の効果の出方には特徴的なものがあります。
身内のことなどでストレスを抱えて体調不良があり漢方薬を服用して頂いているTさん。ストレスのせいで気持ちが塞ぎ込みがちで、背中や腰が痛んで仕方なく更に頑固な便秘を抱えておられました。暫くは血行を改善し痛みを去る作用のある漢方薬を服用して頂いていました。身体の痛みは比較的良くなるのですが、色々なことを考え始めると痛みがぶり返します。便秘だけは上手くコントロールできています。 そこで気持ちが塞ぎ込まないように牛黄製剤(本当は牛黄単品の方が良いと思われるケースですが価格面で服用に尻込みされたため比較的牛黄の配合比率の高い製剤を選びました)を追加服用していただきました。 先日その報告の電話があったのですが、服用して暫くすると(自分でも意外だったそうですが)知らず知らず鼻歌を歌っている自分に気が付き大変驚いたのだそうです。気持が塞ぎ込んでいる時には考えられないことだったからです。 頭が痛い、熱がある、お腹が痛い、といった症状は良くなると効果をはっきり認識できますが、ストレス等の症状に対する反応には気が付かない方も多くいらっしゃいます。漢方相談の中でこちらが指摘して初めて漢方薬の効果に気が付かれる方もいらっしゃいます。 |
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更新日: 2013/09/03 |
土曜日(8/31)日曜日(9/1)と出張でした。金沢大学で開催された和漢医薬学会学術大会に出席するためです。私が持っている漢方薬生薬認定薬剤師の更新に必要な単位を取得するためでもあります。
金沢大学はJR金沢駅からバスで40分ほど揺られた先の丘陵地帯にあります。それはそれは広いキャンパスです。シンポジウムや講演、ポスター発表などを全てワンフロアで行えるほど大きな建物、また薬用植物園も見学できるのですが広いキャンパスの端っこにあるためここで生薬の研究をしていると決して運動不足にはならないだろうなと思わせるほどです。普段長全堂薬局の中だけで仕事をしている私にとってたった2日の学会で1か月分歩いたような気がします。 最近のここの学会で頻繁に話題に上がるのは”漢方の国際化”。すでに中国は自国の伝統医学を国際標準規格(ISO)にしようと随分以前から画策しています。そうなると日本の漢方医学がただの地球の片隅にある一握りの人のための伝承医学に成り下がってしまいます。それは日本人として、漢方を生業とする者として嫌だなと思う。この学会に参加している者は皆そう思っているのでしょう。だから議論するのだけれど・・・。 ではどうしたら良いのでしょう。学会では日本漢方を世界に如何に認知してもらえるように情報を発信すべきだ、という議論が多いように思います。私はそうは思いません。「彼を知り己を知れば百戦危うからず」と孫子言っています。世界の漢方をアピールすると同じだけ中医学を分析する必要があるのではないでしょうか。 今回の学会では茨城大学の真柳教授の「『神農本草経』の科学技術と思想」という講演は大変面白く興味深いものでした。”本書は決して中国本草の萌芽などではなく、明確な意図をもって編纂された書とみなければならない”を存分に楽しみました。 ![]() 学会の案内 |
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更新日: 2013/09/01 |